BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2020.07.28 / Vol.73

    ワールドワイドにベスパでRUN #20 満足台湾ツーリング3/台南訪問編

CREDIT

寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
台北でのツーリングも、食もスイーツも満喫した土田さん達ですが、今回からは、いよいよ台南編に突入です。台南では以前より交流のある、しかもベスパに関連した仕事をされている方と会うところからスタートするようです。それでは満足台湾ツーリングの第3弾、始まります!

新幹線で移動した台南で迎え入れてくれたのは!?

Zelioniではリリースされたばかりの最新製品を
デモンストレーションとして見る事が出来ました

第3弾となる今回より、土田さん達による「満足台湾ツーリング」は台南へと舞台を移します。どんな美味しいものを食べるのかも気になりますが、ベスパにまつわる人達との交流も気になってしまいますよね。それではレポートの第3弾、早速スタートです!(以下は土田さんによるレポートになります)
※記事中の情報や写真は2015年当時のものとなりますのでご注意下さい

  食もツーリングも、そして久しぶりに会った人達との交流も堪能した台北。そんな台北を旅立つ朝はJasonさんとLewisさんに駅まで送ってもらい、次の再会を約束しつつお世話になった彼等ともお別れです。
それから切符売り場で乗車券を購入し、新幹線が止まるホームまで移動します。ここからは再び新幹線を利用して台南へと向かいます。台南では以前から交流させてもらっているAluさんと合流する事になっていますが、Aluさんはベスパのカスタムパーツも数多く手掛けているZelioniの社長さんでもあります。
そんなAluさんを訪ねるのには理由があって、台南をベースとしたツーリングを企画をしてもらったからなんです。実は、お茶好きの井上さんには台湾中部の阿里山で栽培されている高山茶を飲みたいという夢があるんだそうです。そうした夢を実現するため、Aluさんがツーリングを企画してくれたという訳なんです。......なのでワクワク気分で目指す台南と思いきや、休みなく動き回って食べ歩いた台北の疲れを引きずっていた事もあって、台南までは車中で睡眠してしまいました。

  さて、バイク旅行で重要な事の一つに天気があります。ところがこの日出発した台北では晴れていたのに、南に向かうにつれて天気は崩れていって次第に雨が降り出してしまいました。そして明日の天気も、台南と阿里山それぞれがイマイチな予報です。
そんな事をあれこれと考えていたら昼もとうに過ぎ、どうにか無事に台南に到着です。台南の駅も通ううちにだいぶ慣れたので、どこで待ち合わせをするのかも随分とスムーズに連絡出来るようになりました。駅にはAluさんがお気に入りの自動車である、BMWツーリング仕様で迎えに来てくれていました。今回は仕事のパートナーでもあるHugoさんもご一緒。まずは少し遅いお昼ご飯を頂く事にします。
車中では自己紹介や東京の気温と台南の気温差の話、それに簡単ながら近況などを話しました。東京もまだまだ暑い9月でしたが、台南もまだまだ暑いとの事。Aluさんは気温20度前後が好きらしく、暑い土地に慣れていても過ごしやすいと感じる気温はどこも同じなんだなと思いました。

  駅を出る頃は「傘をささないと濡れるな~」と感じる雨量でしたが、台南の中心地に向かうに連れ雨は強くなっていき、昼食スポットに到着した頃には土砂降りの大雨。雨雲と一緒に来てしまったのか、雨雲を呼んでしまったのか......とにかく先行きが思いやられます(笑)。明日もこんな調子だと自動車でのツーリングになるようです。雨の旅行もそれはそれで風情があって良いところもありますが、やはり晴れているに越した事はありません。
少し遅目の昼食は、事前にリクエストしておいた台湾でも名物の一つである牛肉麵。今回はAluさんのお友達のお店を紹介してくれました。お店の名前は"阿銘牛肉麵"。とても繁盛しているお店で色味の割にはくどくなく、日本人でも馴染めるような味です。
壁には私も知っている洋服ブランドやスイーツ店、そしてZelioni等のステッカーが貼られていて、その仲の良さを窺い知る事が出来ました。
するとここに、台南訪問ではいつも言葉の面で助けてもらっているグアグアちゃんが合流。食事がまだだったようなので食事をご一緒しました。

