BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
2013年の初台湾旅に続き、翌2014年にも台湾を訪れている土田さん。その理由を「台湾をより深く知るため」だとして、そのレポートも前後編に分けて寄稿してくれています。今回はその後編となりますが、一体どんな体験をレポートしてくれるのでしょう?それでは早速ご覧ください!
台北ライダーに人気のワインディングを目指す
前回の前編で、ベスパに乗る台湾の知人達との再会を果たした土田さん。その知人達と行動を共にする事で現地スクータークラブの忘年会に参加したり、高台から眺める台北の街を写真に収めたり......と、一風変わった台湾旅を堪能。
普通の観光旅行ではなかなか味わう事の出来ないディープな旅は、後編となる今回も続くようですよ!
(以下は土田さんによるレポートになります)
※記事中の情報や写真は2014年当時のものとなりますのでご注意下さい
一夜明けて台湾2日目です。今回はTakeshiさん宅に滞在させてもらえたので、台湾の住環境を体験する事が出来ました。そんな2日目の朝は早く、起床して直ぐに出発の準備です。この日は市内から外れた、とある峠へ行く日。彼らはこの行事を「偉士早餐杯(Vespa mornig cup)」と言いますが、言ってみればいわゆる朝練の事ですね(笑)。
さて、峠の麓にあるマクドナルドの前が今回の集合地点です。ここには街中であまり見かけないような隅々まで手の入ったカスタムスクーター、大排気量スクーター、それにオートバイ等がそれぞれのグループ毎に集合していました。つまりこれから向かう峠とは、台北の"バイク乗り"の誰もが目指す場所の一つなのだろうと感じました。
例えば日本の関東だったら、どこかのパーキングエリアに集合してから箱根の峠を走るために大観山を目指す感覚と近いかもしれません。私たちのグループもこの地点が集合場所だったので、時間になると次々集まって来ました。全員が集合したところで、いよいよ出発です。ただ出発前に「一箇所だけスピード監視カメラがあるから気をつけて。台湾はオートバイも後ろから撮影するオービスがあるので気を抜かないで」という注意を受けたので、なんとなく皆の後について走りました。
峠の道は日本のスカイライン道路のように広々とはしていません。片側一車線で一般車も多く通行する道路です。前に自動車がいると次々にパスしていく彼等ですが、借り物の車両でタンデムしている上に慣れない土地という悪条件の私は遅れをとってしまいました。暫くすると、そんな私に追いついてという指示があったので急ぐ事に。
このルートのゴール地点は、台北市内から約30km程の峠の頂上にあるカフェだったりします。途中の見通しの良いコーナーには多くのギャラリーが集まるポイントもあり、そこにはカメラマンが数名待ち構えています。実はここを通るオートバイを撮影して自身のブログにアップする趣味を持つ人が何名かいて、ここの峠を走りに来る大多数がコーナリングのカッコいい写真を取られに来ているようなものみたいです(笑)。実際に撮影された写真は直ぐにブログにアップされるので、自分が写っている写真をダウンロードして楽しむ事が出来るようでした。
そうこうしていると仲間達に追いつく事が出来、頂上のVanilla caféに到着です。ここは麓から出発した多くのオートバイが集まってくるため、既に駐車場が埋め尽くされている状況です。それゆえ私達は既に止められるスペースもなく、路上駐車するしかありません。そうして、ようやく朝ご飯を頂きます。日中は暖かい台湾でも、朝早くから峠を上って行くとさすがに体は冷えてしまいます。なので、温かいコーヒーとトーストを頂きました。
トレンドスポットもハシゴして台北を満喫!
