BBB MAGAZINE

  • 部品交換「改」

    2020.01.14 / Vol.03

    HONDA DIO(AF25 DIO)フロントブレーキO/H&フルード交換

CREDIT

流用性高いディオのディスクブレーキ!

ディオの歴史は初代のAF18から始まるが最初はドラムブレーキでした。それがAF25のディオSRからフロントがディスクブレーキになり、以降はAF28のスーパーディオSRやリアスポイラー付きのスーパーディオZXにディスクブレーキが採用されていくことになる。様々な原付カスタムにおいてもディオ系のフォークやホイールごと移植することでディスクブレーキ化流用されている。今回はこの汎用性の高いディオのフォーク&ブレーキをO/H&フルード交換してみます。例によって今回も、阿佐ヶ谷の太洋モータースさんの場所と工具をお借りしての作業です!

街乗りで酷使されることが多いディオなだけに、中古を買った場合には大概はオーバーホールが前提となる。フロントのディスクブレーキに関しては完全に固着しているものも多い...。O/H時に必要となるのがこれらの部品。できればピストンなども変えれば完璧だが、そこは一度バラして程度を確認して、必要があれば部品注文すればOKだ。

車体に付けられている状態でキャリパーとマウントを止めているボルトを先に緩めておく。キャリパーをサポートから外してしまってからでは、ボルトが固着している場合に外し難いからだ。まずはメクラ蓋をマイナスドライバーなどで抉って外します。

蓋を外せば中にはヘキサゴンボルトがいるので、これをキャリパーを外す前に緩めておく。蓋が付けられているのは見栄えのためもありますが、できるだけゴミなどが入らないようにするためでもある。まあ、それにしてもサビていますが...。

知識や経験がない人はブレーキは触らないように

今回はフルード交換もするのでマスターシリンダーの蓋を外して(蓋を止めているプラスねじが固着していると非常に外しにくい場合もある)、ダイヤフラムも取り除きます。ちなみにブレーキ関連をイジるときは自分の車両だけ。他人の車両を触ることができるのは有資格者だけです。

ブリーダーボルトに付いているゴムキャップを外し、エアで吸い上げる負圧式のブリーダーをセットします。

負圧式ブリーダーで吸わせたりしなくてもバンジョーボルトを緩めればフルードは出てきます。もしフルードが垂れたら即パーツクリーナーで処理すること。塗装面に付いたままで処理しないと塗装が侵されます。

ブレーキキャリパーが外せました!

ディオのキャリパーは片押し1ポットピストンなので作業工程は少ない。キャリパーの構造は基本的に似たようなものなので、覚えておけば他車種の場合でも参考になるでしょう。

まずはサポートを外しますが、キャリパーマウントボルト(最初に緩めておいたヘキサゴンボルト)とサポートの間には小さめのゴムのブーツが入っています。これは新品にするので取り除く。

サポートのピン部分にもゴミが付着していました。こういったものが各部積み重なって、次第に動きが悪くなるのです。ピンブッシュブーツも新品に変えるので取り外す。

パッドの動きの要の1つとなっているのがこのキャリパーピン。2本ともここまで錆びついていたら、そりゃ動きも悪くなるので新品交換ですね。

パッドをピンに押し付けているリテーナーも取り外す。これはツメが折れていたりクラックが入っていたら交換しますが、汚れているだけなので洗浄して再利用します。組むときは向きを間違えないように覚えておくこと。

ブリーダースクリューも小さな穴から排出することになるので、詰まっているとエアが抜き難いことも。今回は新品に変えてしまいます。

サポートにマウントしているボルトは古くなったグリスや長年の汚れで見事に固着していたので、棒とハンマーを使って叩いて取り出しました。

ピストンをスンナリ外せるかが最大の山場

ピストンを外すにはピストンツールを使います。ピストンサイズによっては使い難かったりするので、ピストンツールは大小いくつか用意しておくと良いでしょう。

ピストンは固着していなければスンナリ外せます。固着していた場合はもう一度ブレーキを組んで油圧で押し出さなければならなくなることも...。O/H作業開始前にブレーキレバーを握って、ピストンツールが入る程度にピストンを少し出しておければベストですが、ピストンが固着しているとそれもできなかったりもしますが...。外し難い場合は良いピストンツールの選択も重要。やはり高い工具にはそれなりの理由がありますから。

2つ付いているピストンシールを外します。ブレーキの熱で酷使されるところだし、そもそもゴムなので劣化するし、ここもピストンの動きの要になります。

キャリパー全バラできました!