  食事の後、土砂降りの雨の中を車でひとまずAluさんのお店へ移動。もちろんZelioniのショールームです。店内は荷物の搬入と梱包等で雑然としていますが、インターネットで進捗確認が出来る部品開発と、新たな提案の施された車両を実際に見る事が出来ます。そうした新製品や展示車両を見る事は、何時来てもこのショールームでの楽しみの一つとなっています。
彼のショールームには現行型のベスパ用部品に限らず、クラシックベスパの部品もあります。それに彼自身がクラシックベスパも好きなので、そのコレクションも展示されています。その他にもバッジやミニカー、バッジに関しては世界中のクラブのバッジ等も沢山飾られています。それらが訪れる度に変化しているので、いつ来ても飽きる事がありません。以前交流の証にとベスパクラブ東京のバナーを送ってあったのですが、いつの間にかそのバナーが壁に飾られているのを目にすると、贈ったこちらとしてもとても嬉しく思いました。

  一方、初めてこのショールームに来た井上さんは、その空間に凝縮されたベスパの密度の濃さに驚いている様子です。中でもトレーラーを引いたクラシックベスパのピクニックスタイルに興味を示していました。日本でも見る機会が少ないので尚の事だったようです。
また壁に飾られていたポスターやーAluさんの若いころの写真もじっくり見た上で、キメッキメのモッズスタイルのベスパにまたがるAluさんの写真を発見し、「これはとてもカッコいい!」と何度も言ってはその写真を撮っていました(笑)。
その若いころに乗っていたモッズスタイルのベスパですが、もちろんその時の姿のままこのショールームに展示されているので見る事が出来ます。

Aluさんが経営するZelioniのショールームの外観とその店内の様子。新旧ベスパが展示され、Zelioni製パーツも多数見る事が出来ます。さらに様々な掲示物が壁一面に掲出され、その中でも特に写真に興味津々だったのが同行で初訪の井上さんでした

台南の街を散策して歴史に触れ、お洒落スポットも発見!

台南に多く残る古い建物を利用した施設が人気
そのような古い建物を利用したカフェを訪問です

  台湾、特に台南、そしてAluさん自身のスタイルとして、時間の流れはせかせかとしていません。......というよりも、特にAluさんはとてもメリハリのある時間の流れだと感じます。仕事の時間は集中し、ゲストを迎える際や休憩する時間はとてもゆっくりとし、遊ぶ時間はそれに集中すると。それで今はのんびり過ごす時間のようなので、彼の友達がやっている古い建物を利用した"甘単咖啡館"という名前のカフェへ。
この建物がどのくらい古いのかはわかりませんが、日本時代ほど古い感じはありません。しかし洗練されたオシャレカフェとは違い、古い物を取り入れる事による温かみがあり、静かで落ち着いたカフェでした。ここのカフェの方もベスパが好きで乗っているらしく、随所にそれらが伺えます。例えばクラブのバッジがエスプレッソマシーンに貼ってあったり、店内にはポスターを見つける事が出来、表の壁にはベスパのホイールを利用したホースリール等が見られます。とは言っても、全面的にベスパで彩られているワケではありません。台南の情報誌や地元のアーティストさんが描いたイラストなども飾られていて、このお店のコーヒー豆も買う事が出来ます。

  さて、Aluさんは本当にお話をする事がお好き。途中で彼の友達であるグアグア(瓜瓜)ちゃんも加わり、話は止まりません(笑)。移動の車の中でも色々なお話が切れる事なく続きます。電話中は仕事の話をしている事もあれば、それだけではないのが聞えてくる言葉で判ります。でも話に花を咲かせるほどの語学力なんて自分達にはないので、だんだんと手持ち無沙汰になってきます(汗)。
先ほど合流してきたグアグアちゃんは日本に留学していた事もあり、だいぶ日本語は忘れてしまったとは言いつつも全然不自由がないほど日本語が達者です。なので、井上さんとグアグアちゃんは女子トーク。それはそれで見ていて面白いものです。日本と台湾の違い、文化の違い......そのような話が聞えてはちょっと参加してみたり。内容は女子トークなのであまり覚えておりません(笑)。

  Aluさんの話はまだまだ尽きないようなので、グアグアちゃんが少し連れ出してくれました。台南は多くの日本時代の建物を残す街の一つで、街の随所にそのような建物を見る事が出来ます。甘単咖啡館の裏手には、日本時代に公会堂と料亭として作られた建物が残されています。現在ではウーユェン(呉園)という名称で保存されていて、見学する事が可能になっています。
表通りから見える公会堂は、石とレンガで作られた立派な作りです。その裏手には日本の木造の建物を想像させる料亭が残されています。中心部の庭には現在芝生が植えられていて、池の反対側の屋根の付いた通路はどこか中国を彷彿させる作りとなっていました。その時代時代、関わった国によってそのような空間が生まれ、それが残され、見る事が出来るのも貴重な体験だと思いました。

