BBB MAGAZINE
CREDIT
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- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
隅本辰哉
-
- バイク
Vespa
前回に引き続き、今回も「旧車レストア編」をお届けしちゃいます。 この連載のスタート段階で洗いだした"レストアに必要となるパーツ類"も、今回の分であらかたそろったんじゃないかという段階まで到達しちゃってます。 なので、今回も届いたパーツの紹介を中心にしつつ、"パーツ再生"や"メッキ処理"といったレストアに欠かせない作業項目についても触れていきますからお見逃しなく!
ではでは、「旧車レストア編」の第7話、いってみましょう〜!!
"自分の中の正解"という基準を作る
前回以降に届いた手配パーツ類がこちらで、まあまあ大量です。これで当連載の初期段階で洗い出したものはあらかたそろったことになり、仮組みによってかなり現実感のあるイメージ作りができるレベルになったと思います!
なんだか前回と展開がかぶり気味ながら、それでも新たに入手した手配パーツについて説明していくことにしましょうか。詳細は装着箇所にあてがいながら進めるので、それぞれの写真に入るキャプションをご覧くださいね〜
なので、ここでは「これまでの苦労」についておさらいしておこうと思います。まずざっくりと、なにが足りていないのかをチェックして、マッチングするパーツを手配していったワケです。
ここで言うマッチング・パーツとは、車種や年式を特定したうえで本来付いているものがなんなのかを調べながら......まあVNB2用として売られているものを買うんですけど、本当にそれが正しいのかどうかというのをいろいろ調べないといけないんですよ。そのために極力ノンレストア車とか、そういう車両の資料を数多く見るという努力が不可欠になります。
でも、それってけっこう大変なことじゃないですか。たとえば機会を得て見に行った車両のオーナーさんがオリジナルだと言ったとしても、何十年も経っているなら途中でなにか部品を交換している可能性もあるし、そのことを記憶していないという可能性もあるワケです。そして修理歴がある場合に、そこで使われた部品まで把握していないなんてこともあり得ることなんです。そうなると、もう数を見るしかない。数を見て「やっぱりこっちのほうが多いね。そうするとこれが正しいのかなぁ」と、あくまで確率の高いものを"自分の中の正解"としつつクエスチョンマークで進めるしかないんです。当時の新車を持っているワケではないので、こうして"自分の中の正解"というのをその時その時にできるマックスとして判断基準とするワケです。
そういった確認や調べごとというのは、製作中も製作後も続くことなんですね。「間違いなくこれが正解です」というものがわからないので。意外に完成してしばらくしてから「うわ、ここ違った」なんてこともあるんですよ。だから極力そういうのをなくしたいじゃないですか。せっかくやるんだったら、二度手間よりは一回で済ませたいというのが本音なワケですよ。
たとえばヘッドライトにはポジション付きとポジションなしがあって、ポジション付きのほうを調達したとします。でも、じつはポジションなしが正しいと判明したらライトやハーネスを変えればいいんです。新たに手配するので部品代や送料が必要になりますが、それでなんとかなります。もちろん予算に余裕がないのなら、こういったケースもなくしたいところですけどね。
削れたセンタースタンドの再生
レストアという作業の中に再生という手法は不可欠なんですよね。その一つの方法として、今回は削れて短くなってしまったセンタースタンドの再生をお見せしましょう。カンタンに言うと、斜めに削れてしまった足の延長による再生ということになります。延長の方法は削れて減っていた部分をスパンと切り落としてから、そこに溶接すべき同径パイプ(別のスタンドから切り出したもの)を用意します(写真a)。そのパイプを溶接で継ぎ足し(写真b)、それを適度な長さに切りそろえ、さらに表面を処理して仕上げるというもの。 今回は、その溶接作業をQUARTER-DRAGONにお願いしました。ちなみに仕上げの最終段階はメッキ処理を施す予定にしています
TMAXのカスタムなどを得意とし、各種カスタムからワンオフパーツ製作まで対応。店頭にある派手なベスパ・レーサーでVespaGPというレースに参戦中。その縁から今回は協力していただけることになった
【店舗情報】
住所◎東京都墨田区立花4-7-6
TEL◎03-6751-9000
営業◎11:00〜20:00
定休◎水曜日、祝祭日(イベント参加時は臨時休業)
http://www.quarter-dragon.com/
リペイントする事態を絶対に避ける
さて、先ほどの続きです。失敗をなくすためにこそ勉強して、できるだけ間違いのない情報を元に進めていくべきなんです。......が、しかし勉強して部品を手配すればなんとかなるなんてレベルではなく、もっと大がかりな事態に発展するような間違いだったり勘違いというのもあります。まあ、そういうことは絶対に避けたいワケですけど。 例を挙げるとセンタースタンドの固定方法は1点止めが正しいのに、強度の問題で2点止めに変えているといった変則的なケースですね。このことを知らずに2点止めとして進めてしまい、作業完了後に間違いだと気づいたら1点止めに戻した場合に穴が開いた状態になってしまうんです。こうなると色を剥いでから穴を溶接で埋めて再塗装することになり、相当な手間と時間とお金がかかってしまうという事態になってしまいます。それはどうしても避けたい部分じゃないですか。なのでそうならないように、とくに根本からの修正が必要となるようなところは念入りに注意していくようにしたいものです。
