BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2018.08.13 / vol.50

    ワールドワイドにベスパでRUN #6

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    隅本辰哉

    • 撮影

    土田和寛

    • バイク

    Vespa

Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
前回まで、2度に分けて土田さんの台湾/台北編をお届けしてきましたが、今回は台南編をお届けします。土田さんにとってベスパに触れる台湾旅はこの時が初めてだったワケですが、実は台北を訪れた後に台南へと移動して、台南でもベスパに触れる旅を楽しんだんだそうです。一体、どんな人達と出会い、どんなベスパに触れて来たんでしょう? それでは気になる台南編、スタートです!

台南で出会ったカスタムするベスパ乗りたち

台湾夜市
台南への移動は日本製の新幹線
"台湾高速鉄道"を利用

  それではここから、早速ながら土田さんによる寄稿レポート「2013年の台南編」が始まります。ですが、今回はいつもと少し体裁を変えて囲み無しで構成、土田さんのレポートに合わせた沢山の写真をお見せしようと思います!
(以下は土田さんによるレポートになります)

  唐突ですが、台湾という国はCNC加工を中心としたスクーターカスタムパーツの宝庫でもあリます。安価であっても高品質を保っているのが、台湾製カスタムパーツの特徴でしょう。ベスパも現在使用されている純正部品からカスタムパーツまで、台湾で作られている物が多いそうです。

  台湾の気になるカスタムパーツメーカーの1つ、Zelioniというブランドはベスパのカスタムパーツを企画・製造するメーカーで台南が本拠地です。オートマチックのベスパに乗る私ですから、個人的にとっても注目していたというのが本音です。

  以前よりここの社長さんであるYuyee Changさんとコンタクトを取っていて、台湾に来た事と合わせて台南にも向かう事にしました。このZelioniというメーカーは現在オートマチックベスパのカスタムパーツをプロデュースし、サスペンション、ブレーキレバー、ホイールまで作っている事から、台湾はもとよりヨーロッパでも注目のメーカーとなっています。

  私自身、このメーカーとの取引があるワケではありませんが、このようなパーツが生まれてくる環境はどのようなところなのか?また、そこでカスタムされるベスパに乗っている方々はどういう方々で、どのような生活を送っているのか?そんな事が気になり、台南へと足を伸ばしてみる事にしたんです。

  そんなワケで慌ただしい台湾旅はまだまだ続きます。台北から台湾高速鉄道を使って台南へと移動します。この台湾高速鉄道はいわゆる新幹線で、日本製ということもあり、どこか落ち着いて安心して乗れるというような印象でした。窓の景色を眺めていると、都市部の建物はだんだんと少なくなり、田園風景に変わります。すると約1時間40分の移動で、台南に到着しました。

  台南駅ではYuyeeさんが迎えに来てくれていて、自動車で彼の住むマンションへと連れて行ってくれました。マンションの地下駐車場に着くと、その一角が彼のガレージとなっています。そこには彼のコレクションであるクラシックベスパのカスタム車両、とても綺麗にレストアされたクラシックベスパ数台、またかつて台湾で生産されたクラシックのベスパにオートマチックのベスパ数台が保管されています。

  特にオートマチックベスパは水冷エンジンと空冷エンジンの2タイプを数台ずつ所有していて、それらは自身がデザイン&開発するZelioni製パーツの装着テスト用としても使われているとの事。それと台湾には日本だとお馴染みのPX EURO3"Unita'd'Italia"やLXV125は輸入されていませんでしたが、彼のコレクションの中にはそれらも加えられていました。

  そしてYuyeeさんから「今日あなたが乗るベスパはPX EURO3が良いか?S150ieが良いか?」と尋ねられ、今回はオートマチックベスパが目的だったので迷わず赤色のSを借りることにしました。この赤いS150ieも駆動系や足回りにZelioni製パーツをこれでもかと言うほど組み込んでいます。そのせいでとても乗り心地が良く、ストレスの無いスムーズな加速性能を発揮してくれます。周囲のスクーターやベスパより軽快に加速していくので、ストレスなく楽しめそうです。

  地下駐車場から外に出ると、彼の仲間が既に待っていました。直ぐに合流して、そこから数分のところにある甘味処へ向かいます。そこはチェンウェチャカンウェチウ(蜷尾家甘味處)と言う、とても京都や江戸を感じさせる日本っぽいたたずまいのソフトクリーム屋さん。到着した時、シャッターがまだ閉まっているにも関わらず観光客による長蛇の列。最後尾が何処なのか分からないほどの長さです。Yuyeeさん曰く、午後になるとさらに列は長くなると言う超人気店らしいです。