  裏道等を歩きながら散策していると、家の中の様子が見えてしまう事もあります。ちょうどこの季節の夕暮れ時だとエアコンを使う程でもないせいか、窓を開けて扇風機を回して過ごしているようなので尚更です。多くの家庭が家でのんびりテレビを見ていたりする時間でもあり、カーテン等で窓を覆うところも少ないので、ちょっと気にして歩いていると家の中が見えてしまうドキドキ感も。他人の生活が垣間見えるってそんなドキドキ感もあるんだと思いながら、台南の人々の生活がチラッと見えるのもこの土地ならではなんだと思います。
表通りは相変わらずスクーターの数も多く、そのエンジンの音も響き渡りますが、一つ裏手に入ると本当に静かでした。しかし暫く歩くと体温も上がって暑くなってきます(笑)。比較的疲れも出てきていたのでAluさんのいるカフェへ戻ります。戻ってみるとAluさんはまだお喋り。本当にお喋りが好きなんだと感心してしまいます(笑)。とは言え、それだけ人と触れるのが好きだからこそ、周りの仲間達もこうして集まって来るんだと思いました。

  外は暗くなり、夕飯へ。月曜日であるこの日、この地域では定休日である事が多いらしく、目星をつけていた食事スポットはお休み。実は先ほどのカフェも、他の目星をつけていたカフェがお休みだったのです。そんなだから、夕飯は電話をかけまくってやっと開いている良さそうなお店に決められたという事でした。
話は前後しますが、夕飯の前に台南で人気のスイーツショップ"蜷尾家甘味處"へ(ちなみにこのスイーツショップは2018年に東京にも進出し、ニナオの愛称で親しまれています)。私も以前連れて行ってもらった事のあるお店。日本のようなテイストで作られた佇まいのこのお店は、連日行列を作る大人気のアイスクリームショップです。
最近、日本の旅行エッセイ本や旅行雑誌にも紹介されるようにもなってきたこのお店もまたAluさんの友達のお店。さすがに時間が時間だけあって行列は伸びていませんでしたが、絶え間なくちょこちょことお客さんが訪れていました。
何よりも、暖かいこの土地ではこのような冷たいものを欠かす事が出来ません。台湾のカキ氷も有名ですが、最近はこのようなソフトクリームも流行っているようです。何故このようなお店でも行列が出来るのかはわかりませんが、やはりお店の雰囲気が良いんだと思います。渋谷や原宿でクレープやジェラート、ポップコーンが流行るように。

  さて、こちらでもAluさんのお喋りが始まりました(笑)。その間に周辺の探検に出掛けます。裏路地は色々発見があって楽しいのです。歩いていると、出来たばかりだというオシャレなカフェレストランを発見しました。戻ってその事をAluさんに伝えると、早速そこへ向かって行って直ぐにチェック。このようなスポットに敏感なAluさんは、とても興味を持っていました。
しかしこのカフェレストランは、奥まったところにあるので海外からの観光客では暫く辿り着けそうにありません。日本のガイドブックでも発見するのは難しそうです。でもとても明るく落ち着きのある雰囲気のお店なので、見つけた人達の間では人気店になりそうな感じでした。知る人ぞ知るというやつです。

  そして夕飯の後はスイーツ。先程も食前に食べていますが、台南と言えばやはり果物は外せません。バナナ、桃、キウイ、マンゴー、グアバ......等々、フルーツの宝庫です。
今回立ち寄ったのは"清吉水果"というお店。店先には多くの果物が積まれていて、その積まれた果物を切ってもらって皿に盛ってもらうというもの。そして、店先にあるテーブルで食べる事が出来ます。それとミキサーにかけてもらう事も出来るので、ジュースで頂くという選択もあります。
どのフルーツもとても瑞々しく、そして甘くて美味しかったのですが、特に美味しかったものに限って名前がわからず、聞いても忘れてしまうもの。まあそれは、また食べに行く時の楽しみに取っておきます(笑)。

いよいよ明日は阿里山ツーリングです。ちょっと距離があるので朝は少し早め。そのため早めにホテルに戻りました。Aluさんはこの後まだ仕事をするそうなので、本当にありがたい限りです。

今回はここまで!

フルーツが名産の台湾・台南だけに専門店も多くあり
その場でカットしてもらったりジュースにしてくれたりします

土田さん達の台南初日のレポートはいかがでしたか? いつものベスパに関する話題が豊富なレポートとは一味違った内容でしたが、台南の歴史を感じさせる建造物を見学したり、新しいカフェを発見したりと、内容の濃さはいつも以上だったかも知れませんね。さて、次回はついに阿里山を巡るツーリングとの事です。一体どんな景観や食を楽しむのでしょう? なんだか楽しみですね。どうぞご期待ください!

人気コンテンツ