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    2017.06.16 / Vol.15

    2017年マン島TTレース情報! 決勝レースレポート Vol.2

Vol.3 日本の4メーカーにトライアンフがどれだけ食い込むか?!スーパースポーツTT1決勝レースレポート

今年で110年目となるマン島TTレース。5月27日(土)から6月9日(金)までの2週間にわたって開催される伝統のTTですが、今年は天気に翻弄され、大幅にスケジュールが変更されました。 Vol.3では本来、月曜日と水曜日に2レース行われるはずだった600ccメインのスーパースポーツTTのレポートを、マン島TTレースに通って21年のTT第一人者、小林ゆきがお届け!日本からは山中正之選手が初参戦。果たして、結果はいかに......?!

スーパースポーツTT1

3分だけディレイ
レース直前に何らかの理由で3分だけディレイ(遅延)する旨、表示されました。コース全体はコースマーシャルとトラベリングマーシャル(バイクでコースを回るマーシャル)が無線で連絡を取り合っていて、例えば路上になにか異物を発見したときなどにこのような措置が取られます。

主に4ストローク4気筒のマシンで競われるスーパースポーツTTは、TTレースウィーク中、2レースが行われます。このスーパースポーツクラスに、TTには初参戦する山中正之選手がエントリー。山中選手は、TTと同じコースを使った登竜門的レースのマンクスグランプリに昨年、一昨年と2年連続で参戦して実績を残し、今年初めてTTへの参戦が認められました。TTレースはエントリーすれば誰でも出られるわけではなく、全日本レベルの国際ライセンスライダーでも、このように主催者による書類審査のようなものがあります。スーパースポーツクラスは、トップライダーがどのメーカーのバイクで走るかも見どころ。というのも、TTなどこちらの公道レース事情として、いくつかのレースにダブルエントリー、トリプルエントリーすることは当たり前で、スーパーバイクはBMWに乗るけどスーパースポーツはヤマハに乗るといったことが普通に行われるからです。例えば、スーパーバイクでスズキに乗るマイケル・ダンロップ選手はスーパースポーツはヤマハ、ギャリー・ジョンソン選手はスズキとトライアンフ......といった具合です。1000㏄と600㏄ではマシンの扱い方も違い、1000㏄で速いライダーが必ずしも600ccで速いとは限りません。

ブルース・アンスティ選手
ゼッケン1のリー・ジョンストン選手がプラクティスで転倒・骨折し欠場となったため、トップで出走のブルース・アンスティ選手。アンスティ選手はニュージーランド人で、今年48歳になる大ベテランです。アンスティ選手にもレースディレイが告げられました。

そんなスーパースポーツの予選でトップタイムを記録したのは、ウイリアム・ダンロップ選手でした。父は故ロバート・ダンロップ選手、叔父は故ジョイ・ダンロップ選手、弟はマイケル・ダンロップ選手というレース一家で育ちました。ウイリアム選手は2ストロークの125cc、250㏄の時代から軽量級が得意で、今回もそれを発揮した模様。ラップタイムは18分04秒049(平均時速125.297マイル(200.475キロ))でした。一方、山中選手は19分49秒959(平均時速114.145マイル(182.632キロ))で、70台中62位で予選を通過しました。スーパースポーツは4周、約240kmで行われます。2周したのち、給油とタイヤ交換のためにピットインします。エンジンが壊れやすくそのぶん完走率が低く、まずは完走を目指したいところ。

イアン・ハッチンソン選手
トライアンフのデイトナに乗るイアン・ハッチンソン選手。もちろんこのクラスでの優勝経験もあり、期待されます。

1周目トップに立ったのは、カワサキに乗るジェームズ・ヒリアー選手。続いて、ヤマハに乗るマイケル・ダンロップ選手、カワサキに乗るディーン・ハリソン選手というラインナップになりました。TTは一斉スタートではなく、10秒ごとに1台づつスタートするタイムトライアル方式です。このため、先にスタート&ゴール地点に戻ってきたからといって速いとは限りません。このスーパースポーツレース1も4位にゼッケン15番でスタート順も15番手からのウイリアム・ダンロップ選手が食い込んできたリ、14番のダン・ニーン選手が8番手になるなど、ライブタイミングを見ないことには順位がわかりにくい展開となりました。

山中選手
日本から参戦した山中選手のピットインの様子です。非常に冷静に、ていねいにクルーの皆さんが作業されていました。転倒も故障もなく完走することが難しいTTレースでの完走、本当におめでとうございます!

2周目にはマイケル・ダンロップ選手がトップに立ち、トライアンフに乗るピーター・ヒックマン選手が3位に浮上。結局、マイケル・ダンロップ選手(ヤマハ)がそのままトップでゴール。2位ヒリアー選手(カワサキ)、3位ヒックマン選手(トライアンフ)が続きました。山中選手は49位で完走しました。※天気に翻弄された今年のTTレースですが、結局、スーパースポーツレース2は中止となりました。

【RSTスーパーバイクレース】

エントリー 81台
決勝出走 68台
入賞・シルバーレプリカ 1位~20位
入賞・ブロンズレプリカ 21位~47位
完走 53台

【リザルト】

1位 マイケル・ダンロップ ヤマハ
2位 ジェームズ・ヒリアー カワサキ
3位 ピーター・ヒックマン トライアンフ
4位 ウイリアム・ダンロップ ヤマハ
5位 イアン・ハッチンソン ヤマハ
6位 ギャリー・ジョンソン トライアンフ

マン島
マン島

マン島公式サイトはこちら♪♪

TT公式サイト:https://www.iomtt.com/

リザルト:https://www.iomtt.com/TT-Info/Results-2017.aspx

バイクジャーナリスト 小林ゆき

【略歴】横浜育ちのバイクブーム世代。バイク雑誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライダー&ライター。バイクを社会や文化の側面で語ることを得意としている。最近、KAWASAKI Ninja H2を購入。普段は総走行距離24万㎞に達した愛車GPZ900Rでの街乗り派だが、自らレース参戦したり鈴鹿8耐監督を経験するなど、ロードレースもたしなむ。ライフワークとしてマン島TTレースに1996年から通い続け、モータースポーツ文化について研究中。

http://yukky.txt-nifty.com/bikeblog/

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