  その間にも続々とベスパが集まって来ます。今回、Yuyeeさんの配慮で日本語を喋れる女性が参加してくれました。その方の彼氏さんがベスパに乗っているそうなんですが、この日は都合が悪く、自身だけの参加だそうです。また彼女も近々ベスパを購入するそうで、日本語もだいぶ上手だった事と合わせて、親近感と共にとても安心出来ました。なにせ私は日本語以外まるでダメなので、どこの土地に行っても常に緊張なのです。

  そして続々集まってくるベスパの中に、派手なフルフェイスでやってきた1台のベスパを発見。なんと、辻さんと言う日本人の方。しかも後ろに乗られているのは、たまたま台湾に旅行に来ていた神谷さんという女性の方。日本人の方とこのような土地で会う想定をしていなかったので、正直戸惑ってしまいましたが、どうやら今日のために駆けつけてくれたようです。辻さんも私が日本から台南にわざわざ来るということで今回参加されたようですが、本当に偶然この日来れないメンバーと前日に飲んでいて、たまたま話があって興味を持ってくれたとの事です。

  今回集まってくるYuyeeさんの仲間達は現行のベスパに乗っている方々ばかり。そこへ既に販売が終了している、借りてきたET8(台湾ではET4をET8として売っていました)で現れたので、日本から台湾へ単身赴任で来ているのだと勝手に思っていたらどうやら2輪業界の方。日本から台湾へ移り住んで7年が経ち、現在は契約ライダーとしてこちらで活躍しているとても尊敬してしまう方でした。辻さんは2輪業界の方でもあり、現地の言葉も上手いので、Yuyeeさんとは深いコミュニケーションを取ることが出来るためとてもお世話になりました。

  話を戻します。蜷尾家で食べられるソフトクリームにはビスケットが添えられていて、味も濃厚でとても美味しいんです。アレンジも可能で、抹茶のソフトクリームに小豆やラズベリーが添えられている物等もあります。なによりも2月の東京から台南へ来た私としては、この日の台南はとても暑く、冷たいソフトクリームをより美味しく楽しめました。季節がら湿度はそれほどなかったのですが、日差しが強く暑かったため、日中のベスパ移動では半そでに何かを羽織る程度で十分です。

  すると私達がアイスクリームを食べ終えたところで少々移動です。既にお店の前の通りはベスパが多く混雑気味。ベスパを表の通りの歩道に並べ、他のメンバーが合流するのを待ちます。この時ベスパを並べて止めたため、それぞれの個性的なカスタムの違いを見比べることが出来ました。並べてみると分かりますが、四角いライトのSが本当に多いと感じます。

  次にフロントフェンダーにヘッドライトが付いたGTV。今でこそ台湾ではGTS300SSの購入が可能になったので街でも多く見る事が出来るのですが、日本ではあまり見ない光景でしょう。

  それに私が台湾を訪れたこの時期に日本ではLX 3Vが発売された直後でしたが、台湾では既に販売されていたので購入して今回参加ている方も何人かいました。皆さん、Yuyeeさんの友達でもありお客さんでもあるので、それぞれZelioni製パーツを愛車に装着しているようです。サスペンション、ディスクブレーキ、ブレーキレバー、見えないけど恐らく駆動系まで手を入れ、ステッカーを貼ってお揃いのTシャツを着ています。

  中でも目を引くのは削りだしのオリジナルホイールです。主にGT系の12インチサイズで製作されているため、11インチのLX系ではサイズ変更で前輪のみ装着している例もあリます。しかし黒い車体にクロームメッキの施されたこのホイールを取り付けた車両は、高級感が増してカッコ良さが際立っています。

  あと目に付くのがウインカーレンズです。元々のクリアレンズを塗装やフィルムによって、スモークや色付きレンズにカスタムしています。それだけでも車体全体の印象が変わるので、お手軽なカスタムと言えるでしょう。

  今回は参加出来なかったメンバーに、カーボンパーツを多く取り付けた車両オーナーがいるそうです。初期のSには元々グラブバーが取り付けられていないため、LXのグラブバーとは異なった角ばったグラブバーを取り付けるのが恒例なんだとか。

  また一見普通のベスパに見えてもイタリアのレーシングメーカーから出しているボアアップキットを使い、最大排気量までボアアップしている車体もいるそうです。実は全く分かりませんでしたが、ドレスアップ以外にもエンジン系をカスタムする車両が何台か参加していたと後で話を聞いて分かりました。

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