あと、付いているものの穴の位置や穴数が違うというのもアウトです。絶対、塗装後にリペイントするような事態があってはならないんですよ。多くの人にとって手間も時間もお金も気にならないなんてことはなく、できれば間違いによる部品の再購入だって避けたいハズじゃないですか。 だから最初の話に戻って、何が正しいかを自分自身が確証を持てるところまで調べて手配するようにして欲しいんですよね。そこまですればたとえ間違っていたとしても自身で納得してるワケで、「やれるだけはやった」と言えるところまで調べて手配しているなら、その時点でのマックスの状態なので「まあ、仕方ない」と考えられるハズです。
それがもしも「それはVNB2用だから」と言われるがままに買ってしまったものだとして、じつはそれが違っているとわかったときの落胆ぶりはハンパないでしょう。だからこそ、そういう事態に陥らないためにも調べる必要があるんです。
そうして調べた次のステップとして、それをどこにオーダーするのかということも重要になります。それにリプロ品にも製造元はいくつかあって、製品レベルの良い悪いがあるんです。だからどこのものが良いのかも重要でしょう。ただ良し悪しやクオリティについては、けっきょく取り寄せてみないと分からない。そこにも問題があって、オーダーすれば送料が発生しちゃいます。しかも海外へのオーダーというケースも多くなると思うので、できることなら1箇所にまとめたい。でもリプロ品の良し悪しがあるから「ここだと◯◯◯が良い。◯◯◯はあそこのほうがいい」というように、オーダー先も考えさせられるワケです。じっさいにはオーダー先が増えると送料もそれだけかかるので、その辺も難しい。 お金が関係ないなら悩む必要もないでしょうけど、多くの人には現実問題としてお金が絡んでくるでしょう。部品探しから発注をどうすべきか、そういったことに必要な情報収集や勉強、それに対する支払いの問題など。とくにここから先の段階では、板金、加工、塗装、メッキなどのボディワークが不可欠となるので、支払い問題は完成するまで終わらないワケです。だから始めたはいいけど、そこがつまづくところだと思うんですよね。
メッキ処理に関して
一つ前の「削れたセンタースタンドの再生」という囲み記事で「最終段階はメッキ処理を施す予定」としていますが、メッキに関して少し詳しく掘り下げていきましょう。 まず先の囲みでセンタースタンドを再生しているワケですが、リプロ品のメッキスタンドを手配していることに疑問を持つ人もいるんじゃないでしょうか。じつはメッキというのは不安定というか、出来上がりの状態が読みにくいものなんです。そのためメッキしてみないと仕上がりがわからないという部分があります。なので再生したセンタースタンドのメッキ処理後の仕上がりに納得できない場合を想定して、あらかじめリプロのメッキセンタースタンドを手配しておいたワケです。 再生センタースタンドについては曲がりがあるワケではないので、使えるかどうかで言えば問題なく使える状態。だからメッキさえ納得できるレベルに仕上がれば、再生したほうを使いたいと考えています。それにできるだけオリジナルの部品を使いたいという意味もあります。 そもそもメッキ処理とは素材表面の状態に仕上がりが左右されてしまうもの。素材そのものに直でかけるため、塗装のときのようにパテ成形ができないことが理由なんです。なのでボルトのような単価の低い部品だったら可能な限り多めにメッキをかけるようにして、その中からイメージに合う仕上がりのものを選ぶようにするのが理想です。そうすることが結果として安くて早い、ベストな方法だと言えます。
仮にダメだったとき、メッキというのはそのまま再メッキすることがNGです。素材の地が掘れてしまっているので、表面をもう一度研磨して平にしないと綺麗に再メッキできないし、そうすることで寸法が変わってしまうようだと使い物になりません。場合によっては真鍮を盛って削って再メッキ処理を施すことになりますが、その場合にはメッキの乗りに差が出てしまう可能性があります。そんなワケで基本的に一度ダメだった場合、物にもよりますが細かい所を気にする人は再メッキ処理はあまり考えないほうがいいでしょう。 だから使用はできるけど見た目に耐えられない場合、そういうのは省く必要があるし、仕上がりのいいものを使いたいから同じものを複数個メッキ処理するのが理想なんです。 ちなみにメッキを頼む前の下準備として当連載の協力者であるムゼオでは、ペーパーや真鍮のワイヤーブラシ、場合によってはウエットブラスト処理をおこなうようにしているとのことでした。ただし処理して下地が見えたときに表面が掘れていたら使えないので、そういうものはメッキをかけずにとっておき、新品ボルトなどでは雰囲気のあわないヤレた車両に使ったりするということです。なおサンドブラスト処理は表面を削って梨地のような仕上がりとなるので、メッキのための下準備には向いていないと考えているそうです。
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