BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
早いもので8回目となる「ワールドワイドにベスパでRUN」ですが、今回から旅の目的地としてあこがれる人も多いフランス編に突入です。実はヨーロッパ初体験ながら、大胆にもレンタルベスパでツーリングしてしまおうと考えた土田さん。前編ではレンタルに関する部分を中心に、旅がスタートするところまでをご覧いただきましょう!
フランスでベスパを借りてみよう!
海外でベスパ(バイク)をレンタルする難しさや苦労、それに実際に走る上で気をつけなければいけないのがどんな事なのか......等、土田さんが自らの体験をレポートしてくれる「ワールドワイドにベスパでRUN」の第8弾。今回はフランスでのベスパのレンタル契約から、実際に車両を借り出してツーリングをスタートさせるあたりまでのレポートです!
(以下は土田さんによるレポートになります)
※記事中の情報や写真は2014年当時のものとなりますのでご注意下さい
夏期休暇を利用してフランスを旅行しました。フランス旅行と言えばパリで凱旋門やエッフェル塔に登り、シャンゼリゼ通りを歩き、ルーブル美術館で有名な美術品を鑑賞。そして有名ブランド品をショッピングし、テラスでランチを楽しむというのが一般的なスタイルかもしれません。しかし今回は、どうせならフランスでベスパツーリングが出来ないかと考えました。......と言うのも、知り合いから「自分がフランスに滞在中であれば遊びにおいで」というお誘いを受けたからです。知人の滞在場所はパリから南へ140km程の村。そして「そこまでベスパで来たら?」という、ちょっとそそられてしまう提案も頂きました。
そうなるとベスパを借りられるレンタル店を見つけなければなりません。そこでこの魅力的なお誘いを頂いた知人からベスパを貸してくれるレンタル店を紹介して頂き、自分でもユーロスクーターを借りられるレンタル店を見つけ、さらに何人かの協力者達からもレンタル店に関する情報を集める事が出来ました。
その中で目星を付けたのが5軒。2軒はスクーターを貸すお店、1軒はクラシックベスパを貸すお店、残り2件がモダンベスパを貸すお店です。ただ自分の希望としては現地でもベスパに乗りたいと考えていたので、まずはベスパを貸すお店に連絡をしてみました。
実はこのタイミングで別の知人を介して旅行代理店勤務でバイク乗りという人に相談させてもらったんですが、「フランスで外国人にオートバイを快く貸すお店はない」という渋い返答でした。それでも「フランスで借りるなら、イタリアかスペインでオートバイを借りてフランスに行った方が良い」というアドバイスももらいました。なんとも先行き不安なスタートです。
ところでベスパが借りられそうなお店は3軒見つけてありますが、クラシックベスパを貸すお店で用意しているのはスモールフレームの125ccとの事。しかし1日当たりのレンタル料金が割高なため候補から外す事にしました。残る2軒のいっぽうは、以前にネット上の知らない誰かのブログで見た事があったお店のようでした。そのブログに書かれていた内容によると現地の人の協力を得ながら直接交渉をした末に、どうにか貸してもらう事が出来たという経緯が書いてあました。そんなお店だったりするので、eメールで問い合わせる外国人等は相手にしていないのかも知れません。
そしてもういっぽうですが、店舗を持たずに指定したホテルまでベスパを届けるというシステムの"lef tbank scooters"というところ。こことは英語でのやり取りが可能で、レスポンス良くメールでの問い合わせに答えてくれました。基本的に50ccと125ccのモダンベスパでのレンタルや、ツアー対応が中心業務のようです。ちなみに今回はこことレンタル契約をする事が出来たのですが、予約を前にしたeメールでの問い合わせで「私は日本人ですが、フランスでどうしてもベスパに乗りたいと思っています。海外ではアメリカと台湾での経験があるから貸してもらえないだろうか?」と念を押して、漸く承諾を得る事が出来ました。なおフランスでは125cc以下なら二輪免許の必要がない事もあってこのクラスの車両が揃っていますし、行動範囲とレンタル料金を考えるとかなり実用的なクラスだったりします。
◎パリの街角で目にしたベスパ&スクーター
用意されたベスパがオーダーと違う!?
