BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2011.02.25 / Vol.14

    しらぬひ亭の貝汁定食(熊本県宇城市)

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

日本一短い国道
道の駅不知火は物産館、温泉など設備が充実しているので休憩地として最適。

今年の冬は寒いですね。ここ数年では一番じゃないですか。僕が住んでいる神奈川は比較的温暖な土地だけど、それでも早朝、道に氷が張っていることがあるので、かなりです。車と違って囲いもなく全身剥き出しで走るバイクの一番の敵は寒さ。

走るだけでもかなりキツイのに、そこに雪や凍結での転倒の危険が加わるので、冬場は見かけるツーリングライダーの数がガクッと減ります。そんなことから今回はできる限り温かいところへと思い、行き先を九州にしました。海と山の幸が豊富な九州ならきっとおいしい食に巡り会えるはず。そんな確信と期待を抱えて、家を飛び出した。

不知火
実はここ不知火が清見とポンカンをかけ合わせ作られたデコポン発祥の地。

陸路でひたすら九州へ向かう。もちろん相棒はいつものリトルカブ。旅の走行距離は4万キロを越えたが、故障もなく絶好調をいまでもキープしている。ちなみに燃費は荷物満載走行にも関わらず驚異のリッター70km。やっぱり究極のバイクです。原付は高速道路を走れないのでもちろん下道オンリー。トコトコと西を目指す。

雪
山間部には雪がたくさん残っていた。スノータイヤに替えておいて正解だった。

「ウソだろーっ!これがホントに九州なの〜」思わず悲鳴を上げた。四国からフェリーで九州大分に上陸。少し山道に入ったらいきなりの白銀の世界、道には積雪、風が切るように冷たい。「九州は常夏だなんてウソじゃないか。そんなこと言ったのはどこのどいつだ…!?」って、僕の勝手な思い込みじゃないか(笑)。それにしても九州がこれほど寒いとは想像もしていなかった。実は日本海側からやって来る寒波の影響を関東よりも九州の方が受けやすいのだ。福岡県から熊本県へ南下する。春なら確実に阿蘇方面へ向かうのだが、いまは確実に寒いので、暖を求めて天草方面へ向かう。

熊野磨崖仏
国東半島にある熊野磨崖仏。岩壁に掘られた不動明王像の高さは8mもある。

宇土半島を走る国道266号。八代海に面した海岸線にある「道の駅不知火」に立ち寄る。パームツリーが立ち並び南国情緒は漂っているけど…、でも、やっぱり寒い。お屋敷風のレストランに入りメニューを開く。すると刺身、天ぷら、だご汁などの定食と並んで、貝汁定食なるものがあった。そういえば、貝汁定食って聞いたことがあるようで、なかったかも。このお店のおすすめ名物らしいので、食べてみることにする。一体どんな汁なんだろう?期待に胸を膨らませながらテーブルで待つこと10分。

貝汁とごはん
プリプリ食感のあさりが入った貝汁とごはん。追加料金であさりご飯にできる。
河原でキャンプ
旅の大きな楽しみは食べること!食べ過ぎでお腹が気になる今日この頃(笑)

運ばれてきたお膳には、ごはんや小鉢を一緒に大きな蓋付の椀が乗っていた。思ったよりかなり大きい。胸の高鳴りを押さえながら、そっと蓋を開ける…「おおおおっ、スゴ〜イ!」なんとビックリ。数え切れないくらいたくさんの殻付きのあさりが大きな器からはみ出さんばかり、山盛りいっぱい入っているではないか。貝汁といってもまさか、こんなにたくさんの貝が入っているとは夢にも思わなかった。

天草
穏やかな風景が広がる天草。オールシーズン楽しめるツーリングエリア。

まず見た目で圧倒される。食べてみると、あさりは肉厚で歯ごたえ十分。プリプリシコシコ、とても新鮮。あさりの入っているのは味噌汁で、貝から染み出たダシがいい感じで染み込んでいる。これまた予想を超えるおいしさだ。量がとても多いので、食べても食べても、まだ残っているのがまた嬉しい。ごはんもガンガン進む。ちなみに後で数えたら39個も入ってました(笑)。一度にこんなにたくさんのあさりを食べたのは生まれて初めて。サイドの茶碗蒸し、煮物、漬物も丁度いい味加減だった。さらにフルーツが付いているのもグッド。量も、味も、全てに大大大満足の貝汁定食であった。

西海橋公園
渦潮の急流を跨ぐように架かる西海橋。西海橋公園は桜の名所としても有名。

大きくなったお腹を抱えて外に出ると、海風がとても心地いい。昼ごはんを食べた「しらぬひ亭」の隣には日帰り入浴施設、不知火温泉「ロマンの湯」があった。体が温まるし気持ちよさそうな露天風呂もあるようなので、ひとっぷろと行きたいところだったが、まだ昼の12時。この時間にぬくぬくを味わってしまったら、その後寒空の下を走る気力は確実になくなると思ったので、止めておく。

天草ロザリオ館
丘に立つ大江天主堂。近くにキリシタンの遺物を展示する天草ロザリオ館がある。

再びリトルカブに跨ると天草五橋を越えて、天草諸島の上島、下島と渡って行った。天草はキリスト教が広がった土地で、天草・島原の乱などの悲劇が起きた場所としても知られている。天草にはキリシタン墓地のほか、島津天主堂、大江天主堂等の美しい教会もいくつもある。また美しい海岸線が多く、日本三大松島のひとつ「天草松島」も人気が高い。ここから熊本市内方面へ足を伸ばせば熊本城や水前寺公園があり、さらに足を伸ばすと草千里や大観望など雄大な大自然の風景が広がる阿蘇もある。天草周辺はツーリングの魅力が満載のエリア。雪が溶けて春がやってきたら、みんなで熊本へ!貝汁定食ツーリングに出かけよう!

サンセットライン
夕陽が美しい下島の西海岸、国道389号はサンセットラインと呼ばれている。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

貝汁定食 880円(税込)

~今回の旅ごはんinfo~

しらぬひ亭(道の駅不知火内)
住所:熊本県宇城市不知火町永尾1910-1
TEL: 0964-42-3300
定休日:なし

道の駅不知火

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