BBB MAGAZINE

  • MotorCycleDays

    2014.10.28 / Vol.14

    - page2 - 旅とバイクにまつわるエトセトラ

CREDIT

①「エンジンを担いで川渡り」
オーストラリア

90年代、インドではバイクがまだ少なかった

20年前のインドは、まだまだバイクがあまり一般的ではなかった。見かけるのはインド製のベスパ(バジャジ)とクラシックなロイヤルエンフィールドくらい、少ないばかりか走っているバイクも旧式のものばかりだった。

その時僕はホンダのスーパーディオという、日本では最も一般的な原付スクーターでインドを旅していた。基本、インドの田舎では日本人だけでも珍しい上に、それがバイクに乗って現れるので、好奇心旺盛なインド人にいつも囲まれていた。とにかくちょっと近未来的なスーパーディオにインド人の視線が釘付けだった。

ある日、ホテルからバイクを出すと野次馬がどんどん集まってきた。その数30人。荷物を積み終えたときは黒山の人だかり。そこで何気なくセルスターターを回すと「オーーーッ!オートマチック!!」「ジャパニーズテクノロジー!」ヤンヤヤンヤの大騒ぎになった。最初はわからなかったが、インドではバイクのセルスターターがかなり珍しいよう。

セルのお蔭でヒーローになるとは夢にも思わなかった。

それからはセルを回す度に、インド人が大騒ぎ。まるでヒーローを見るような、憧れの眼差しで見られるようになった。それから僕もすっかり調子に乗って、なるべくみんなが盛り上がるよう、みんなの視線が集まった時にセルを回すようになり、大きな楽しみなっていった。しかしまさか、セルのお蔭でヒーローになるとは夢にも思わなかった。

④「トルコの無邪気な大人たち」
トルコ

トルコはヨーロッパからのライダーも多かった

バイクで初めての国に入るときはいつも緊張する。どんな国なのか? 手続きは難しくないか? 無事入国できるか? 心配が山盛り。なぜなら書類が揃っていても国境係官にNO!と言われたら終わり、入国できなくなるからだ。それだけに国境が近づく度に胃がキリキリと痛んだ。

初めてのトルコが近づいてくる。昔からいつか行ってみたいと思っていた国なのでワクワクするが、同じくらいドキドキ緊張感する。着いた国境は山の中にポツンとある小さな建物があるだけ、車は一台も止まっていない静かな国境だった。

まず出入国の窓口で入国書類を埋めて提出、無事パスポートに入国スタンプを押され、続けて税関へ向かった。ここでまた面倒なバイクの入国手続き。30分ほどでひと通り終わり、これでトルコが走れるとホッと胸を撫で下ろした。

国境の人からバイクに乗せてくれと言われたのは初めて

外へ出ると、なぜか係官もその後をぞろぞろついてくる。僕たち以外に国境を越える人はいないので、時間を持て余しているようだ。そしてみんな外に置いてある小さなバイクに興味津々、バイクを囲んで嬉しそうに話をしている。すると一人が勝手にヒロコのバイクに跨った。「えっ?」驚いていると、さらにこのバイクを運転をしたい、と言い始めたではないか。断ることもできるが、ここは大人の対応をと思い、カギを渡した。

エンジンをかけると道の中をクルクルと嬉しそうに走り回る。まるで子供のようにはしゃいでいる。バイクに跨ると自然と笑顔になるのは万国共通。しかし国境の人からバイクに乗せてくれと言われたのは初めて、かなりビックリな出来事だった(笑)。

⑥「女性ポリスに予想外の注意を受ける」
アフリカ

世界をバイクで旅しているといろんなポリスに出会う

アフリカのマラウイを走っていると女性のポリスが前方に立っていた。「珍しいなぁ...」と思いながら、近くを走り過ぎようとしたら「そこ、ちょっと止まって!」と呼び止められた。「えっ!? 交通違反、何だろう?」不思議に思いながらバイクを止めると、僕とヒロコ(妻)に向かって、英語で何事か言い始めた。

良く聞いてみると、あなたたち、何で男が小さなバイクで、女が大きなバイクに乗っているの? 普通は逆でしょ!! と言っていることがわかった。力のある男の方が大きくて重たいバイクに乗るのが当たり前の光景。それが逆だったので、違和感(女性がかわいそう)を感じたのだろう。

何で男が小さなバイクで、女が小さなバイクに乗っているの?

ここで、僕の電動バイクの旅を妻が大きなバイクでサポートする、それが僕たちの旅のスタイルなんですよ...なんて説明を始めたら、また面倒くさくなりそうなので、「オーケー、サンキュー、サンキュー!」と言いながらその場でバイクを交換した。するとそのポリスも「そう、そう、その方がいいでしょ」という感じで満足そうにうなずく。しかし、まさかアフリカの女性ポリスに、こんなことを指摘されるとは夢にも思わなかった。

⑥「鳴り響く盗難防止の警告音。その理由は!?」
アフリカ

アフリカも少しずつバイク人口が増えている

ピロロロロロロロッ♪ アフリカ、マラウイの某ホテル。朝早く、部屋の外から聞き覚えのあるバイクの盗難防止警告音が聞こえてきた。「えっ!?」「まさか!」と思い、窓を開けると、僕たちのバイクを知らない男が勝手に洗車しているではないか。盗もうとしていないことはすぐにわかったが、ビックリだ。おそらくチップが欲しくてやっているのだろう、しかし持ち主の許可も得ずに、勝手に洗うのはどうだろう? 普通では考えられないことが起こるのがアフリカなんだよね(笑)

男は僕たちが見ていることに気が付くと、「やってますよー」という感じで笑っている。

男はそんなことお構いなしという感じで、ひたすら続けている。なかなかの働き者だ。仕事が少ないアフリカ、そんな中で何とか収入を得ようと考えて、自分なりに頑張っているんだな。最初は勝手にやっているんだから、チップなんて払わないぞーと思っていたのだが、いつのまにか心を打たれてしまった僕たち。結局、少ないがチップを渡すことにした。渡すと嬉しそうに笑う。気が付くと「ありがとう、頑張ってね!」と声までかけていた。アフリカの旅はいろんなことを教えてくれる。

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