BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
今回、土田さんが出かけた先は台湾。そして今回は同行者もいるそうで、現地のベスパ仲間達との交流も楽しみながら、見て、走って、食べてと台湾をとことん堪能されてきたようです。題して満足台湾ツーリング! 早速いってみましょう!!
台湾で仲間と呼べる人達とのつながりも増え......
さて今回、土田さんから寄稿いただいたのは2015年秋の台湾旅。大きく台北と台南に分け、それぞれ現地の仲間達との交流&ツーリングを通して台湾の見処、食事処、ツーリングスポットをたらふく味わって来た模様。一体どんな旅を楽しまれて来たのか......。それではレポートをじっくりご覧ください!(以下は土田さんによるレポートになります)
※記事中の情報や写真は2015年当時のものとなりますのでご注意下さい
何度も訪れるようになった台湾ですが、何度も訪れるのにはそれなりに理由があります。それは訪れた人にしか分からない事だったりもするので、記事化してもらえるように寄稿させていただいたり、お話をする機会があればそれらを伝えたりもしています。何よりベスパによって繋がり、そこから広がった現地の仲間達の歓迎があるからこそ、何度も訪れたいという気持ちにさせてくれる魅力があります。
それは今回の台湾ツーリングに限らず、ヨーロッパなど他の国であっても同じ事です。とは言え日数や費用の面で、日本からほど近いエリアとして台湾に行く事が多くなってしまうのも事実です。それに台湾での食事が日本人である自分の口に合うというのも大きかったりします。
ところで台湾は九州ほどの面積があり、一周約1500kmほど。もしもバイクで一周しようとすると、おおよそ5日ほどのスケジュールになるようです。台湾は台北の都市部、台南の日本時代の面影を多く残す地方部、また、隣接する小さい島、東側の沿岸部はリゾート地としても人気の場所。中心部は山岳地帯で標高が高く、景色もとても綺麗なエリア。しかし平野部と比べとても寒く、その気候を生かした高山茶はこの土地ならではのものです。
また、台湾にはバイク乗り向けのガイドブックがあります。北台湾、中台湾、南台湾と各エリアに分かれていて、地図にはガソリンスタンドのポイントや名所が記載されています。それに食事スポットは写真を使って紹介されているので、この本があれば台湾を丸々ツーリングしながら満喫する事が可能です。
今回は台湾好きでもあるバイク乗りの井上さん(現土田夫人)も同行し、台湾の魅力をツーリングしながら味わいました。実は以前にも、日本からのグループで台湾旅行を企画したことがあります。その時のメンバーの中には2015年10月に台南で行われるVespaDayというイベントに参加してみようというほど、台湾とオートバイの組み合わせに取り付かれてしまった人がいます。それほど魅力たっぷりな台湾ですが、今回はスケジュールの兼ね合いでマルッとツーリングする事が出来ませんでした。それでも各地のベスパ友達に声をかけ、それぞれの土地でお世話になる事となりました。
エリアは大きく分けて台北と台南。井上さんも同行しますので、女性でも楽しめる様に「各所の料理中心に台湾のツーリングスポットを案内して欲しい。そして台湾らしさの伝わる所が見たい。さらに台南エリアでは高山茶で有名な阿里山に行きたい」とリクエストしました。
さて、旅行前には現地でメインにお世話になる方と念入りにメッセージでやり取りしました。行きたいところ&食べたいものを伝えつつ、旅行中の拠点に出来て動きやすいホテルも教わって予約。そしてカレンダーを見ながら飛行機の予約も入れて、細かなスケジュールまで打ち合わせました。日本では祝日が多く連休となる9月ですが、台湾では通常通り。なので仕事など、あまり無理がかからないように配慮していきます。そうした調整も、今思うと5ヶ月くらい前から始まっていた事に気が付かされました。
今回の台湾ツーリングでは一度に北側と南側を巡ります。なので飛行機に新幹線に自動車にベスパ、あらゆる乗り物を使いました。まず降り立ったのは高雄国際空港。東京は秋の空気が感じられる頃合いですが、高雄はまだまだ気温も湿度も高く熱気を感じるほどです。その高雄では会っておきたい人物が2名ほどいます。1人は7月に東京を訪れてくれたTaiさん。先日発売された雑誌を手渡したいという理由です。もう1人は以前から連絡をいただいているPieさん。彼はイタリアのGiuseppe Cauさん(ベスパ黎明期に活躍したレーサー)とも大変仲がよく、自らファンクラブまで作ってしまったほど。そうした事まで含めて、以前より大変興味を持っていました。
