BBB MAGAZINE

  • MotorCycleDays

    2016.09.01 / Vol.36

    - page3 - 高速道路&各SAPA停車の旅...その⑤

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5.「よし、ラストスパートだ!」

津田の松原SA上では本格的な讃岐うどんが食べられる
津田の松原SA上では本格的な讃岐うどんが食べられる

今日最初の津田の松原SAのレストハウスに入ると、セルフ式の讃岐うどん屋があった。香川県なのでもしかしたら...と期待を抱いていたが、まさか本当にあるとは!ヒロコとふたりで鼻を荒くしながら讃岐うどんズルズルすする、うどん大好き夫婦であった。
瀬戸大橋を渡ると四国の旅も終わる。今日は天気がいいので、眺めも景色も気分も最高。海と島がいきいきと輝いて見える。長かった高速の旅も、中国道、名神道、東名道、東名阪道を残すだけとなった。SAPAも残り50ヵ所を切り、いよいよ先が見えてきた。 津山ICから中国道に乗る。今日は日曜日でどこも人がいっぱい。特に観光バスが到着するとSAPAは人でごった返す。しかしバスが出ると潮が引くように人がいなくなりウソのように静かになる。そのコントラストが面白い。

加西PA上雨の中で休憩はつらい
加西PA上雨の中で休憩はつらい

中国地方らしい、のんびりとした田舎が続く。穏やかな山々、寄り添うように集まる民家、豊富な水を湛える田んぼ、まさに日本の原風景だ。ダイナミックな自然の変化はないけど、人の気持ちを穏やかしてくれる。今日は午後から小降りになるはずだったが、昼過ぎからさらに激しさを増した。こんなときはバイクパーキングの屋根がありがたく感じる。中国道の上り線の最後、社PAに到着。これで中国道の全SAPA制覇となる。

淡河PA上で見つけたベンチ
淡河PA上で見つけたベンチ

少し走り神戸JCTから山陽道に入る。走り残していた「神戸JCT~三木JCT」を走るためだ。途中の淡河PAに立寄るが、雨がひどく落ちつかない。三木JCTを越えた先の三木東ICで一度高速を降り、今度は上り線。再び神戸ICに出ると、山陽道と中国道上下線完全走破となる。これで吹田JCTから西側の高速は全線走破。SAPAは700ヵ所。合計733ヵ所なので残り33ヵ所となった。順調に行けば3日で達成できるだろう。残るは名神道の上り線、東名阪道の高針JCT~四日市JCT間の上下線、東名道の上り線の3本となった。
「よし、ラストスパートだ!」

6.食はこのエリアが一番充実しているかもしれない。

尾張一宮PA下のレストラン。メニューが豊富すぎて悩む
尾張一宮PA下のレストラン。メニューが豊富すぎて悩む

名神道は日本の大動脈だけに交通量が多い。立寄るSAPAもトレーラーと乗用車で溢れ返っているし、レストハウスも「今日は日曜?!」と勘違いしてしまうほど混雑している。また、どの施設も大型で食事とお土産の内容も充実していた。SAPAに着くと休憩施設の内容、名物料理、おすすめのお土産などを見て歩くのだが、この路線はどこも盛りだくさん。楽しい反面、やることが多くなる。今日は暑く少し歩いただけで汗が滝のように流れた。
名古屋圏に入ると、きしめん、エビフライ、みそカツ、ひつまぶし、名古屋コーチン...うまいものが目白押しになる。食はこのエリアが一番充実しているかもしれない。
前回は渋滞で迂回で走れなかった区間や立ち寄れなかった尾張一宮PA(下り)などへ行くため、春日井ICまで行きUターンする。一宮JCTから東海北陸道へルートチェンジ。一宮木曽川ICで降りると途切れていた点線が一本の線になった。名神道の下り線と東海北陸道が完全に繋がりゴールが一気に近づく。

大山田PA下で食べたはまぐりラーメンはおいしかった
大山田PA下で食べたはまぐりラーメンはおいしかった

一宮JCT経由で名神道に入ると、いきなり「春日井から9km渋滞」の文字。「また渋滞かよ~」。1ヶ月前にひどい渋滞にはまり、ヒドイ目に遭ったので憂鬱な気持ちになる。きっとこの辺りは、名古屋の渋滞ポイントなのだろう。そのときに走り残した、東名阪道の四日市JCT~高針JCTを走るため、名古屋ICから東名阪に入る。
未走行区間にPAがあるのだがやけに遠い。1時間以上走って、ようやく大山田PA着いたときには、腹ペコMAX。名物「はまぐりラーメン」を食べると、これが予想以上においしかった。クリーミーなとんこつスープとはまぐりがベストマッチ。おいしいものは無限にあるんだな。
東名阪道の完全走破をして東名高速に戻ると、後はひたすら東を目指す。SAPAの間隔が狭く走っている時間よりSAPAで滞在している時間が長くなる。これも東名道ならではの体験だ。1ヶ月ぶりに浜名湖SAへ行くと、前回寄ったレストハウスが工事中で入れなくなっていた。そんな状況に時の流れを感じる。

