BBB MAGAZINE
CREDIT
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- ライター
- 執筆
武田正衛
-
- 撮影
BBB
-
- バイク
SR400
1978年から約40年もの長きにわたり愛され続けてきたSR400。時代とともに、その時々のニーズに合わせて改良されてきたこのマシンが、惜しまれながらついに生産を終えてしまった。時代が大きく移り変わっても愛され続けたこのマシンを、いま改めて乗ってみた。
SR400を走らせるためには、キックスターターによるエンジン始動を行わなければならない。このキックスターターは"SRらしさ"のひとつとして多くのSRファンから歓迎されている装備。2009年にキャブレターからインジェクションに変更された際には、セルモーター搭載を期待する声もあったようだが、それでもSRはキックのみのエンジン始動という独自の路線を貫いている。
最新のインジェクションとキックスターターの組合せは、発表された当時には若干不思議な組合せだと感じていた。しかし、実際に乗ってみるとインジェクションの違和感は無くキャブレター仕様のようなセッティングが施されているようで、いわゆる"SRらしさ"をスポイルしていなかった。ただひとつ気がついたのは、発進時のスタート加速がそれまでのキャブレター仕様車よりレスポンスが薄くなりややマイルドになったと感じることだ。しかしこれは逆に言えば、繰り返される街中のゴー&ストップ時のライダーへの疲労低減に繋がることで歓迎すべき点であり決してネガな部分ではではない。
ライディングポジションは、今でいうアップライトなスタイルで、シートに腰を下ろして両手を伸ばすと自然にハンドルグリップに手が届き、走り出してから足を車体側に引き寄せればそこにステップがあるような、すべてが自然で何も意識をしなくとも身体に馴染んでくれる。SRはすべてが自然体でライダーを受け入れてくれるオートバイであり、まさにライダーが主役のオートバイなのだ。そんなフィーリングを感じる事ができるオートバイだからこそ、長きに渡りライダーに愛され続けている所以なのかもしれない。
最初に高速道路を走ってみる。風よけ(スクリーン)も無く、上体にすべての風圧を受けてしまうライディングポジションのため、長い時間を100km/hという速度で巡航することは厳しい。なぜなら、そもそもそのようなシチュエーションで長時間使用されることを想定していないであろうオートバイであるから。一番快適なのは一昔前の自動二輪の最高速度である80km/hでクルージングすることだ。この時の回転数は約3500回転、SRの鼓動を心地良く感じながら走ることができる。さらに風圧や振動と戦うにはこのくらいの速度であれば許容できる範囲だからだ。それ以上の回転数でももちろん巡航することは可能だが、90km/h以上になると各部に大きく振動が発生し、多くのライダーが求める"SRで走る楽しさ"が半減してしまうことになる。
次に一般道のワインディングを走ってみる。スポークホイールに前後細身のバイアスタイヤを履くSR400は、意外といっては失礼だが、とても軽快な動きを見せる。タイヤが細いことによってコーナーでの寝かし込みや切り返しが軽く、外足の内腿で燃料タンクを押え付けるように寝かし込むと、自分で想定したラインをきれいにトレースしてくれる。
トルクを活かして4速でトコトコ走ることももちろん心地良くワインディングを楽しむ方法なのだが、少しスポーティに走ることもできる。通常よりも1速下のギヤを使い、回転数を上げぎみにしてやるだけで一気にライダーをその気にさせる。もちろん振動は増えるのだが、高速道路ではネガとなっていた振動の不快感はあまり気にならなくなり、オートバイを操っている感が強く感じられ、ワインディングでの走りに集中する事ができる。
現在では、残念ながら生産が終了しているため、新車で購入するには在庫を持っているショップを探すしかない。しかし、SR400は約40年も生産されていたことから、中古車市場ではたくさんのタマが流通している。新車に拘らないのであれば、程度の良い中古車を探してみることも一考だ。さらに中古車となれば、年式や時代に合わせて改良・変更されたさまざまなバリエーションモデルを選べる事になり、より幅広く好みのSRをセレクトすることもできる。
いまだ人気モデルと云っても過言ではないSR400。勝手ながら、個人的に今後どのような仕様で復活させてくれるのか興味は尽きない。ぜひとも、新しい時代のSRが登場することを期待したい。 そしてもし、ニューモデルとなって登場した暁には、ぜひとも外観からは見えないように、クランクケース内に小型のセルモーターもこっそり忍ばせておいていただきたい。もちろん、キックスターターは絶対に外せない装備のひとつであるから標準装備されていることが前提となるが。
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