キャリパー全バラ完了です。ガチガチに固着しているわけではなかったので、作業は比較的スムーズでした。ピストンは洗浄すればまだ使える状態でしたので再利用します。

キャリパーボディの中にもフルードやらグリスやらが固まったと思われるゴミが入っていました。水洗いした後に鉄粉除去剤の『ワコーズRRラストリムーバー』をスプレーして放置しておけば、ブレーキダストや鉄粉が除去できます。

ナイロン系のブラシで擦ることで洗剤をより広範囲に塗布させつつ、汚れを擦り落とせます。最後に水で注いだら、見た目にはとてもキレイになりました!

綺麗に見えてもまだ掃除!!

実は外側はキレイに見えても、ピストンシールが入る溝にはまだまだ落としきれないゴミが残っているのです。それらはブレーキキャリパーシール溝クリーナーで落とします。

ブレーキキャリパーシール溝クリーナーをシール溝に当ててこそぎ落すようにして汚れを取っていきます。耳垢のようにこびり付いた汚れが取れますが、これはアルミサビやブレーキダストでしょう。ちなみにこの作業はシール溝を傷つけてしまわないように要注意しつつも入念に行いたい。そのため結構時間かかります。

これで清掃は完了です! 溝の中までキレイになりました!! この溝をしっかりと綺麗にしないと、O/Hしたつもりでも動きに支障が出ることになるし、そもそもピストンシールがきちんとハマらなくなりますからね!

ピストンを再利用する場合はワコーズRRラストリムーバーを付けたら真鍮ブラシで擦って汚れを落としておきます。

ここからは組み上げです!

組み替える部品の摺動部には全て耐熱シリコーンブレーキグリースを塗布します。普通のグリースではブレーキの熱で溶け出したり、耐久性が低かったりしますからね。

ピストンシールを装着します。このピストンシールがピストンに密着していることによって、ブレーキをかけてピストンが油圧で押し出された状態から元の位置にピストンを押し戻してくれるのです。ピストンの戻りが悪いとかブレーキが引きずっているといった症状の時にはここも疑うこと。

ピストン外周にも薄く耐熱シリコーンブレーキグリースを塗布したら、シールに無理な力がかからないようにしながら押し入れます。斜めになったまま押し込んだりしないように要注意。

ピストンやキャリパーボディが当たるパッド裏側にはディスクパッドグリースを塗布します。こちらはブレーキの泣き防止になるディスクパッド専用のグリースなのです。

あとは元通りに組み込んでいきましょう。キャリパーサポート側のピンも摺動部なので、耐熱シリコーンブレーキグリースを塗布しておく。

元通り組み込めたらほぼ完成です。キャリパーサポートの2つのボルトを本締めしてから、キャリパー本体とサポートを止めているヘキサゴンボルトを本締めするのをお忘れなく!!

ブレーキフルードの交換です

DOT規格が適合するブレーキフルードを入れます。なお、DOT規格に適合していないブレーキフルードを長期間使用し続けると、周辺部品の腐食が早くなったり作動性が悪くなる恐れがありますからね。

最初に抜いた時と同様に負圧式のブリーダーでブレーキホース内のフルードと共にエアを引っ張ります。エアが全て出きった後にブレーキレバーを握って、違和感がなければOK。

キャリパーやマスターシリンダー側にゴミが詰まっていると、いつまでたってもエアが抜けなかったりもします。今回はキャリパー側のO/Hのみでしたがエアはスルスルと快適に抜けてくれました。もしキャリパーをO/Hしてもエア抜けが悪かった場合には、マスターシリンダーの方を疑ってみてください。

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