朝食が終わると、そのままVanilla caféの駐車スペースから流れ解散。タイミング的にちょうどこの日は基隆市に巨大アヒル"ラバーダック"が来ていると言うので、私を案内してくれているグループはそこへ私を連れて行ってくれました。基隆市は、峠のカフェからだと海に向かって約30km。
この町を歩いてみて私が感じたのは、まさに日本で言うところの築地。日本を知る台湾の方も同様の意見です。町の中心部には多くの鮮魚店が並んでいて、台湾らしいゴチャゴチャ感がなんとも良い雰囲気だったりします。ただラバーダックが来ているだけあって、町中はすっかり観光地となってしまってとにかく人が多い印象です。
そしてありとあらゆる黄色いアヒルのグッズが、便乗よろしく所狭しと売られていました。アヒルがいる目の前の広場も記念写真を撮る人々で混雑していて、信号では警察官が交通整理をしているほどでした。
その後は再び台北市内へ戻り、私が欲しい買い物のために案内してもらいました。欲しい物というのは台湾の若い人達の多くが被っているTakegawaのヘルメットです。町を見ていると、何気なく被っている人達の確率が多いと気付きます。今回お世話になっているベスパのグループにも被っている方が多く見られました。
それでこのTakegawaヘルメットの直営店に連れて行ってもらったのですが、驚いた事に帽体は同じでも実にカラーバリエーションが豊富なんです。もちろん日本では公道で被る事が出来ないのですが、台湾のトレンドアイテムとして買って帰りたい物の一つでした。
この日の夕飯は、昨年よりオープンしたライダースカフェの"Ton Up Café"に行きました。ここはDavida(イギリスのヘルメットメーカー)の代理店であり、店内にはヨーロッパのアンティーク小物が展示されていたりします。実にロッカーが好きそうな雰囲気でまとめられ、多くのバイク乗りが集まる最近流行のカフェの一つです。
このお店のマスターはカフェレーサースタイルのトライアンフを愛車にしていますが、お店の外にはかつて台湾で生産されたVespa Sprintが看板代わりに置いてあります。フードメニューはハンバーガーやステーキプレート等、カジュアルなものばかり。メニューは漢字の他、英語表記もあるので現地の言葉が分からなくてもそれほど困らないかも。
それにこちらのお店で働く女性店員は関西への留学経験があり、日本語がとても上手です。なので言葉が分からなくても日本語で対応してくれるので心配要りませんし、いろいろなお話をする事が出来ました。
今回の旅ではTakeshiさんがGT200を私のために貸してくれたので、台北の市内や郊外を彼等と共に走る事が出来ました。その際、動画等でよく見る台湾のラッシュアワーを始めて走る事も出来ました。隙間という隙間に次から次へと入ってくるスクーターの多さは目を疑う程で、慣れていないこちらとしては本当に泣かされました。それでも慣れない私を後ろでフォローをしてくれるメンバーがいたので、どうにか彼等について行く事が出来ました。
また市内から外れると山を抜けて程なく海へと到達するので、開けて穏やかなロケーションだったりします。そして街中を少し注意していれば、普通のスクーターの中にベスパを見つける事が出来ます。お土産屋さんに行けば、ベスパがモチーフのポストカードを見つける事も出来ます。観光地の壁に書かれた看板には"台湾=スクーター"が描かれていて、それはどこかベスパのようにも思えます。他にもお店のディスプレイとしてベスパが置かれていたり、とある大手の靴の小売チェーンではベスパがキャンペーン対象であったりもします。
絶対数的には普通のスクーターと比べて少ないですが、この国ではベスパという乗り物が一般的に市民権を得ているのだと感じました。しかし同時に今現在ファッション優先で乗っている比較的若い人達にとっては、ベスパが"台湾の過去のもの、過去のまま"という認識だったりします。そのせいでベスパはおじさんやおばさんのものと区分けしているようなところもあります。確かにかつては人々の足や道具として普及し、人々の記憶に残ったベスパかもしれません。ですが、今の時代であればやはりスタイルで乗る乗り物になっているようでした。
そんな世代間のものの考え方や価値観の違いを知る事が出来たのは、彼等と遊ぶ機会が少しずつ増えている事もそうですが、何より実は言葉の面でMaikaさんの存在が大きく大変感謝しています。
この先もいろいろな形でお互い、そしてお互いの仲間同士の友情を深めていけたらとても幸せな事だと思います。
今回はここまで!
台湾をより深く知るための旅/後編をお届けしました。前回の前編もそうですが、パックツアーでは決して体験できるハズのない内容盛りだくさんでしたね。もちろん土田さんのネットワークや行動力なくして実現する事は不可能な事ばかりですが、ベスパフリークやバイク好きなら気になって当然ですし、体験してみたい事ばかりだったのではないでしょうか?
......というところで次回の「ワールドワイドにベスパでRUN」も、どうぞお楽しみに!!
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