BBB MAGAZINE
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シグナス125X
ビッグスクーターと言うとヤマハ・マジェスティのような250ccクラスを想像してしまうが、KYMCOやSYMなどの海外メーカーの流通や原付1種の排ガス規制、近年のガソリン価格高騰により、利便性が高く経済的、街乗りでは機動力の高い原付2種スクーターの台頭が目立つようになってきた。その中でも今なお人気の高いシグナスXをカスタムした、横浜市磯子区にあるバイクショップスズランさんへ取材に伺った。バイクショップスズランさんは痛車やカスタム、レストアを得意とするショップである。さっそくその内容を紹介しよう。カスタムを行った中村氏にお話しを伺った。
目を引くのはオレンジマジョーラ(偏向性塗料)にペイントされた外観。レースマシンやチューニングカーなど様々な分野でも多くのファンを魅了したカラーリングの美しさには定評がある。このカラーによってシグナスの見た目をさらにインパクトのある物にしている。また角度によって緑っぽく見えるところもこの塗装の特徴だ。スイングアームはアルマイト仕上げ(オレンジ)に変更しており、黒とオレンジのコントラストも美しい。リアホイールをオレンジにしなかったのは、スイングアームとの色合いを考えての事だという。
フロント周りではカーボンフェンダーが目を引く。見た目だけではなく剛性も高く、振動吸収性も抜群である。元々はノーマルスイングアームに付く形状だった為、切削加工して取り付けたそうだ。ブレーキディスクはKN企画の大径ローターに換装されており、放熱性を高めている。ブレーキはブレンボ4ポットをチョイス。
キャリパーサポートもしっかりと取り付けられている。ブレーキホースはステンメッシュホースに換装した事により耐熱性に優れ、ブレーキレスポンスも向上している。さらに大径ディスクとブレンボのコラボレーションによりストッピングパワーを増幅させ、安心感をかもし出す。
フロントフォークはRPMの物をチョイスしている。ボトムケースはアルミ削り出しとなっており、見た目の高級感とは裏腹に減衰力調整も出来る為、走りを優先する人にとってもしっかりと対応出来るだろう。
このシグナスのオーナーは車両購入してからノーマルで乗るつもりだったそうだが、通勤ベースで快適に、かつカッコよくカスタムする事になったそうだ。一つひとつのパーツをオーナーと吟味して決めたという。見た目もカッコいいのだが、走りも通勤にはオーバースペックという仕上がりだ。実はこのシグナス所有のオーナーは前述のゼファー750のオーナーでもある。最近はシグナスに乗る方が多いという(笑)。
エンジンは125ccからタケガワのボアアップキットを使い156CCへ換装している。セルモーターはボアアップエンジンの高圧縮・大径ピストンでも始動できるようトルクを増大し、強化品に対策済だ。ただ圧縮比が高すぎてキックは出来ないそうだが・・・(笑)当然ながら原付2種から軽2輪への改造申請も行っている。有料道路や自動車専用道路を気にせず走れるこのマシンは、最強の通勤仕様と言えるだろう。
足回りにはベリアルのMDサスペンションをチョイス。減衰力調整が17段、リバウンド(伸び側減衰力)調整が24段、イニシャル調整が12段とかなり細かく設定出来るスグレモノである。キャブはケーヒンCVK30へ換装。混合気のバランスが良く燃焼効率や燃費も良い物として知られている。ケーヒンと言えばキャブレターと言わしめる程、世界でもトップクラスシェアを持つこの製品は信頼性も抜群だ。
マフラーはプロドラッグの3Dチタンサイレンサーチョイス。4輪のドラッグレースで養った技術を2輪でも投入しており、溶接面の強度や加工技術には定評がある。見た目も美しく排気効率を考えたメガホンタイプが特徴だ。ボアアップやドラッグマシンなどNOSを作動する大出力マシンにも対応出来るスグレモノだ。ウェイトローラーなど駆動系もひと通り手が加えられているそうだ。
カスタムパーツを選定するにあたり、色の組み合わせに苦労したという。オレンジと黒の組み合わせを基調としたそうだが・・・。メーカーによって同じ色でも誤差が出てしまう為、同色の物を組み合わせるのが難しかったとの事。 ハンドル周りに関しては、オーナーのポストと一文字ハンドル、スクリーンを付けたいとの要望があったのだが、実はここが一番試行錯誤した部分でもあります。とは中村氏。 取り付けにも苦労したというが、その仕上がりは元々付いていたのではないかと疑うほど見た目の綺麗さも素晴らしいものである。
基本的にはボルトオンパーツだが、取り付け方が通常と異なりハンドルクランプの流用やミラーステーの加工など、付けたり外したりする事も多かったようだ。ハンドルはハリケーン一文字の物を選択。ミラーはベリアルのGTフォージット・スクエアタイプをチョイス。アルミ鍛造加工により強度と軽量化も兼ね備えている。デザイン性とフリージョイントによる機能性も抜群だ。またハンドル部には自作ステッカーを巻きグリップに挿入しており、見ても楽しい物となっている。
マスターシリンダーのキャップには以前中村氏が乗っていた、グランドマジェスティのヤマハエンブレムを切り取り、いかにも純正のように取り付けている。シートは完全オーダーメイドでアンコ抜きや張替えなども行っている。オーナーは乗り心地にも相当こだわっているという。通勤から高速走行まで、オールマイティにこなせるこのシグナスはオーナーも大変満足しているという。通勤仕様と言ってもあなどってはいけない。相当ポテンシャルの高い仕上がりとなっている。
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