BBB MAGAZINE

  • 全国「旅ごはん!」バイク紀行

    2012.09.25 / Vol.33

    天神屋の静岡おでん(静岡県静岡市ほか)

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    藤原かんいち

    • 撮影

    藤原かんいち

    • バイク

    リトルカブ

バイク旅
寒い冬でもバイクツーリングが楽しめるのが静岡県のいいところ。

今年の冬は特別寒い。年が明けた1月には都内に爆弾低気圧が来て大雪を振らせた。僕の住む神奈川県でも最低気温マイナスを何度か記録。正直、この時期はバイクに乗る雰囲気ではない。地球温暖化がウソのような寒さが続いている。こんな季節にピッタリなのは、やっぱり温かい食べ物。身も心も温まるような食べ物といえば、やっぱり「おでん」でしょう!

僕は小学生の頃、東京都内に住んでいたのだが、冬の夕方になると屋台を引いたおでん屋さんが公園にやって来た。4つ上の姉と一緒に公園へ行き、ブランコに揺られながらおでんを頬張った記憶がある。ここ数年...というかあれから数十年、おでんの屋台を見たことがない、いま思うとまさに昭和の風景だったような気がする。最近は自宅で作ったり、コンビニや居酒屋などで食べることが圧倒的に多くなった

富士山
富士山は外せないスポット。乾燥している冬は全景が見える可能性が高くなる。

全国各地、冬の味覚として親しまれているおでんだが、地方によって具材や味付けが微妙に違うこと知ったのは比較的最近。全国にある同系列のコンビニおでんでも、北海道ではタケノコやつぶ貝のおでんがあったり、西では関東では定番のはんぺんやちくわぶなかったり...旅をするようになってから地方色があることを知った。

おでんの話で思い出したのが「静岡おでん」。地名が直接付いているおでんは全国でも珍しい存在。静岡なら近いし、これは食べてみる価値があるかも。そんな訳で西日本の旅を終えた帰路で食べてみることにした。

石廊崎
伊豆半島の南端、太平洋に突き出した石廊崎。断崖絶壁に波が砕ける。

食べるものは決まったけど、どこへ行けば食べられるのか?静岡県内ならどこでもたべられるのか?鳥羽から伊良湖へ向かう伊勢湾フェリーの中で考えてみる。とりあえず最近使い始めたiphoneをネットに繋いで調べてみると、食堂、飲み屋、駄菓子屋など至るところで食べられることがわかった。まあいいや、国道を走っていて、おでんの看板があったらそこに入ってみよう(なんとアバウトな...笑)

河津七滝ループ橋
伊豆半島の真ん中、国道を走っていると突然現れるのが「河津七滝ループ橋」

そんなことも忘れかけていた時、国道1号清静バイパスの清水ICの近くで見つけた「天神屋(テンジンヤ)」に何気なく入った。静岡県内を走っていると、あちこちで見かけるお弁当・惣菜のチェーン店だ。店内を見回すとラッキーなことに静岡おでんコーナーがあった。おでん鍋の中を覗くと黒い煮汁の中から串がニョキニョキと出ている。「おおっ、これが噂の静岡おでんかー!」テンションが上がる。テーブルがあったので店内で食べることにする。

たぬきむすび
静岡県内に90店舗以上を展開。コンビニと一緒になった店舗もある。

牛スジ、なると、大根、珍しいところでジャガイモ、そして静岡おでんの象徴である黒はんぺんを選ぶ。全5品。おむすびコーナーを見るとひとつ63円と安い。コンビニの半額じゃないか。さらに「梅じゃこむすび」「たぬきむすび」など。食べたことのない具材のおむすびが並んでいる。うーん、食べてみたい。ついでにこっちも買っておく。

静岡おでん
黒い煮汁、黒はんぺん、青海苔と鰹節をかけて食べるのが静岡おでんの特徴。
下田港
ペリーの記念碑が立つ下田港。当時の人々はどんな思いで軍艦を見ていたのだろう。

からしを付けて食べるのも普通にアリだが、ここは静岡おでんらしく青海苔をパラパラと振りかける。これはお好み焼きと同じ感じだ。(さらに鰹節もふりかけるようだが、この時はすっかり忘れていた。置いてあったかも不明)

「いただきます!」ではまず、大根から。ダシがよく染み込んでいて柔らかい。口の中で溶けて行く。香ばしい青海苔ともよく合う。大根は定番中の定番だから、間違いない。次のなるとは適度な弾力があり、噛むほどに練り込まれた魚の味がにじみ出てくる感じ。ズッシリと重く、食べ応えがある。次は牛スジ。関東ではあまりポピュラーではないが、西では定番の具材だ。これまたとろけるように柔らかい。噛むと肉が持っている本来の旨味とコクがドン!とダイレクトに伝わってくる。なのに意外にもサッパリしていて食べやすい。ペロッと食べてしまった。

と黄色い花
太平洋沿いに延びる国道150号、春になると黄色い花が美しく道を彩る。

そして、勝手にメインと思いこんでいる、黒はんぺん。関東で食べられているフワフワとした食感の白いはんぺんとは違って黒くて固い。魚肉のすり身に皮や骨も入っているらしい。食感は歯ごたえがあり、ちょっとザラザラしている。いつも食べているつみれに近い感じ。魚の味が強く、大人のおでんという雰囲気。なかなかおいしかった!

「白糸の滝」
数ある静岡の観光スポットの中でも、特にお気に入りなのが「白糸の滝」。

ラストはジャガイモ。ホクホクとした食感と自然の甘味が芋の魅力、素朴な味わいを最後に楽しみ、終了となる。満足。思ったよりもお腹にたまったが、食いしん坊の僕は続けておむすびに取りかかる。揚げ玉が混ざった、たぬきむすびを食べるのは初めてだが、ごはんとダシが沁みた天かすの相性バッチリ。これはうまい。もうひとつの梅じゃこむすびは梅がサッパリとしていて、食べやすかった。さすがにもうお腹いっぱい。幸せいっぱいになった。

太平洋に面した静岡県は比較的温暖な気候の上、観光スポットも豊富。普段食べているおでんとはひと味違う静岡おでん。静岡県全域にある天神屋なら、安く気軽に食べられるので、ぜひ一度お試しあれ!!

日本屈指の茶所
静岡といえば日本屈指の茶所。できればおでんと一緒に緑茶も楽しみたい。

かんいち的採点表

あじ:

ボリューム:

値段:

■おでん各種 84円(税込)ほか

■おむすび各種63円(税込)ほか※値段は企画等で変わることがあります。

~今回の旅ごはんinfo~

天神屋・八坂店
住所:静岡県静岡市清水区八坂北1-10-7
TEL: 054-367-5200
URL:http://www.tenjinya.com/

天神屋・八坂店

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