BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
隅本辰哉
-
- バイク
Vespa
前回は「ヒストリックモデル編」を挟みましたが、今回はまたまた 「スモールで遊ぶ編」をお届けしちゃいます。気になる内容ですが、いよいよオフロードレーサーへと踏み込みますよ〜!
まずはオフロードレーサーがどんなものなのか、そこから見ていくことにしましょう。それでは「スモールで遊ぶ編・第4話」、はじまりまーす!!
ベスパ乗りのみならず、スクータリストにとってある意味で未知の世界と言えるのがオフロードでしょう。だけどそのオフロードをスクーターで遊んじゃおうというムーブメントが注目を集め始めているんです。
ただし遊ぶとなるとより楽しめるマシンが欲しくなる......というワケで、参加者それぞれが試行錯誤しながら楽しめるマシン作りに励んでいる状況です。だって始まったばかりのムーブメントだから"これでキマリ"なんて定番的なものはありませんからね。
それでも真っ先に思いつくのは、ブロックパターンタイヤとストロークを稼いだサスペンションでしょう。そこをなんとかするだけで、イッパシのオフロードレーサーに見えちゃったりしませんか?
おもしろそうだからやってみるというのはどうですか?
さて冒頭で未知の世界と表現したオフロードですけど、本来なら舗装された一般公道を走るためのスクーターなので、悪路を走るなんて事態は想定されているワケがありませんよね。ましてやオフロードコースなどで積極的にダートランを楽しむなんてあり得ないでしょう。でも「やってみたら楽しいんじゃない?」って始めてしまった人たちがいて、どうやらそれが注目されているようなんです。 ここまでのスモール遊びではロードレーサーを取り上げてきましたが、ここからは遊び方のカテゴリーの一つとしてオフロードレーサーのほうもチェックしていきたいと思います。やはり流行りは無視したりするんじゃなく、やるやらないは二の次にしてどんなものかを知っておかないとダメでしょう。本当におもしろかったら乗り遅れて損しちゃいますからね。
◎スモールのバリエーション3◎
第2話から間が空いてしまいましたけど、「スモールのバリエーション3」では125ccモデルについて見ていきましょう。スモールボディにはスタンダードで125ccユニットを搭載するモデルもあって、パワーを必要とするオフロード走行にもしかしたら向いているかもしれません。そんなところも含めてどんなモデルなのか、遊びのベースとしてどうなのかといったところを掘り下げてみましょう。
遊びのベースとして50Sが選択されることが多いのは、タマが多いことも理由になっています。だけどもしも所有しているというなら125プリマベラもありでしょう。125モデルのほうにも選択できるだけのパーツは用意されていますから、チューニングやカスタムのベースマシンとして無理なことはありません。むしろ125ccベースだから、キャパシティの大きさが有利な面もありそうです。
ただし古い時代の125版スモールということでレアですから入手は難しいと思ったほうがいいでしょう。あくまで所有していて、そのまま放置しておくのもどうかというところで遊びに転用という感じではないでしょうか。
外観的に他のスモールと見分けるのは難しく、ビギナーにとってはリヤエンブレム(Photo a)を確認するのが近道かも。それと左サイドパネルにボックスを標準装備(Photo b)していて、これはこれで便利なんですが、ボックスがあることでマフラーの取りまわしに制約がでてしまいます。結果的に専用マフラーなら問題ないんですけど、一から作るとなるとマイナス部分となってしまいそうですね。まあ遊び方はレース以外にもあるので、どう使うか次第と言えそうですね!
ET3というモデルは、簡単に言ってしまうと125プリマベラの進化版です。電装系がポイント式からCDI式へと変更され、エンジンも2ポートから3ポートになってエンジンユニット自体が強化されました。クラッチスプリングもシングルからダブルに変更されるなど、けっこう各所に手が入れられています。
ベースとしてどうかは125プリマベラといっしょです。ボディ構造は同じですから、遊びやすいけれど加工の手間がかかるところもあり、わざわざこれをベースにしなくてもいいのではというところではないでしょうか。仮に所有していて使いみちがなく、単に放置されている状態だったりするなら思い切って遊びのベースにしてしまうのもありだと思います。
ただし125プリマベラ同様、普段使いで便利なボックスがマフラーの自由度をスポイルしてしまいます。逆にメインキー(Photo c)を装備するので、キルスイッチだけのモデル(他のスモールは大半がそう)がエンジン停止までボタンを押し続けるのに対して、キーオフで手を離せるところと盗難抑止に効果的なところがメリットでしょう。 ちなみにリヤエンブレムのET3(Photo d)とは、3ポートになっていることとエレクトリック化を表現しているんです!
