BBB MAGAZINE

  • インプレッション

    2020.01.23 / Vol.14

    新生KATANAインプレッション②

CREDIT

最新装備を纏って武装したカタナは、
ライダーと一体化して走る姿も美しい!

さっそくKATANAに跨がってみる。ライディングポジションはごく自然に決まる。下半身と上半身が無理なくマシンに収まり、視覚的なデザインに疑問を感じていたハンドル形状だったが、それさえ忘れてしまうほどしっくりと馴染む。跨がった位置からは、タンクのセンターに位置したエアプレーンタイプの燃料キャップと大型のフル液晶ディスプレイ多機能インストルメントパネル(デジタルメーター)が目に飛び込んでくる。さらに、フロントカウル形状がファーストカタナのように大きくスラントしていないためか、前方がストンとカットされたかのように急に視界が広がる。これは、ライダーがフロントタイヤの位置を把握しやすく、スポーツライディング時にはライダーに安心感を与えるひとつの要素となるだろう。

搭載されているエンジンは、基本的にGSX-S1000と共通となる2005〜2008年式GSX-R1000のユニットのセッティングを変更したもの。現状のGSX-R1000よりもロングストロークであるため、中低速域のトルクを増やしやすいエンジンで、SSよりも街乗りでは断然乗りやすい。この乗り易さは、スタートの時から体感できる。ローRPMアシストによりクラッチを繋いだ瞬間の回転数の落ち込みを緩和してくれスムーズな発進ができるからだ。さらに、スロットルケーブルの巻き取り形状を真円から楕円にすることで、開け初めのスロットル開量を少なくしさらに滑らかな発進を可能としている。

高回転域では、SS用エンジンだった本来のエンジン特性を活かしてレスポンス良く気持ち良く回り切ってくれる。サーキット走行会などでもSSマシンを追い回す事も可能なくらい、元気のいいエンジンでレベルの高いマルチな使い方ができるだろう。エキゾーストノイズも意外と腹に響くようなサウンドで、ノーマルでも充分存在感を出してくれている。

試乗はワインディングを中心に行った。スタート時の低速からしっかりとトルクで車体を前に進めていき、ある程度の回転数になるとパワーが伸びやかな加速を味合わせてくれる。ファーストカタナのようにトルクだけ(体感的には...)で車速を乗せていくというよりは、やはり現代的な伸びの良い加速の仕方をするため、装備重量215kgの車体はストレスなく加速していく。

ただ気になったのが足周り。車体周りの剛性は特に気になる部分は無かったのだが、特にリヤからのキックバックを強く感じた。このため、最初はリヤサスの動きが悪いのではないかと思ったほど。しかし、リヤサスをよく確認してみるととても良く動いている。次にタイヤを調べてみると、なぜか規定数値よりも空気圧が高めに入っている! 走る前にエア圧を確認しなかった自分が悪かったのだが...。そこで、エア圧を規定数値にして再度走ってみると、リヤの動きがよく判り自然になった。リヤタイヤのグリップを感じられ安心してリヤサスを動かせるようになり、コーナリング中にリヤブレーキを使ってリヤタイヤのグリップをコントロールしてもしっかり踏ん張ってくれるため気持ちよく走る事ができる。

小さく細かいコーナーの連続した切り返しでも、スロットルの開閉によって起こるマシンの挙動を利用して、自然にマシンを倒し込むだけで行きたい方向へ進んでくれるような素直なハンドリングで楽しい。少しオーバースピードでコーナーにしまっても、リヤブレーキで速度をコントロールしやすいので安心感も高い。

シート高はSSよりも低いが、168cm・70kgで典型的な日本人体型(足短め)の自分では、若干シート高が高く感じられた。だが、車体が軽量であることと手前に引かれたアップハンドルのため、シートからお尻をずらして片足で停車していてもなんの不安感もない。実際に、街乗りでゴー&ストップを繰り返しても不満はない。

街乗りからワインディング、ツーリングやサーキット走行でも、満足させてくれるポテンシャルを持ち、マルチに使える新型KATANA。大型初心者ライダーからベテランまで、どんなレベルのライダーが乗っても快適に楽しくライディングできるだろう。まずはスズキが主催している試乗会などで、その乗り味を味わっていただきたい。

昭和に生まれた空冷エンジンのファーストカタナ。平成ジャンプして、令和に生まれた水冷エンジンの新生カタナ。新しいカタナは大歓迎だ。ただ、個人的にはジャンプしてしまった平成に(笑)、油冷エンジンのカタナをメーカーからリリースして欲しかったと勝手に思っている。カタナが、スズキの名機である油冷エンジンをすっとばして水冷エンジンとなってしまったことから、情けないことに自分の感覚がなぜか追いついて行けてないことが悲しい...。ポツンと抜けた油冷カタナをメーカー製として見てみたかったのは偽ざる事実。。。
それとやはり、カタナはセパハンでタンクを腕で抱え込むように走りたい、と言うのがファーストカタナオーナーである自分の本音でもある(笑)

◎主要諸元

型式 2BL-GT79B
全長/全幅/全高 2130mm/835mm/1110mm
軸間距離/最低地上高 1460mm/140mm
シート高 825mm
装備重量 215kg
最小回転半径 3.4m
エンジン型式 T719・水冷・4サイクル・直列4気筒
弁方式 DOHC・4バルブ
総排気量 998cc
内径×行程 73.4mm×59.0mm
圧縮比 12.2
最高出力 109kW〈148PS〉/10000rpm
最大トルク 107N・m〈10.9kgf・m〉/9500rpm
燃料供給装置 フューエルインジェクションシステム
始動方式 セルフ式
点火方式 フルトランジスタ
潤滑方式 圧送式
潤滑油容量 3.4L
燃料タンク容量 12L
クラッチ形式 湿式多板コイルスプリング
変速機形式 常時噛合式6段リターン式
減速比 (1次/2次)1.553/2.588
フレーム形式 ダイヤモンド
キャスター 25°
トレール 100mm
ブレーキ形式 (前)油圧式ダブルディスク(ABS)
(後)油圧式シングルディスク(ABS)
タイヤサイズ (前)120/70ZR17M/C(58W)
(後)190/50ZR17M/C(73W)
舵取り角左右 29°
乗車定員 2名

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