さてレンタル契約を交わす事にした"lef tbank scooters"で借りれる125ccのベスパは3種類あり、スポーティーなイメージの赤いベスパS、クラシックなイメージのベスパLXV、ボディが大きくタンデムするのにお勧めなGTSがラインナップされています。そこで私の選択ですが、GTSは日本で乗っていて、赤いSは台湾で借りて乗った経験があるので、今回はLXVをお願いすることにしました。ちなみにここでは英語が出来て、クレジットカードと国際免許があればレンタル可能という条件です。
レンタル料金は80ユーロ/日が基本ですが、4日以上の契約だと70ユーロ/日に割引されます。この料金の内容は距離無制限で保険込みとなり、ヘルメット、グローブ、レインウェア、丈夫な鍵2つが付属します。ただ今回の私の場合はオートバイに乗る事を前提にしていたので、ヘルメット、グローブ、ライディングウェアは日本から持参しました。
レンタル当日を迎えるにあたっては、英語が出来れば貸してくれるというお店ではありますが、実は私はそれほど英語を喋る事が出来ません。カタコトでは難しいと思い、以前日本で知り合ったフランス人のAnthonyさんに協力してもらう事にしました。
実際、契約のほとんどの場面で四苦八苦してしまい、彼の協力なしでは無事にベスパを借り出すところまで行き着けなかったかもしれません。
それと無事に車両を借りる事は出来たのですが、希望していたクラシカルなスタイルのLXVではなく、日本でも乗っているGTSでした。希望とは違う物がやってくる......なんともヨーロッパを感じさせるいい加減さですが、私としてはそれでもよしとしました。むしろクレームを付けて契約そのものを拒否されてしまうと、この旅行の目的がすべて台無しとなってしまうので、そのような事態だけは避けたかったというのが大きかったのです。
加えて日本を出発する前の仲間との会話で、「現地の治安を考えたら旅行者が乗る綺麗な車両ではなく、現地に馴染んでいそうなヤレた車両のほうが狙われ難いかもね」等と話したりもしていました。まさかそのせいではないでしょうが、用意されたベスパは結構ボディが傷んでいる車両でした(笑)。最低でも3回は転倒していそうな程ボディが凹んでいて、傷だらけでキャリアのボルトは緩み、一部部品は欠損。落書きされたシートにはカバーが被せられ、別の意味で期待していたものがやって来たという感じです。おかげで「これなら気兼ねなく、5日間このベスパと共にフランスを走り回れるかも」と感じられました。
なおナンバープレートの75という数字がフランスの首都であるパリでの登録を意味していて、なんだかちょっと嬉しくもあります。それにこれは後から感じた事ですが、1日に多いときで350kmを移動する事もあったので、その距離やスピードを考えれば大柄で安定感のあるGTSで良かったなとも思いました。
◎レンタルベスパ(レンタルバイク)の事
あこがれのフランスで走るための注意事項
私の場合、これまでに数少ないながらも一応海外でのツーリング経験があります。とは言え、ヨーロッパは今回が始めて。それに一人で移動する事が多いと分かっていたので、出発前に最低限必要な交通ルールを教わりました。
特にヨーロッパでは良く利用する事になる、ラウンドアバウトと呼ばれるロータリー式の交差点。この交差点の進入方法、進入する際はどちらが優先か、ラウンドアバウトから出る時はどのタイミングでウインカーを出して次に入ってくる車に知らせるか。優先という看板、進入禁止という看板。信号機のある交差点での停止位置、スリ抜けする際は道路のどの位置で行うかなど、日本ではあまり馴染みの無いルールばかり。
また、速度超過や進入禁止等は厳しくカメラで取締りを行っている事も不安を募ります。今までは現地の方に付いて行けば問題ないツーリングばかりでしたが、今回は大半が一人での移動です。些細な事で現地警察のお世話にはなりたくないですし、事故を起こしてしまうのも面倒なので、いつも以上に自分の中では緊張感がありました。
それに借りるのは現行のモダンベスパですが、車両トラブルがないとは限りません。ある程度の工具とスペア部品、そして応急処置用の小物を日本から用意して、出先で作業を行えるレベルのパンク修理とベルト交換の方法は練習をしてから行きました。幸い故障的なトラブルはありませんでしたが、ビニールテープやタイラップは使ったので持って行って良かったです。
ここまでは今回の旅のキモとなるレンタルベスパに関する話題でしたが、ここからは旅のレポートをお届けしていく事にします。
シャルルドゴール空港に降り立ち、エールフランスのシャトルバスで凱旋門のところに降りました。バスを降りた私の目の前には、写真でしか見た事がなかった大きな凱旋門です。ところが、気持ちはなんだか落ち着いていました。なんだか目の前の凱旋門に対して、なにか憧れを目の前にしているというドキドキ感がなかったのです。
それよりも凱旋門広場には、キリがないくらいに進入しては出て行くユーロスクーターやベスパがいて、引っ切りなしに目の前を横切って行きます。そしてそれらがそこらかしこに路上駐車されていて、そんな光景を見る度に興奮していました。
でも重たい旅行カバン等を抱えて動きが鈍いので、ホテルにチェックインを済ませてからパリの街を散策しに出かけます。その日は時間の許す限り歩き回って写真を撮っていました。それは食事をする事を忘れるほど(笑)。
翌日は、地下鉄を利用して蚤の市へ。しかし蚤の市は開催されていたのですが、曜日と時間帯が悪かったらしく思っていたものを見て回る事が出来ませんでした。そのがっかりした気分も手伝って、既に足はクタクタ。それで少し早めですが、ベスパを借りるために移動です。実はその日の午後からベスパを借りる事になっていたので、早く借りて動き回れたらと思いながら時間まで待つ事にしました......(続く)。
◎走るために知っておく事
今回はここまで!
今回のレンタルで楽しむフランス旅/前編はいかがでしたか?勝手の分からない見知らぬ土地であっても飛び込んで行ってしまうのは土田さんならではと言えそうですが、やはり海外ツーリングのヒントとなりそうな事が随所に垣間見れる気がします。
さて、次回はいよいよ実際のツーリングレポートになる予定ですので、どうぞお楽しみに!
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