BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2020.02.10 / Vol.68

    ワールドワイドにベスパでRUN #15 EU trip2015・第1弾/ボローニャ〜モデナ編

CREDIT

寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
今回の「ワールドワイドにベスパでRUN」は、土田さんの欧州旅。題して「EU trip2015」。しかも越境しつつボリューミーな内容となるため、数回に分けた構成でお届けします。その第1弾として、ボローニャ~モデナ編をじっくりご覧ください!

モデナのメンバーが東京に!?

Fabioさんと渋谷で記念写真

2014年の年末に来日したFabioさんと渋谷で記念写真
この時の事がきっかけでモデナ行きを決意した土田さん

もうお馴染みとなった土田さんによる海外旅レポートですが、今回は2015年の欧州旅について寄稿して頂きました。なんでも前年のイタリアからの来訪者の影響も手伝って、土田さん自身が現地での交流を旅の目的に加えようという気になったんだとか。
それでは土田さんによる"EU trip2015・第1弾/ボローニャ~モデナ編"、さっそくいってみましょう!!(以下は土田さんによるレポートになります)
※記事中の情報や写真は2015年当時のものとなりますのでご注意下さい

  イタリアへは、かねてから行きたいと思っていました。ベスパに乗り始め、社会人となった頃から色々な方とお会いする機会も増え、何度かイタリアに誘われていた時期もありました。でも会社員だというところで、その頃はそうした誘いを受けるのが難しかったのです。
それでも上手くやり繰りして仕事も調整をつけ、2年前にはフランスへ行く事が叶い、その経験からヨーロッパへの旅行はなんとなくイメージ出来るようになっていました。例えば時期に関するエアチケットの相場だったり、現地通貨のレートや物価といった部分です。そうした現実を把握出来るようになると、やはりヨーロッパ方面への旅行は時間と予算までしっかり計画を立てる必要があると実感します。「思い立ったらすぐに出かけよう」というにはハードルは高いと言わさるを得ませんが、それでも昨年の初め頃から来年はイタリアに行こう」と計画し始めていました。

  話は変わって2014年の年末、ベスパクラブ東京に一通のメッセージが届きました。それはイタリア・モデナのベスパクラブメンバーからでした。ちなみにモデナとはイタリア北部にある都市で、フェラーリの本社もあります。

  さて、そのモデナ在住にしてメッセージをくれたイタリア人はFabioさん。大の日本好きらしく何度か行き来しているそうで、中でも白川郷が特にお気に入りとの事。そんなFabioさんから届いたメッセージは「日本に行くので、ベスパクラブ東京のメンバー達と食事がしたい」というものでした。
こうした海外ベスパクラブメンバーからのコンタクトは時折あるのですが、今回は年の瀬だった事もあって若干戸惑いもありました。それでもせっかくの交流チャンスだったりしますから、仲間達を集めて歓迎会を行う事にしました。歓迎会は「パスタとピッツァはもう散々食べたから、日本の居酒屋に行きたい!」というFabioさんのリクエストを受け、都内の居酒屋に決定です。その際に英語が堪能な方やイタリア語が堪能な方も参加してもらえた事から、Fabioさんの事をとても良く知る機会にもなりました。

  そして自分の計画にも大きく影響がありました。それまで2015年にイタリアへ行く目的の1つとしていたのが、ベスパ(ピアッジオ)の工場&ミュージアムがあるポンテデーラに行く事でした。......というか、漠然とそれしかありませんでした。しかしモデナとポンテデーラの距離がさほど遠くはないと判断出来たので、Fabioさんの暮らすモデナにも行ってみる事にしました。それに私自身の計画でも、Fabioさんに倣って現地ベスパクラブのメンバー達と交流をしてみようという気持ちにもなれました。
そこでFabioさんに「私もイタリアへ行く際はイタリアの食事や文化、トスカーナの風景、それに可能であればクラブの皆さんと交流したい」とリクエストをしたところ、彼もまた私の希望通りのプログラムを用意してくれました。なのでイタリアでベスパに乗る方々、クラブの様子、イタリアの文化などをより知る事が出来ました。

ついにイタリア! ボローニャへと降り立つ

スクータークラブ

空港まで現地スクータークラブのメンバーがお出迎え
ボローニャ市内までフットワークの軽いベスパで移動です

今回お世話になったFabioさんが所属するクラブはVespa Club Castelfnco Emiliaですが、今回私と時間を共にしてくれたのはTigelle Meccanicheというスクータークラブです。彼らの土地にはベスパクラブがあり、各々仲の良い同士のスクータークラブがあるんだとわかりました。もちろん彼らはどっちがどっちというのはあまりなく、部活動で考えると兼部をしている感じです。なので、皆さんどちらにも属しています。そして彼らのクラブのメンバーには、それぞれ個性的で強者が勢ぞろいという事実も知る事になりました(笑)。

さて、パリ経由で約19時間のフライトを経て夕方にボローニャの空港に到着です。そのタイミングでFabioさんとOmarさんがベスパで迎えに来てくれました。自分の旅行スタイルも身軽であり、彼らからも「ベスパで迎えに行くから荷物はコンパクトにしておいて」と言われていましたが、いざ空港にバイクで迎えに来てもらうとどこかドキッとしながらも、これから始まるイタリアでのベスパ旅行に期待感が膨らみます(笑)。

荷物をバイクに積んで、私はOmarさんの後ろに。Fabioさんの先導でまず向かったのが、ボローニャ市内の小高い山の上にある教会"Sun Luca shrine"というところ。街外れの山の上にあるだけあって、今通って来たばかりのボローニャの街を一望出来ました。そしてポルティコと言われるアーケードに設置されているアーチは666個あり、その距離はボローニャ市内から約4kmも続いているそうです。......そんな事を彼らに教えてもらいながら、素晴らしい景観を楽しみます。
また夕暮れ時で日が沈みかけてきた太陽の光が石造りの壁に反射して、雲のない空がとても綺麗な空間となっていました。「今度はこの距離と勾配を歩いてくるか?」と彼らに言われましたが、バイクでも結構大変な上り坂なので「歩きたくない!」と断りました(笑)。

本場のピッツァを味わう前にバールでビール

山の上の教会

山の上の教会、サントゥアリオ・デッラ・マドンナ・ディ・サン・ルーカ
ボローニャ市街を一望し、その後はバールへと移動して......

