BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
観光スポットらしいテーマ施設を見学
水原華城を見学した段階で、すでに時計は13時を回っています。お昼ごはんに水原カルビを味わってみたいところですが、次に計画している韓国民俗村での見学や帰りの時間を考え断念。ツーリングは先へと進みます。
水原華城から郊外にある韓国民俗村までは距離にして約15km、もちろん初めての道程でしたが30分程度で到着する事が出来ました。こうした施設の周辺道路は青い道路標識に茶色い背景で施設の方向が示され、ハングルとアルファベット、時折漢字でも表記されているため分かりやすく道順に沿っていくだけです。なので初めての場所にも関わらず、思いのほかスムーズに進む事が出来ます。
到着した途端、やはりここでも駐車場で悩みます。周囲にそれらしきところや表記がないため、駐車場の受付の人に聞く事にしました。地方だけに英語が通じるか不安もありますが、聞かないとどうにもならないので英語で聞く事に。すると「日本人の方ですか?」と、日本語で返されビックリしました。とても若い方が受付をしていましたが日本語で答えてくれ、これだけでも「やった!」という気持ちにさせてくれます。韓国民俗村では二輪車の駐車に対する配慮はなく、逆に駐車代金を支払わずにそのまま進んで好きなところに止めれば良いとの事でした。
韓国民俗村というのは日本の日光江戸村のような場所であり、施設の中には朝鮮時代後期から残っていた全国各地の家屋が移築展示されています。日本で例えるなら江戸時代後期から残る日本全国各地の建物が移築され、それぞれの地域ごとの特色を表現しながら再現しているといったところでしょう。時代の前後はありますが、台風から家を守るために作られた沖縄の琉球建築、富山県に今でも残る豪雪地帯に建つ合掌造りの家、江戸町人が多く集まった長屋……というように、それぞれの地域の特色や地位によっての違いも見る事が出来る施設です。
日本でもこのような農家の雰囲気があったように思うところ、中国の流れを組んでいると感じるところ、そして教科書で習った事がある朝鮮半島の特徴、床暖房設備オンドルやキムチを作る建物なども再現されており、改めて実際にその様子を見てみてなるほどと思うところが多くありました。見て回るだけではなく、施設の案内や説明の看板には日本語の表記も多くあり、日本人の観光客でも理解を深めるにはとても良いところでした。
また園内は時代劇やドラマの撮影地に使われてもいるため、作品中のロケーションを見る事が出来たり、韓国の伝統的な季節の祭りや催し物、伝統芸術公演を見たりする事が出来ます。私達がちょうど施設の中心に来た時は馬上武芸講演場で馬に乗った曲芸を披露しており、円形状の講演場の周りには写真を撮るのにも一苦労なほど大勢の人達が集まっていました。
その他にも館内展示エリアや体験コーナーなどがあり、なんだかんだしっかり回ろうとするとすると一日がかりな韓国民族村でした。まだまだ見たい箇所も多くあったのですが、昨日の渋滞のひどさを目の当たりにした経験から、あまり遅い時間にホテルへ戻らないようにするためにほどほどのところで園内を出る事にしました。しかしこうしたテーマ施設では催しに合わせて多くの人々が集まって楽しんでいるので、察するに人気施設の一つなんだろうと感じました。それだけに名残惜しい気持ちもあったり、周辺スポットも興味深いところを見つけたりしたので、次の機会があればゆっくり訪れたいとも思いました。
馬上武芸講演
韓国民俗村で馬上武芸を直に見る事が出来ました。説明によると「馬の背で蘇る先人達の武芸」となっていて、馬上双剣、馬上弓術、馬上才などの馬を利用した華やかな乗馬技術の事。馬技とも言うようです。
ここでの馬上武芸公演は韓国の伝統騎馬文化を現代的に継承・発展させたものとして、立ち乗りの他、逆に乗ったり、後に乗ったり、前に乗ったりするなどして、馬上の妙技を披露してくれるショー的なものとして構成されています。その様子は圧巻で、観客数の多さからも人気をうかがえます。
慣れない道にドキドキしつつツーリングを満喫
ソウルの中心部から約50kmの距離にある水原華城。そしてスウォン郊外にある韓国民俗村という事で、韓国を知るのに持って来いと思われる観光スポットを目的地にしましたが、ソウルからの移動距離も両スポットの位置関係もツーリングするには最適だと感じました。
