BBB MAGAZINE

  • インプレッション

    2019.06.14 / Vol.11

    - page2 - ヤマハ セロー250 インプレッション

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クラッチを繋いだ瞬間の、“トコトコ”な低速トルクが心地よい

  エンジン始動は従来から変わらず、セルボタン一押しで素直に掛かる。小気味良く奏でるシングルエンジンの排気音も心地良い。デジタルのメーターは速度計、時計、ツイントリップ機能を備え、視線を少し落とすだけで表示されている数値を確認でき、グリーンのバックライトのおかげもあり昼夜問わず視認性は高い。

  前モデルとエンジンの最高出力は同等ということだったが、走り出してみると体感的には全体的にパワーが上がっているように感じられる。出力というよりもトルクが全体的に上がっているような感覚だ。大袈裟に聞こえるかもしれないが、単純に言うと二次減速比をショートにしたようなイメージで、スロットルレスポンスの良さと相まって“トルクフル”とまではいかないが、今まで以上にライダーが楽してライディングできるくらいトルクが増大しているように感じる。これは、オンロードでも感じることができるし、特にオフロードでは心強い。林道を走っていても、今までよりもイージーに走ることができるからだ。それによって、ライダーが常に心に余裕を持つことができ、より安全にライディングができる。このあたりの違いは、250ccモデルのセローオーナーが一番実感できることだろう。セロー250のオーナーには、機会があれば是非とも新型セロー250を試乗されることをお薦めしたい。

  初代から受け継がれているしなやかな足周りは、このモデルでももちろん踏襲されている。225mmのストロークをもつフロントサスペンションとアルミ製シリンダーのボトムリンク式リヤサスペンションは、まさに適度なセッティングで、柔らかすぎずオンロードツーリングから林道リーリングまで、初期設定のままで充分対応してくれる。また、今回の試乗で走らせていただいたウイリー松浦さんの谷田部の新しいオフロードコースでも、ファンライドをしている分には特に不満はなかった。

  タイヤの空気圧を前後輪とも0.8kPa程度まで下げて走ったところ、サスペンションがタイヤを路面に押し付けてくれる感覚がさらに増し、グリップさせたいところはしっかりとグリップが効き、滑らせたい場合にはスロットルを少し多めにひねるだけで適度にトラクションを抜くことができる。オフロード初心者や林道初心者にもとてもフレンドリーな足周りだ。

  多くのユーザーのメインステージとなるオンロードでの走りも軽快だ。オフロードマシン特有のオンロードモデルよりもやや高い重心と幅の狭いタイヤのおかげで、特にワインディングなどでのヒラヒラ感が楽しい。特に、下りのワインディングでは、ロードスポーツマシンを抜きたくなってしまうほど楽しくなる(速度には注意!)。ただ、フロントブレーキ周りがオフロードマシンのそれであるということを忘れないように注意したい。また、狭い街中などでも高い運動性能を使って、より快適・安全に走ることができ実用性もとても高い。また、いく度となく繰り返される信号でのゴー・ストップも苦にならない。これにもやはり、セローの特徴でもある低いシート高による足着き性の良さによるところも大きいのだろう。

  余談だが、250ccとなったセローの初期型で自分が最初に受けた印象は、現在も自分が所有しているセロー225Wと比べると、特にエンジンの下部辺りが重かったような印象が強かった。だが、今回試乗させていただいたモデルでは、その重さを感じることはなかった。停まっていても走っていても、だ。
  これは、前後のサスペンションセッティングや重心位置の変更、それと吸排気系のセッティングが変更されていたりするのだろうか?(ちなみに初期型のセロー250はキャブ仕様)それとも、単なる気のせいだろうか???

  それにしても、車体全体はもちろんライディング時の取り回しも軽く、トータルでの運動性能がさらに上がっているように強く感じる。排ガス対策用に装着されたキャニスター等によって多少の重量増があるにも関わらず、従来モデルよりもさらに扱いやすくなったセロー250。オン・オフ問わず、誰にでも優しく、さらに快適なツーリング&トレッキングを楽しませてくれるだろう。

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