この日の夕食はボローニャ市内のピッツァのお店。ただし時間まではバールの方へ。ビールで乾杯しながら記念写真を撮りつつ、私が日本から持ってきたお土産やベスパの冊子だったりを眺めたりして過ごします。次第にお互いが「こんなバイクを持っている、このバイクはこっちではいくらだ」なんて、そんな会話で盛り上がります。
そしてビールを飲んだ後はピッツァ屋さんへ。写真のないメニューを見ても理解出来ないので、英語で「これはマルゲリーターチーズ入り。こっちはゴルゴンゾーラのチーズ入り」と、簡単な説明を受けながら選んでもらいました。このお店で出されるピッツァはどれも自然素材を使ったものばかりで、とても素材と味を大事にしているお店です。
東京で食べるピッツァも美味しいですが、こちらで食べるピッツァは飾り気もなく、素朴でとても美味しかったです。何より裏通りに面したその場所は通りにテーブルが並べられていて、そこで食事をする人々の様子やイタリア語で取り交わされる店員さんと厨房の会話など、本当にイタリアの日常といった雰囲気に溢れていました。日本人や観光客がいないそうした雰囲気の中で出来る食事というのはやはり日本では出来ない事なので、とてもいい時間を過ごす事が出来ました。

そうこうしていると、どうやらホテルへのチェックインは日付が変わりそうな時間となってしまうらしく、それをホテルへ連絡してくれる事になりました。私が予約を取ったホテルの名前を教えたところ、彼らは「あそこね!」と直ぐにわかった様子。電話番号をスマートフォンで調べ、そのまま電話をしてくれました。しかし電話をしてくれたOmarさんが私の名前を伝えた様子はないぞ? と思っていたら、「今日、日本人がそちらのホテルに泊まりますよね? ちょっと遅くなるからよろしく」と、日本人というだけで理解してもらえたみたいだとFabioさんから教えてもらいました。どうやら、この時期のモデナの街外れにホテルを取る日本人はあまりいないようです(笑)。
食事後はボローニャの夜の街を散策。荷物は先ほど食事をしたレストランに交渉をして預かってもらいました。事前にある程度イタリアの治安について把握してはいましたが、彼らはヘルメットをバイクに置いて行ったりはしません。必ず持ち歩いていますし、ヘルメットフックも使いません。持ち歩きが前提でした。私の旅行鞄もキャリアに固定した状態ではなく、バイクを降りる時は基本的に持ち歩きでした。そういった面で、やはり日本とイタリアの治安状況は違うのだと実感します。

モデナへの道中でアクシデント発生!?

後輪が外れるというアクシデントが発生

モデナへの道中、後輪が外れるというアクシデントが発生
しかし彼らのファインプレーで即解決、大事に至らず一安心

ボローニャからモデナへ向かうには国道を使います。日本の都市と都市を結ぶ国道とは少し違い、開けた田畑の間にある街灯のない国道です。自動車が日本のペースとは異なる速さで走って行くのが印象的です。
そこをベスパ2台に3人というパーティでモデナを目指します。時間はすでに夜の23時過ぎ。私もこの日は東京からのフライトのため、夜中の2時に起きて移動続きだったのでだいぶ疲れていました。Omarさんの後ろでうとうと寝そうになりながらしがみ付き、Fabioさんとの2台は時速80km/hくらいで移動して行きます。
真っ暗な中を走っていると突如「ブォー」と言う音がして、直ぐに「あっ、焼きついたかな?  この後ホテルまで辿り着くのに時間がかかるな」なんて思っていたら、次の瞬間後輪が鳴く音がして車体が左右に揺れだしました。「あっ、ロックした!」と思い車体も左右に揺れる中、Omarさんは車体が倒れないように必死に制御しています。私も、道路の左側が草地なので、ある程度の速度になったら飛び降りようかと考えながら次の状況を見守っていました。しかし私が飛び降りる決心をする前に、バイクは路肩にそのままの状況で止まり、あっという間に眠気が飛びました(笑)。

3人で「何があったんだ?」と顔を見合わせて車体を見てみると、Omarさんが異変に気付いた様子。皆で左後部を覗いてみると、なんと後輪が外れていました。「外れる!?」だなんて冗談にも聞こえますが、それが現実に起きているワケです。車両のトラブルは私には対処のしようがないため、彼らに任せます。仲間に電話をして、バンでピックアップを依頼するから待とうという話になりました。
待つと言っても真っ暗な国道の路肩。気分的にはボローニャを出発してから割と走ったような気がして、モデナまで後どれくらいで着けるのか、仲間のバンはどの位で到着するのか、迎えは明け方になるんじゃないか、旅疲れで早くベッドで眠りたいのに......などの考えがぐるぐると頭の中を巡ってしまいます。挙句、路肩の傾斜地の草の上で寝てしまおうかと思い始めたところに仲間のIlarioさんが運転するFiatのバンが到着。
この時、突発的なアクシデントを短時間で解決出来る辺りに、彼らの連携の良さ、仲間との良好な関係性が彼らにはあるんだと感じられました。

人気コンテンツ