BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
武田正衛
-
- 撮影
村田雄一
-
- バイク
GSX1100Sカタナ
新型KATANA、登場!
1980年のIMFAケルンショーで衝撃のショーデビューを飾ったGSX1100Sカタナ。今までにないほどの斬新すぎるデザインのオートバイを目の当たりにした人たちからの評価は賛否の真っぷたつに分かれた。そして、「まさかこのままのスタイルで発売されることはないだろう」という多くの人たちの予想を裏切り、翌1981年に正式リリースされさらなる衝撃を我々に与えたカタナ。そして、その衝撃から40年ほど経過した2019年、スズキは新たな衝撃を我々に与えた。それが新生KATANAだ。
21世紀に出現したカタナ。
タンクのエッジデザインは紛れも無くKATANA!
"カタナ"と一口に言っても、面白いことにそれぞれに異なる国籍の生い立ちから成る。ファーストカタナ(新型カタナ発表会において、メーカー技術者の方たちが"初代GSX1100S"をこう呼んでいた)であるGSX1100S KATANAは、ドイツ生まれのデザイン。今回発売された新生カタナは、イタリア生まれのデザイン。そしてその中間にあったのが、日本生まれのGSX750S-3だ。
新型KATANAをじっくり見て見ると、デザインの巧妙さと新しさが目を惹く。ファーストカタナとはまったく異なる "縦に高く、前後方向に短い"現在的なデザインだ。このデザインに異論を唱えるカタナファンも多い。それを聞いて、3型カタナ(GSX750S-3)が登場した際にも、「こんなのはカタナじゃない!」という声が多く聞かれた事を思い出す。今となってみれば、3型もカタナのデザイン・シルエットを纏っているカタナ。どうしても初期型のイメージが強いだけに、最初は違和感だけが先行するためいたしかた無い事だが、熱烈的なファーストカタナファンには受け入れられることが難しかったのだろう。
そして新型カタナに対して否定的な意見を持つ人たちは、3型のデザインに否定的だった人たちと同じような感覚を持っているのだと思う。20年後、30年後に新型KATANAがどのような評価を下されているのか、かなり気になるところだ。
ファーストカタナ、国内仕様の750S、7503型カタナの4台を並べてみるとデザインの変遷らしきものが見えてくる。良く見ると新型KATANAは、ファーストカタナの進化形というよりも、3型カタナからの進化形というようなデザインに見えてくる。偶然かもしれないが、カウル形状やヘッドライトの位置など、わりと3型に近いレイアウトに見える。
惜しむらくはハンドル。バーハンドルが装着されていたことだ。自分がファーストカタナ(GSX1100/1000/750S)のアイディンティティのひとつと勝手に考えているのがセパレートハンドル。このアイディンティティだけは、新型KATANAにも持っていて欲しかった。「耕耘機ハンドル」と呼ばれた国内仕様のGSX750Sでさえも大アップハンドルでこそあったが、しっかりセパハンが装着されていたのだ。このことがカタナに対するスズキのコダワリとカタナというマシンへの想いがこもっていたように感じているから。
このハンドルによるライディングポジションは、初代カタナの挑戦的で戦闘的なポジションとは大きくかけ離れたもので、スパルタン(セパハン・バックステップ)がカッコ良いとされていた古き良き時代とは大きく異なる。今はユトリ的なポジションがヨシとされているのだろう。旧い人間には、生温く感じるかもしれないが...。このライディングポジションは、良いか悪いかではかたずけられないことであって、冷たい言い方になってしまうかもしれないが、ライダーの好みだけの問題となるだろう。
現に、ファーストカタナのポジションがキツいということで(お腹がつかえたり腰が悪い等々)アップハンドル化してきたライダーや、ファーストカタナを知らない(乗ったことのない)20~30代の若い世代のライダーには素直に受け入れやすいポジションであることは事実だ。
◎主要諸元
型式 | 2BL-GT79B |
---|---|
全長/全幅/全高 | 2130mm/835mm/1110mm |
軸間距離/最低地上高 | 1460mm/140mm |
シート高 | 825mm |
装備重量 | 215kg |
最小回転半径 | 3.4m |
エンジン型式 | T719・水冷・4サイクル・直列4気筒 |
弁方式 | DOHC・4バルブ |
総排気量 | 998cc |
内径×行程 | 73.4mm×59.0mm |
圧縮比 | 12.2 |
最高出力 | 109kW〈148PS〉/10000rpm |
最大トルク | 107N・m〈10.9kgf・m〉/9500rpm |
燃料供給装置 | フューエルインジェクションシステム |
始動方式 | セルフ式 |
点火方式 | フルトランジスタ |
潤滑方式 | 圧送式 |
---|---|
潤滑油容量 | 3.4L |
燃料タンク容量 | 12L |
クラッチ形式 | 湿式多板コイルスプリング |
変速機形式 | 常時噛合式6段リターン式 |
減速比 | (1次/2次)1.553/2.588 |
フレーム形式 | ダイヤモンド |
キャスター | 25° |
トレール | 100mm |
ブレーキ形式 | (前)油圧式ダブルディスク(ABS) (後)油圧式シングルディスク(ABS) |
タイヤサイズ | (前)120/70ZR17M/C(58W) (後)190/50ZR17M/C(73W) |
舵取り角左右 | 29° |
乗車定員 | 2名 |
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