BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
隅本辰哉
-
- バイク
Vespa
さてさて今回からいよいよ「スモールで遊ぶ編」をお届けしますよ〜......って、スモールってなに? となっちゃいますよね。そんなベスパ初心者も大丈夫!
ちゃんと一から説明していくことにするので、安心してください。「なんだかベスパってよさそうだよね」とか、「ベスパって楽しそうかも」なんて思い始めちゃってる人、どんどんウエルカムしちゃってくださいね〜 それでは「スモールで遊ぶ編・第1話」、始まります!!
最初に選ぶべきは50Sというモデル
まずベスパで遊ぶってどういうことか考えてみることにしましょうか。ベスパってスクーターにカテゴライズされる乗りものですけど、もっと大きなくくりで見ればバイクです。だからどう使うか、どう遊ぶかっていうところはなにも変わりません。チューニングやカスタムなど、いじって遊ぶのなら世界中の豊富なパーツが使えます。ツーリングだって楽しめるし、ベスパが出場できるレースだってあります。意外にタフだし壊れてもシンプルな構造だから、ちょっと詳しい人なら直すのも自分でできちゃったりします。
でもベスパには長い歴史があるのでとても多くのモデルがあって、そのうちどれをベースにして遊ぶのがいいのかとなるとけっこう迷ってしまいますよね。
そこで最初に言いたいのが「50Sならカンタンお手軽」ってことなんですよ。
まず誤解のないように付け足しておくと、手持ちのベスパがあるならそれで遊んでもぜんぜんかまいませんからね。だけど「興味が湧いてきたからベスパを買って始めてみることにする」というなら50Sというベスパを選ぶのが無難だしオススメです。この50Sというベスパは小ぶりなボディを採用しているため、通称スモールボディと呼ばれています。スモールボディまたはスモールと称されるベスパには50S以外にもさまざまあるので、50Sのこと、それ以外のスモールのこと、どんどん掘り下げていきましょう!
スモールということでくくられるベスパって、じつはけっこうな種類があります。すべてをお見せすることはできませんが、ムゼオの協力によりめぼしいスモールを集めてみました。 とりあえずならべただけでも9種類。中央の青色は50S、そしてその左右の緑色&黄色は50Sベースのロードレーサー&オフロードレーサーですが、生産期間が長くバリエーションや排気量違いなどもあるため、じつに豊富なラインナップを誇るのがスモールなんですよ。 追い追い、ここに集めたスモールそれぞれの説明や、遊びのベースとしてどうなのかといったことにも触れていこうと思っていますので楽しみにしていてくださいね。
50Sとはどんなモデルなのか?
ここからは50Sについて詳しく見ていきましょう。よくベスパのイメージって「丸いオシリにバーエンドウインカー」だと耳にしますが、これってモロに50Sから受けた印象だと言えます。日本国内での50Sの販売は2000年代初頭で終了していますが、トータルで5万台に迫る50Sがデリバリーされたんです。輸入車として考えればかなりの台数だし、当時はいたるところで目にする機会があったと記憶しています。とくに渋谷や原宿あたりの美容室なんかに止めてあるなど、オシャレなイメージと直結してベスパ人気が形成されていったように思います。
では性能面はどうだったのでしょう? これはお世辞にも速いとは言えません。残念ですが遅い乗りものだったと認識してもらう必要があります。でもエンジンはショートストロークでよく回り、ぶん回し続けてもめったに焼きつかないタフさを兼ね備えていました。そのうえ豊富なチューニングパーツが出回っているので、思い思いのチューニングメニューで速さや走りやすさ、それに扱いやすさといった望む方向性でのカスタマイズが可能だったことは高ポイントだったと言えるでしょう。
ちなみにチューニングして、性能面を追求することだけが50Sの遊びメニューではありません。ドレスアップやデコレーション、ツーリングや普段使いなどに適した実用カスタムなど、車両ばかりか用意されているパーツ類まで懐の深い世界観で構成されているのが50Sの良いところだったりします。
【主要諸元】
