BBB MAGAZINE

  • インプレッション

    2016.11.08 / Vol.07

    BMW RnineT 試乗インプレ・レビュー

CREDIT

取材・文・動画インプレ/小林ゆき

BMWがオートバイの製造をし始めたのは1923年。2013年、90周年を迎えたBMWが記念モデルとしてリリースしたのが、R NineT(アール・ナイン・ティ)だ。エンジンはBMWの真骨頂とも言える水平対向エンジンとし、そのフォルムは古き良きBMWを彷彿とさせるクラシカルなもの。とはいえ、走りは気負うことなく遊び心をくすぐるようなシンプルでカジュルアルな乗り味だ。遊び心はそのネーミングにも表れていて、R90ではなく、あえてもじって「R NineT」としたのは、カスタムなどの楽しみも示唆したものだ。

RnineT
RnineT
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これまでのBMWの戦略と比べても異質なものと言える。

RnineT
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実際、R NineTのプロモーションは、世界中のカスタムビルダーの中から日本のビルダー4人を選んでカスタム車両を制作し、それを全世界に大々的に紹介するところから始まった。完全なるニューモデルをカスタムしてプロモーションするという手法は異例中の異例であり、これまでのBMWの戦略と比べても異質なものと言える。さて、そんなR NineTの純正カスタムモデルであるR NineTスクランブラーが10月14日に発売されるのに合わせて、あらためてベースモデルであるR NineTに試乗する機会を得たのでインプレッションをお届けしたい。BMW伝統の黒・シルバーのカラーリングが重厚さ醸し出し、やや大きめのタンク回りも相まって見た目は大柄に感じるが、実際にまたがってみるとすこぶるとっつきやすいモデルであることがわかる。小柄なライダーでも難なく乗れそうに感じさせる一番のポイントは、スリムなシート回りやハンドルの位置も含めたライディングポジションだ。見た目は、ハンドルは遠くシート位置が後ろにあった60年代、70年代スポーツバイクのイメージを彷彿とさせるが、実際には普段の足にしたいくらい楽なポジションとなっている。

ハンドリング

RnineT
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ハンドリングも実に素直なもので、積極的な体重移動をせずともクセなく曲がっていく。腕の中で転がせるような感覚さえ覚えることもあるハンドリングは、姿勢を起こしたままで車体を寝かせて曲げていくようなアドベンチャー系風の乗り味も感じさせてくれる。乗れば乗るほど、ビッグバイクであることを忘れていくような扱いやすいフィーリングは、装備重量222キロという軽さと、重心が低いというフラットツインの特性もさることながら、R NineTならではの素直なハンドリングと、FIの味付けから来るものであろう。日常の足として下駄代わりにしたくなるほど気軽に乗れそうと思わせる乗り心地だ。

見た目は重厚で伝統的。

RnineT
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とはいえ、6000rpmで119Nmを発揮するフラットツインエンジンは、停止時にスロットルを煽っただけで車体が右にグン!と傾いて立ちゴケを心配しなければならないほどパワフルなもの。ごく低回転ではツイン特有のドコドコ感を味わうことができ、そこからスロットルを開けたときのトルク感はまるで背中を押されているかのごとくビッグバイクの醍醐味を味わえる。もちろんABSも装備されている。ABSをあれこれ試したところ、効き始めはたいへん穏やかで、無意識にフルブレーキングしたとしても心配ないものだった。見た目は重厚で伝統的。でも走りは「見た目にダマされてはいけない」とっつきの良さ。日常の足にも、ツーリングにも。さらにはカスタムだって楽しめる、そんな21世紀のスタンダードなモデルになるであろう一台である。

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