BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2018.10.19 / vol.52

    ワールドワイドにベスパでRUN #7

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    隅本辰哉

    • 撮影

    土田和寛

    • バイク

    Vespa

Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
広報画像提供:PIAGGIO本国広報

今回は土田さんが体験した、パリでのApeツアーに関するレポートを寄稿していただきました。ですがApeってナニ? それってホンダ製? ......などなど、聞き慣れないApeについて疑問が膨らんじゃいますよね。そこでApeの解説もカンタンながら加えつつ、さっそくお届けしていきましょう!

Ape Calessinoに乗ってパリの観光ツアーを体験

ツアーApe
エッフェル塔、セーヌ川にかかる
イエナ橋で待機するツアーApe

今回は土田さんが2015年に体験した、パリの街でのApeツアー体験レポートになります。このApe(アペ)とはベスパをベースとした3輪モデルなんですが、乗用タイプもあって、それを使った"パリの見どころ周遊コース"といったもののようです。なお料金/レートや代理店情報等は2015年当時のものになりますので、ご注意ください。それではパリの街並みの写真とともに、土田さんのレポートをお届けします!(以下は土田さんによるレポートになります)

海外旅行が好きなら、一度は訪れてみたいフランス・パリ。美術・アートの世界や歴史的建造物はもちろんの事、単純な観光で訪れてもファッションや食べ物等、吸収したいものが沢山です。もちろん乗り物好きにとってもフランスはプジョーやシトロエンが多く走っているので飽きる事はないでしょう。それに陸続きのヨーロッパでは周辺各国のバイクも多く販売されているので、それらが走っている姿を目にする事も出来ます。

さて、今回パリを訪れてみたところ、思っていた以上にベスパを目にします。そしてベスパがベースとなっている3輪モデルのアペ......その乗用仕様であるアペ・カレッシーノが観光ツアー用として活躍。とても多くのアペ・カレッシーノが走り回っている事に驚いてしまいます。

このアペ・カレッシーノによる観光ツアーに参加するのはとても簡単なので、今回は論より証拠じゃないですが体験してみた際のレポートをお届けしようと思います。フランスとアペ、関係あるのか? という疑問もありますが、観光としての利用価値はもちろん、1950年代にACMAがライセンス生産でベスパやアペを製造していた実績がある事からまんざらでもないのかも知れません。

私自身はアペを所有した事はなくとも注目していましたし、しかも乗用仕様で後部座席を備えるタイプとなれば正規に輸入されていなかったので気になる存在でもあります。なにより今回の観光ツアーで体験したアペ・カレッシーノは、近年販売されていた200ccエンジンを搭載するタイプ。なんだか楽しみで仕方ありません。

乗用タイプの現行アペは4スト/200ccの3バルブエンジンを搭載。Euro4基準にパスした優秀なパワーユニットであり、3名乗車でも過不足なしでキビキビ走れるとの事。今回は土田さんのレポートに合わせてカレッシーノに照準を合わせた紹介ですが、50cc版Euro4仕様のApe50に3バージョン(デッキ、バン、クロスカントリー)、435cc版Euro4仕様ディーゼルエンジンを搭載するクラシックをラインナップ。斜め後方からの写真に写るハンドル回りが、クルマなのにベスパのバーハンドルだとわかりますか? シフトチェンジもベスパ同様にグリップを回転させて行います

実は小ぶりで小回りが効くため狭い路地の多いイタリアの都市部や、つづら折れで高低差の激しいイタリア海岸部等でかなり重宝されているのがアペなんです。目的に応じて乗用や貨物といったタイプが設定されているので、イタリアを始めとして、世界中の庶民の移動や輸送手段として70周年を迎えてなお引っ張りだこのようです。後部座席は独特の形状ですが、現代的な装備としてシートベルトを標準装備しています

◎Ape(アペ)についてもうちょっと詳しく!

ベスパの市販1号がデビューしたのは1946年の事でした。戦後の復興期だったこともあり、人々の移動や輸送の手段として重宝され、瞬く間に世界中で大ヒットモデルになりました。ただスクーターですから移動や輸送に限界もあったと容易に推測出来ます。そこで1948年に、人々のニーズを満たすべく登場したのがアペなのです。当初はベスパのリア回りを無理矢理2輪にして、その上に荷台を架装しただけでしたが、これがまた大ヒット。すぐに乗用タイプもラインナップされ、以来70年間もの長きに渡って人々から愛され続けてきたのがアペなのです。なお同タイプながら、エンブレムがVespacarというネーミングのモデルも存在します。

1949年Ape
Ape(アペ)は前側がベスパなのに、後ろ半分が荷台というパッケージでデビューしました。ベスパベースの3輪実用車だった事がよくわかリますね
1951年Ape
いつからカレッシーノと名付けられたかは資料が乏しく不明ですが、後部座席回りへの幌が装備された乗用タイプもすぐにラインナップされました
2018年Ape
カレッシーノは一度カタログ落ちし、2007年に復活。2018年9月、70周年モデルとしてネプチューンブルーの記念モデルが発表されています

でも気になるのはやっぱり料金かも

観光ツアーApe
パリ市内を走る観光ツアーApeは思いのほかすぐに見つけられる

調べてみると、パリ市内にはいくつかアペを使った観光ツアー代理店があるようです。しかし"アペのツアー"と謳って看板を出しているところはあまりなく、どの代理店もTukTuk(トゥクトゥク)と言う文字が掲げられています。パリ・アペツアーと言うよりも、タイを中心に走り回っているトゥクトゥクツアーの方がこの土地では馴染みがあるのかも知れません。

このアペでのパリ観光を体験するには事前の予約等は必要なく、概ねエッフェル塔のセーヌ川側のイエナ橋付近で見つけられます。なにしろ一目でアペと直ぐに分かる佇まいなので直接捕まえてしまえばOKです。それこそ浅草や鎌倉、京都等で人力車を見つけて観光ツアーをスタートしてもらうような感じでしょう。実際、パリ・アペツアーもアペのところまで行って、コースと料金表を見ながら希望のコースと予算に合ったものを指差せばツアーはスタートします。

今回利用した代理店の場合、コースは大まかに3つありました。1つ目はエッフェル塔を見渡せるシャイヨー宮を通り、凱旋門を回ってシャンゼリゼ通りを抜け、近隣各所を巡る30分45ユーロ(約5100円)のコース。2つ目は上記1つ目にプラスαしたコースを巡る1時間75ユーロ(約8500円)のコース。そして3つ目がパリ市内をさらに広い範囲で巡ってくれる2時間140ユーロ(約1万6000円)という設定です。これに加え「タクシーとして駅まで」という利用方法もあります。

さて私が選んだコースは30分45ユーロというものです。英語が分かれば各所で細かく説明してもらえますが、フランス語はおろか、英語がなんとなくの私でもこのアペツアーはとても面白いものでした。季節が夏だった事もあって日差しがとても強く、運転手兼ガイドから「幌を閉めますか?」と聞かれましたが、せっかくなので開放感のあるオープンのままでツアーをスタートしてもらいました。

ツアー用アペ
他のツアー用アペも多く走っていて、しかも概ね同コースなので思いがけず併走したり、すれ違ったりと、ワクワクするシーンも多かったりします
セーヌ川
セーヌ川がすぐなので、ツアーを始める前やツアーが終わった後に川のほとりで休みながらおしゃべりするのもパリの観光スタイルっぽくて◎
コースと価格表
車体に貼り付けられているコースと価格表により明朗会計でした。webで下調べをしておけばツアースタートはもっとスムーズに出来そうです

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