Taiさんとは2ヶ月ぶりの再会です。ご好意で空港まで迎えに来てくれ、高雄市内で食事を楽しみました。彼は来年再び日本を訪れようと計画していて、その際に再び東京を訪れるか大阪に行ってみるかで迷っていると相談されました。そこで一度東京を訪れたことがあるのだから、是非とも大阪の文化にも触れてもらいたいと思って大阪を勧めました。大阪は見処が多いのも確かですが、関東と関西......日本人が生活していてもその違いを感じる事が多く、言葉の違い、食事の味の違い、考え方の違いなどを紹介し、関西の魅力を紹介しました。何より大阪からなら奈良・京都も近いですし、日本の風情を大いに感じる事が出来るハズです。
食事の後はベスパのディーラーを案内してもらう事に。そこで雑誌を手渡し、ディーラーの前で記念写真も撮りました。綺麗に整ったディーラーには最新のモデルばかりが並んでいて、仕様の違い、配色の違い、廉価モデルといった日本では見る事が出来ないモデルも数多くあり、見ているだけでもおもしろいです。
そしてVespaのオフィシャルグッズも日本にはないものが数多くあり、気になるものを手に取ると思わず欲しくなってしまいます。もちろんグッズであれば旅行者でも購入出来ますが、まだ旅行は始まったばかり。「本当に必要なものか?」と考え、思い止まる事も多々あります。それでもVespaグリーンのラベルが施されたミネラルウォーターを、せっかくだからといただきました。水源地ももちろん台湾です(笑)。
さて、初日の日中に台北で待つ友達に会うという目的があるため、別れを惜しみつつもそろそろTaiさんとはお別れです。ここからは台湾高速鉄道(車両は日本製のため新幹線でも通じます)に乗り換えて行きます。
各都市へアクセスするには新幹線を利用するのが一般的なようですが、高雄国際空港からは新幹線に直接乗り入れていません。なので地下鉄(MRT)の紅線(レッドライン)を利用してアクセスします。ネット検索をすれば日本語で紹介しているページが数多くヒットするので、ツアーでなくても空港から地下鉄経由で新幹線に乗り換え、そのまま各都市へとアクセスするのもそう難しくはないハズです。それに台湾の新幹線料金は、距離に対して日本よりも割安感があるので気兼ねなく利用する事が出来るでしょう。
高雄からだと左営駅を利用して台北まで行きますが、この区間は始発から終点なので途中下車や乗り継ぎといった煩わしさがありません。約2時間の車中は早朝から動いた事による疲れを取るための時間となりました(笑)。結局、予定の時間は押してしまいましたが台北駅に無事到着。駅にはjasonさん、Lewisさんが各々のベスパで迎えに来てくれていました。
私達は2人で荷物も少々大き目でしたが、2台のベスパに4人で分乗。そのまま予約していたJasonさんの自宅近くのホテルへと向かいます。台北の駅から南へ、大きな川を越えて約6km。大した距離ではありませんが、タンデムで荷物満載のベスパは決してゆとりがあるとは言えません。
念願叶って友達のショップ訪問が実現
久しぶりの台北。その道路事情は混雑する時間帯を過ぎているとはいえ、スクーターの多さに緊張が続きました。道のりも心なしか長く感じられます。同行している井上さんも緊張しているのが窺えます。井上さんは台湾旅行の経験があり、道路の様子を見た事もあります。それでも、この流れの中に入ったのは初めて。たとえ運転していなくても緊張が絶えなかったようでした。
東京も絶えず渋滞していますが、常識的な車間距離は保たれています。それこそ意識していなくてもお互いが暗黙の距離を保つので、信号待ちで横すれすれ数センチに隣のバイクが並ぶという状況は日本ではあまりありません。その距離感でバイクが並ぶという事は、それほどの量のバイクやスクーターが同じ道路にひしめきあっているという事なのです。その辺りを踏まえて事前に台湾の道路事情を伝え、台湾で乗る予定と同モデルに日本で何度か乗り慣れてから現地に向かったのですが、実際の交通量は思っていた以上だったようです。そのため翌日に予定している郊外へ出かけるツーリングも都心部ではパッセンジャーとなってもらい、郊外の穏やかな場所になってから運転するという段取りとなりました。
そろそろ時計は21時。ようやくホテルにチェックイン。取り敢えず荷物だけ置き、休む間もなく夕飯へ。昼食が少々遅く、それに食べ過ぎていた事もあって、まだお腹が空いている訳ではありませんが彼らと夕飯へ向かいます。行き先は宿泊しているホテルの並びにある佳佳香鍋貼。ここは日本の旅行雑誌でも紹介されるほどの老舗焼き餃子の人気店。なんでも一日に1万個を売り上げるそうです。
パリパリに焼かれた餃子の具は、ニラと荒めの豚挽き肉というとてもシンプルなもの。購入前に何個食べるかを聞かれましたが、既におなかがいっぱいで食べられる自信がなかったので3つ。......と、伝えたのに出てきたお皿には10個も。しかも餃子のサイズが日本でよく目にする春巻きのサイズほどあって少々大きいのです。