モデル名 | Vespa50S |
---|---|
型式名 | V5SA1 |
製造年 | 1963-2000年初頭(含む再生産) |
総生産台数 | トータル130万台以上(再生産分が未確認のため) |
型フレーム形式 | スチールモノコック |
全長×全幅×全高 | 1,655mm×670mm×1,015mm |
軸距 | 1,180mm |
最低地上高 | --mm |
車両重量 | 73kg |
燃料タンク容量 | 5.6L |
燃料消費率 | 55km/L |
最小回転半径 | --mm |
最高速度 | 60km/h |
エンジン型式・種類 | 空冷2ストローク単気筒 |
総排気量 | 49.77cm3(cc) |
内径×行程 | 38.4mm×43.0mm |
圧縮比 | 7.2:1 |
最高出力 | 1.9kW[2.6PS]/5,800rpm |
燃料供給装置形式 | Dell'Orto・SHB16-16(キャブレター) |
始動方式 | キック |
点火装置形式 | フライホイールマグネット6V/40W |
バッテリー | -- |
2stオイル混合比 | 1:50(2%) |
クラッチ型式 | 湿式多板 |
変速機形式 | 常時噛合4速ハンドチェンジ式 |
ギヤレシオ | 1速29.54:1/2速17.74:1/3速11.50:1/4速8.15:1 |
ファイナルドライブ | ダイレクトドライブ式 |
タイヤサイズ(F/R) | 3.00×10"/3.00×10" |
ブレーキ形式(F/R) | φ--mmドラム/φ--mmドラム |
懸架方式(F) | シングルユニット |
懸架方式(R) | -- |
50Sでどんな遊びができるのか?
50Sをベースにして挑むなら、どんな遊びがベストなんでしょう? それはズバリ「サンデーレースを楽しむ」というのがイチオシだと言えますね。いじって車両の完成度を高め、走りこんで自分のスキルを高めていくという奥深さが、飽きさせないで長く楽しめるファクターだったりしますから。 そんなサンデーレースにはロードレース(サーキット)とオフロードレース(ダートコース)があり、どちらも50Sで楽しむことができます。どちらを楽しむかは好みで選べばいいでしょう。それぞれにおもしろさがあって、どっちが良いというものではありませんから。 それでもレースの種類は2つあるよってだけではなかなか決められないんじゃないかと思いますので、ムゼオが製作したレーサーを題材にしつつ、それぞれのレースにどんなマシンが必要なのかを見ていくことにしましょう。
まずはロードレーサー(写真手前の緑色のマシン)からいきますね。現在50Sで出場可能なロードレースは関東のVespaGPと関西のルーツ・ザ・原チャリがあって、微妙にレギュレーションが異なります。なので今回はVespaGP仕様のマシンを見ることにします。レーサー製作となると、実践を踏まえつつ煮詰めていく作業が欠かせません。だけどVespaGPは歴史があるので、先人たちのノウハウが蓄積されていてトライ&エラーというレベルのスタートラインということではありません。上手に情報交換しながら、一応の完成状態まで仕上げていくのはそう難しくはないでしょう。それでもコースに合わせてセッティングを煮詰めていくとか、ライダーの好みやリクエストに合わせて再調整していくことは必要でしょう。
続いてオフロードレーサー(写真奥の黄色のマシン)です。出場可能なオフロードレースは現状でスクータークロスのみですが、関東でも関西でも開催されています。ただしレースというよりオフロードコース走行会的な状態で、模擬レースが行われている程度です。そのためマシン製作のノウハウも、スクータークロス自体の成長もまだまだこれからといった段階で、ムゼオとしても手探りでひとまずカタチにしただけといった状態だそうですよ。 そもそもロードレーサーとしてカタチになっていたマシンを、おもしろそうだからオフロードレーサーに転用してみたというのが製作の発端とのこと。手元にあった使ってないパーツやあまっているパーツを使って、ひとまずオフロードレーサーとしてカタチにしてみただけなので、これからどんどん走らせて完成度を高めていく予定だそうです。
ラージで遊ぶってあり?