ムゼオ製作のオフロードレーサー
ここからはいつも当連載に協力くださるムゼオ(Museo Vespa Giappone)が製作したオフロードレーサーを例にして、スクーターでオフロードを走るイベントであるスクータークロス参加マシンのポイントを見ていくことにしましょう。
まずオフロードレーサー製作の経緯についてたずねてみました。するとロードレーサーのほうには国内外のチューニングパーツやチューニングメニューが豊富にあって、でもオフロードレーサーとなると国内での情報はほぼゼロからのスタートなので手探り状態というおもしろさがあるんだそうです。それでいざ製作するにあたって、ロードレーサーのセカンドカーにするために用意しておいたベースマシンを使うことにしたそうです。理由として元々ロードレーサーとして走っていた車両ということで手に入れたベースマシンなので、時間的な制約も考慮すると一から作り上げるよりもオフロードレーサーへ転用するほうが手がたいという判断をしたのでしょう。
それでも手探りでの製作なうえ、とりあえずオフロードを走るためにいろいろ考えながら第一段階として製作してみた程度ということです。どうやら、これとこれを組めばいいといった定番的な手法があるワケではないところもおもしろいんだそうですよ。
ムゼオとしても「いきなりお金をかけるのではなく、あるものを使って少しずつ仕上げていく方向で考えています」と、手元の使っていない、あまっているようなパーツでカタチにしてみたということのようです。あとは「走らせることで見える問題点に対処しながら完成に近づけていきたいですね」とのことなので、しだいに完成度が高まっていくのを期待しちゃいましょう。
現状でスモールベスパが遊べるのはスクータークロスというオフロードイベントになります。関東でも関西でも開催されていますが、まだレースというよりオフロードコース走行会的な状態で模擬レース(Photo e)が行われている程度だったりします。
「レースというより泥んこ遊びだと思ってください。みなさんバーベキュー(Photo f)を楽しみに集まってくれているというほうがぴったりかもしれません」と主催者が言うように、レース色はあまりなくてみんなで遊んでいる雰囲気を強く感じました。そしてスモール以外のベスパも含めてスクーター全般が参加できるので、和気あいあいとした雰囲気を楽しみにバーベキューだけでも参加してみることをお勧めします。
エンジン回りもチェックしておきましょう
当然のことですが、車体回りのほかエンジン回りにも手が入っています。オフロードレーサーの心臓部についても見ていくことにしましょう。
エンジンとは言っても中身は開けないと見ることができません。なので仕様についてうかがってみたところ、ベース車として手に入れたときからマロッシ112ccキットを組込済みということです。この仕様はムゼオの考えるオフロードレーサーとして狙い通りということのようですよ。最高速よりも中低速側の加速面で効果を期待したセッティングだということですからね。
具体的には高回転で回すエンジンではなく、低回転域からモリモリのパワーを獲得したいということです。
それからキャブ回りにも手が入れられています。ムゼオがこのベース車を手に入れたときの状態は、キャブレターが外出しだったということです。しかもファンネルタイプだったので、砂対策のためフレーム内に移設しています。さらにジェットセッティングなどをしやすくする目的で、ガソリンタンク脱着作業をラクにするためガソリンコックレ バーをショートタイプに加工してあります。
今回はここまで!
「スモールで遊ぶ編・第4話」は、ついにオフロードレーサーに踏み込んでみました。いかがでしたか? やはり見た目的にはもちろんですが、ロードレーサーとはずいぶんと違うんだなって感じてもらえたんじゃないでしょうか。
それにスクータークロスというイベント自体もなかなか楽しそうな雰囲気ですよね。興味を持たれた方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!
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