7.ついにこの日がやって来た。

牧之原PA上で食べた茶そば
牧之原PA上で食べた茶そば

未走行区間は東名道の上り線、浜松IC~横浜町田IC間。SAPAは13箇所となった。この旅を始めたころは、ゴールははるか彼方... 毎日SAPAをひとつひとつ訪ねるだけで精一杯だった。それでも毎日走り続けていけば、いつか必ずゴールにたどり着く、そう信じてひたすら走り続けていた。塵も積もれば山となる。トラブルがなければ今日、目標は達成できるはず。「よしっ、行こう!」いつもより勢いよく、浜松のホテルを飛び出した。
浜松ICから東名道へ。高速はこの区間が最後。次に料金所から出るときはこの旅が終わるとき...そう思うと少し感傷的になった。それにしても東名道はトレーラー、トラックが多い。視界から姿が消えることがない。さらに驚くのがトラック野郎の運転、オーバースピード、無謀な追い越し、居眠りしているのかフラフラしたトラックまでいる。お陰でこっちは事故が起らないか、巻き添えを食わないか、常にヒヤヒヤしていた。
東名道のSAPAはどの路線よりも豊かだ。駐車場は大型で常に数十台のトラックが停車している。一般的にPAは小さな軽食コーナーと売店、トイレだけなのに、東名道のPAは軽食コーナーは広々しているし、おみやげも豊富。トイレも大型で、地方のSA顔負けの充実ぶり。高速にも格差があることを、この旅で初めて知った。

日本坂PA上で豪華にお寿司を食べる
日本坂PA上で豪華にお寿司を食べる

牧之原SAは大きいものの、食事メニューはこれといったものがなかった。だが、せっかく茶どころにいるので「茶そば」を注文する。麺はまずまずだが、ダシの醤油が濃い! しかしこれもゴール(関東)が近い証拠。良しとしよう(笑)。日本坂PAには魚介類を販売する「焼津さかな工房」、そこにお寿司屋があった。「寿司を食うぞ!」ヒロコとふたりで船に乗った「漁師寿司」を堪能。新鮮なネタ! これで880円は安い。かなりおすすめです。
どこで食べるか迷っていた静岡名物「桜海老のかき揚げうどん」を愛鷹PAで食べることにする。理由は簡単、安かったから。同じメニューなのにSAでは700円。それがここは420円なのだ。香ばしい桜海老と野菜の天ぷらはサクサクの食感、うどんとの相性もバッチリだった。お腹を摩りながら愛鷹PAを出る。さあ、残すところ5箇所だ。
噛み締めるように駒門PA、足柄SA、鮎沢PA、中井PAと順に巡って行く。これまで早を急いでいたのが嘘のように、歩みが遅くなった。「高速の旅もこれで終わりか...」「早く家でのんびりしたいなぁ」両方の思いが行ったり来たりする。

「海老名SA 3km」の標識が現れる。ここが733箇所目、最後のサービスエリアだ。ウインカーを点滅させSAに入る。自宅から一番近いSAだが、入るのは始めて。パーキングにDSC11を入れ、エンジンを切る。
「やった!全SAPA訪問達成だ」言葉にならない喜びが込み上げてくる。午後8時。相模原の自宅に無事到着。長かった旅は終わった。

8.SAPAはその土地の風土や文化を気軽に感じられる場所。

最後までノントラブルで走ってくれたヤマハDSC11
最後までノントラブルで走ってくれたヤマハDSC11

この旅で高速道路はただ早く移動するための道ではないということを知った。もちろんそれが大前提だが、大自然の中へ高速道を通そうとする人間のパワーと執念を感じる場所でもあった。SAPAはその土地の風土や文化を気軽に感じられる場所。確かに画一的な部分も多く、食事メニューはいまいち、お土産品もありきたり、そんなSAPAが存在しないわけではない。だがそこで働く人たちが知恵を絞って新しいメニューを考えたり、珍しいお土産を置いたり。オリジナルティーを出そうと、頑張っているSAPAもたくさんあった。その土地の方言を紹介したり、手作りの観光案内などは、見ているだけであったかい気持ちにさせてくれた。

海老名SA上で遂にSAPA全制覇
海老名SA上で遂にSAPA全制覇

SAPAのトイレは何百回と利用したが、汚いと思ったことは一度もなかった。それは、いつもキレイに掃除・管理をしてくれる人の存在があるから。この旅の途中、強い日差しを浴びながら草むしりをしている女性、殺風景なトイレに花を飾っている女性など、いろんな人たちに出会った。SAPAの清潔はそんな縁の下の力持ちの人たちによって維持されていることを忘れてはいけない


旅の間は毎日朝6時半に起床。一日300km以上走り、SAPAを10箇所以上回ってホテルに着く頃には、いつも日も暮れていた。それからシャワー、洗濯、夕食、家計簿などを書きながらブログ作成。作業が終わるのはいつも夜中の1時、2時。お陰で睡眠時間は4~5時間。お陰でサービスエリアを必死で駆け回る夢を何度も見た。いま思うとじっくり回るなら、一日250km・SAPA10箇所以下がベストだったかなと思う。
だが、それも終わった。いまは成し遂げた達成感と終わった寂しさに包まれている。

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