ラージで遊ぶのももちろんありです。じっさいスクータークロスWestではラージ(厳密にはインド・LML社のスターデラックスというモデル)を何台か見かけました。大柄なボディは居住性が高く、安定感や疲れないといったラージならではの良さもあり、本家ベスパのP/PXシリーズに採用されるサスペンションは作動性が良好だったりします。
しかしラージは大きく重いため、スモールの手軽さ&軽さが際立つことになり、さらに価格面でもスモールは優位だと言えます。また仕上げていく段階で塗装を考えるなら、パーツ点数の多いラージは使う塗料の量が多くなり、業者に頼めば価格も違うという結果になってしまいます。
今回はこれで終了!
さて「スモールで遊ぶ編・第1話」はいかがでしたか?
第2話ではロードレーサーとオフロードレーサー、それぞれの仕様や各種スモールの解説などに踏み込んでいきたいと考えています。
どうぞご期待くださいね〜!!
人気コンテンツ
-
BBB Staff BLOG
2021.03.17
販売証明書の書き方を掲載!原付二種ナンバープレートは市役所で取得できます
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、三密を避けることができる手段として注目を浴びているバイク。そ...
-
BBB Staff BLOG
2019.05.31 / Vol.22
【2019年版】ミニカー登録まとめ
BBBマガジンの記事ではミニカー登録についてキーワード検索されているのが多く、需要がありそうだったのでミニカー登録につい...
-
BBB Staff BLOG
2020.11.11
実は簡単⁉市役所に行くだけで完結 原付一種ナンバープレート取得までの手順をご紹介
近年、EVモビリティやキックボードなどが登場し、若者を中心に多くの人から注目を集めている原付一種(50㏄)。けれども、意...
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
2015.06.03 / Vol.12
スモールで遊ぶ #01
さてさて今回からいよいよ「スモールで遊ぶ編」をお届けしますよ〜......って、スモールってなに? となっちゃいますよ...
-
レストア野郎★Zippy編
2014.01.11 / Vol.05
ホイールとエンジンを自家塗装してみよう! ペイント編
スポークホイールのペイントとなると、一度スポークをバラしてハブもリムも磨くのはもちろん、スポークも1本ずつ磨いてからの作...
-
プロトモスピーダ
2008.08.07 / VOl.09
アッパーカウル製作1
ボール紙を切って原型の元となる形状を作り上げていきます。出来上がったら上にFRPを貼っていくので、ボール紙といってもある...
-
レストア野郎★2番星★FTR250編
2014.10.28 / Vol.04
タペット調整でエンストするエンジンが快適になるとイイナ!
Vol.04 タペット調整しましょう! タペット調整とはカムシャフトとロッカーアームとの隙間であるバ...
-
BBB Staff BLOG
2018.09.20 / Vol.17
今こそ2ストに乗ろう!2018 〜2ストの魅力をどっぷり解説〜
オートバイは走るシチュエーションや、ネイキッド・クルーザー(アメリカン)・オフロード(モトクロス...
-
BBB Staff BLOG
2019.10.29
ツーリング動画を撮影したい!必要なものや撮影の手順を紹介!
ツーリングでは、自分の好きなルートを選び、バイクを走らせながら周囲に見えてくるさまざまな景色を楽しむことができます。そん...
BBBマガジン
この記事の日付(2015.06.03)に近いコンテンツ
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
この記事の日付(2015.06.03)に近い記事
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
ヒストリックモデル #04
2015.09.02 更新 / Vol.15
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
スモールで遊ぶ #03
2015.08.02 更新 / Vol.14
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
スモールで遊ぶ #02
2015.07.04 更新 / Vol.13
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
ヒストリックモデル #03
2015.05.15 更新 / Vol.11
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
旧車レストア #08(Vespa VNB2)
2015.04.02 更新 / Vol.10
-
大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!
旧車レストア #07
2015.03.03 更新 / Vol.09