「いや、コレはさすがに食べられない。食べたら戻してしまうぞ」と思ったのですが、いざ食べてみると思ったより重たくなくて、美味しくぺロッと一皿食べられました。ホテルからも近いので、明日もまた食べたいかも。作り方を調べて、帰国したら再現してみようと思ったほどです。そして酸辣湯(サンラータン)も注文してもらったのですが、酸味がとても利いていて、満腹であっても食をそそるものでした。
さて満腹の限度を越えつつも、この旅行で訪れておきたい所があります。今年の春にショールームをオープンした、Project A Scooterというベスパのグッズやアクセサリーを取り扱うお店です。友達のお店であってもフットワークが軽くないとOpenDayに参加するのは難しく、今回漸く訪問する事が出来ました。......と、その前にベスパを扱う昔ながらのお店に寄り道で案内してもらいました。
最近のベスパを扱うディーラーは、統一された看板と店内に最新モデルばかりが展示された清潔感のあるお店です。今回寄り道をしたお店の看板は"偉士牌零件(ベスパ部品)"と表記され、かつて台湾でベスパが生産されていた時代からある古いお店です。実際、偉士牌零件はベスパの部品を取り扱うお店らしく、エンブレムやボディパーツ、ガスケットやラバー部品などが店内に所狭しと展示され、"偉士牌 正廠零件(ベスパ純正部品)"とプリントされた袋も多く見られました。
ただ日本で流通している多くのベスパには台湾生産の部品が使えない事もあるので、自分が必要と思うものは余りありませんが、"偉士牌"や"ET8"といった台湾ならではのエンブレムには興味をそそられました(笑)。それと日本で台湾生産ベスパを所有されている方も身近にいるので、この機会に必要なものがないか聞いてみる事に。
今回もそうですがスマートフォンとwifiを持ち歩いているので、海外でもアプリケーションを使用して気兼ねなく電話をする事が可能です。それに必要があれば確認の画像をその場で送り、チェックしてもらう事だって出来てしまいます。すると探している部品があると言うので、友達にお願いをしてお店の人に在庫確認をしてもらいました。そうしたらその部品を店の屋根裏奥からいくつか出していただき、必要なものを購入する事が出来ました。これらは既に現地でも品薄なため、自分達も必要以上に買わないよう気を使う事もあります。
その後、漸く友達がやっているProject A Scooterに到着。台北市内から西側の淡水河を越えた対岸にあるこのお店は、22時半でも買い物に訪れるお客さんがいるほど。オーナーのショーアンさんは、日本を始めベトナムなどさまざまなベスパのシーンを訪れるほどベスパが好きな方。お店は最もシェアの広いオートマチックベスパの部品&アクセサリーを中心としたものが多く、ヨーロッパやアジア各地から人気が出そうなアイテムを仕入れたりもしているようです。店内には彼のコレクションケースやクラシックベスパもディスプレイされており、そのフロントにはVespaClubTokyoのバナーが飾られているなど、日本との友好の印も感じる事が出来ます。
加えて、今回は一つのイベントとして"台日友好2015"とプリントされたTシャツが用意され、この旅行はとても歓迎されているのだと感じる事が出来ました。一つにイベントと考えるなら翌月に日本で行われるVespa Brunchに彼らを招待しているので、一つの台日交換交流会と受け止める事も出来ます。
お店ではバイクに取り付ける部品&アクセサリー以外にもバックやヘルメット、小物などのグッズを豊富に扱っています。きっと女子でも見ていて飽きないんじゃないかと(?)。一緒に来ていた井上さんも、日本では扱っていないブリキのプレートやヘルメットがとても気になった様子。特にヘルメットは豊富なカラーバリエーションが揃っていて、女子好みのレトロな色使いにゴーグルも各色選ぶ事が可能となっていました。数多くある色の中からいくつか試着をし、現地の皆さんにもどの色が似合うか聞いてみたりしながらお気に入りの1つを見つける事が出来たようで購入していました。
この日は明け方から空港へ向かい、一日中移動をしていたので私も井上さんもだいぶお疲れモード。明日はいよいよ台湾でのツーリングが始まるので、今日はここら辺でお開きにさせていただく事に。店先でこの日集まった方々と記念写真を撮ってホテルへと戻りました。
今回はここまで!
数回に分けてお送りする予定の台湾旅「満足台湾ツーリング」ですが、今回はその第1弾として台南から台湾入りして台北中心の動きをレポートしてくれた内容となっています。いかがでしたか?台南で友人と再会した後、駆け足で台北まで移動。そこから台北の仲間達のエスコートでショップ巡りや夕食を楽しむなど、まさに台湾初日を走り抜けた感のある土田さん達でした。次回は台北でのツーリングを中心にレポートしてくれる予定のようです。どうぞご期待ください!
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