さあ、今度はホテルへと帰還します。道順は、大通りと国道をメインに戻る順路にしました。初めは高速道路沿いの道を北上してから西へ一度折れ、再度漢江にかかる橋に繋がっている国道を北上するというルートでした。しかしその道はすでに大渋滞。道程は長いというのに先が思いやられます。すると巌さんが高速道路の西側に並行している道路を見つけてくれ、そちらから北上する作戦に変更したというワケです。
実は昨日も渋滞を避けるため、巌さんがルートを探してくれました。どうやら巌さんはルート探索の勘が鋭いらしく、私としてはお任せ状態でした。高速道路の西側の道路は道幅も先ほどの国道と変わらぬ広さでありながら、とてもいいペースで走る事が出来ました。そこでそのままの流れに任せ、予定通り適当なところで一度西へ折れます。そのまま少し進むと高速道路と並行しつつ、その後湖の脇を通って山道を抜けていくルートでした。ところが地図に従って左折したところ、その先は二輪車進入禁止の標識と共に高速道路の入り口です。手前で標識を見落としたのかは分かりませんが、幸い歩道がまだある場所だったので一度右側にバイクを寄せてから元の道へ戻る事にしました。
どうやら工事の影響でロストしてしまったようですが、気を取り直して別のルートから西へ向かう事にしました。今度の左折ポイントは今までのような大通りではありませんが、その先の行きたい場所へ道が繋がっている雰囲気のため行ってみる事に。韓国に来てからはほとんど大通りと市街地ばかりの移動だったので、少しは自然の中にあるワイディングを楽しみたいと思っていました。
そんな気持ちが天に通じたのか、進んでいくにつれほどほどの田舎道となり、さらに林道舗装路のような木々がうっそうとした道となっていきました。そのまま進むと山道となり、ちょっといい雰囲気です。なのでお互いの走行写真を撮ってみようとなりました。やはり2名以上の海外ツーリングとなれば、こうした写真も撮っておきたくなるというものです。ただし安全運転はマストで、事故やトラブルには注意すべきですけどね。
さて撮影会も終わり、先を急ぎます。道中ではツーリングを楽しむグループとすれ違ったりしつつ、いよいよ漢江へとかかる橋に通じる道路に入りました。川を越え、川沿いの道を少し進んでから中心部に向かう予定です。しかし道なりに進んでいくと、オーバーパスの先はどう見ても高速道路。これはまずいと二人とも思いながら、停車する事も出来ない場所なので進むしかありません。そして案の定、高速道路と思われる道路に入ってしまいました。
この先どうするべきか、出口はないのか、どこか二輪車通行禁止の標識はあったのか、右に逸れていく道はないのか……と不安に思っていたところ、右に抜けていく道を発見。直進には二輪車通行禁止の看板が見えたので、右の道に逸れると一般道に出る事が出来たので一安心。
そうこうしているとソウルはすぐそこです。ただ昨日の渋滞にだいぶ参っていたのでこの日も覚悟をしていたのですが、日曜日の夜のためか思っていたより渋滞には捕まらず、スムーズにソウル市内のホテルへ戻る事が出来ました。帰りの道中も雨が降ったりやんだりしていましたが、レインウエアを着るほどではなかったので助かりました。濡れた路面からの跳ね上げやしぶきも、フロントレッグシールドとロングスクリーンによって問題なしです。結果的に遅い出発となってしまいましたが、大きな問題もなく目的地まで到着出来ましたし、しっかり歩いて観光も楽しめました。慣れない土地で地図を見ながらの走行による気疲れはありましたけど、ホテルに着いてから顔を拭いてみて、排気ガスで顔が汚れていた事にどこかツーリングの楽しさと満足感が得られ、巌さんと顔を見合わせて笑顔がこぼれていました。
今回はここまで!
「ワールドワイドにベスパでRUN」の第2回目は、韓国ツーリングの中編としてお届けしました。いかがでしたか?
往復100km程度ですから、日本国内で考えるとショートトリップという感覚になりがちですが、慣れない交通ルールや理解し難い標識など、やはり海外ツーリングは気が抜けません。それでもそうしたハードルをクリアしていく事で、ツーリングを楽しめると同時に満足感も得られるというのは海外ツーリングの醍醐味なのかもしれませんね。
次回はついに韓国ツーリングの後編となりますが、ショップ巡りやレンタルバイクの返却など、土田さん達の韓国旅はまだまだなにかありそうです。ぜひお楽しみに!!
それでは次回をお楽しみに!
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