BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
土田さんの今回の旅の舞台はベスパが生まれた土地でもあるイタリア。しかもレンタルベスパでフィレンツェからベスパの生産されるポンテデーラを目指す事に。さらに現地の交流がある2つのベスパクラブとの会食も計画......なんですが、そのレポートよりも先に海外でバイクをレンタルをするという事のあれこれをQ&A形式でまとめてくれました。これは注目ですよ!
海外で125ccのベスパをレンタルしてツーリング!?
今回の土田さん、イタリアのフィレンツェからポンテデーラまでレンタルベスパでツーリングをしてきた際のレポートを寄稿してくれました。ただ海外でバイクのレンタルとなると、多くの人が尻込みしてしまいそうだという事で、海外レンタルにまつわるQ&Aを用意してくれました。
それでは早速、「海外レンタルにまつわるQ&A」をお届けします!(以下は土田さんからの寄稿文になります)
※記事中の情報や写真は2016年当時のものとなりますのでご注意下さい
「ベスパが生まれた土地、イタリアでベスパツーリングを楽しもう」......そんな気持ちで訪れた今年のイタリア。この旅にも井上さん(現土田夫人)が同行してくれていますが、ベスパが好きな彼女にとっては初めてのイタリアです。
そこで今回の旅ではフィレンツェを拠点として、ベスパの博物館があるポンテデーラを目指す事にしました。せっかくなので以前よりやり取りをしていたVespa Club
Valderaのメンバーとの夕飯を事前に約束。そしてフィレンツェではVespa Club Firenzeのメンバーとも再会。
さらに以前利用したレンタルバイク店ではビンテージスクーターというカテゴリーが増えていたため、現地でもなかなか乗る機会が無いクラシックベスパであるベスパ・PX125Eを借りる事に。......そんな盛り沢山な内容でフィレンツェより一泊二日のスケジュールを組みつつ、イタリアの田舎道を利用しながら巡る事が出来るコースを計画してみました。
なお海外レンタルバイクツーリングとなれば、分からない事や不安な事ばかりだと思います。そこで海外でのバイクレンタルに関するあれこれにも少し触れていこうと思います。
まず「海外でレンタルバイクってどうするの?」から。海外でバイクをレンタルする際はインターネットを利用します。今回の場合だと"Firenze Rental Vespa"と英語でインターネット検索するだけでいくつかヒット。借りる街と車種を決めている場合はそれでOK。漠然とスクーターを借りたい場合ならVespaではなくScooterと入れるだけ。そんな風に大概は英語で探し、予約する事が可能。難しい単語が出てきたら翻訳ソフトで解決です。
次に「レンタルする際のポイントは?」です。これは自分達が訪れる街にあるレンタル店を探し、そのレンタル店が自分達の行動範囲にあるのかを確認します。駅に近いか、ホテルに近いか......など。仮にお店自体が遠くても、ホテルまで配送するサービスをしているところだととても便利。それに返却時、プラスαの料金を払えばガソリンの満タン返しをしなくて良いところも。これだと知らない土地で返却間際にガソリンスタンドを探す手間が省け、だいぶ旅が楽になります。
それから様々な国を行き来出来るヨーロッパ。そのため日本ではあまり馴染みの無い距離毎の料金設定というところもあります。この場合は基本料金+走った分だけ料金が加算されるので、市内観光だけではなくちょっと遠出をする計画なら要チェックです。
続いて「レンタルに必要なものは?」です。マストなのはパスポートと国際免許。パスポートは海外旅行では絶対に必要なもの。国際免許は最寄の試験場や免許センターにて取得可能で特別な試験等も無く、パスポートと運転免許証に申請費用を支払えば発行してもらえます。発行まで1時間程度で、日曜日も発行してもらえるところもあって入手しやすかったりします。
お次は「どの排気量をレンタルすべきか?」です。これについては考え方もいろいろだろうと思いますので、ここでは私なりの解釈だというところでご理解ください。
排気量を選択する際の基準の一つに"広さ"というのがあるんじゃないかと思います。普通に考えると「広い土地を走り回るなら排気量のあるオートバイが快適ではないか?」でしょう。でも、そうかと思えばイタリアは125ccでも楽しめます。
ちなみにイタリアでは自動車免許で125ccまで乗る事が出来ます。日本人旅行者がこのルールでレンタル可能なのかはレンタル店次第になると思われるので、基本的に二輪免許を持っているのが前提。
よって大型バイクを視野に入れなければ、どのベスパ(125cc、250cc・300cc)を選ぶのかは価格とフットワークの軽さ、それに移動距離での判断になるでしょう。日本ではどこへ行くにも信号が多く、どうしてもストップアンドゴーの煩わしさを感じる事があります。特にタンデムをしていればより排気量の大きな車両が欲しくなる事も。
しかしヨーロッパは市街地を抜けるとラウンドアバウトと呼ばれる円形の交差点になるので、ほとんど止まる事も無く進んで行けて125ccでもあまり苦にはなりません。そのため125ccでも思いのほか距離を稼ぐ事が出来ますし、田舎道の景色を楽しみながら移動する際の速度も案外調度良かったりします。それもあって、あまり走りっぱなしな感じが無くても1日に300kmは移動が出来てしまいます。
それでも「排気量の大きな車両で移動した方が一般道でも速くて楽なのでは?」と思われるかも知れませんが、市街地を抜ければ田畑の中の田舎道になります。10分、20分も走れば隣町や隣村に差し掛かります。町や村に入る手前では減速を求める看板があり、時には町の入り口に速度監視カメラを設置している箇所もあるため、結局のところ排気量でそこまで急ぐ事が出来ないという印象です。
また市街地がメインの場合だと駐車スペースの問題、何世紀も前から残る町の狭い路地を移動しながらの取り回し......など、コンパクトサイズなスクーターの優位性が際立ちます。だからこそヨーロッパスタイルの、コンパクトな車体でありながら少し排気量に余裕があるタイプはこの土地で作られた乗り物だと感じられます。
それと気にしたいのは「イタリアの高速道路は150cc以上」というルールです。このルールがあるので、高速道路を利用するプランを考えているなら125ccは選択肢から外れます。それらを踏まえて一日の移動距離が多い場合や連泊を予定しているのであれば、150cc以上を選択する方が積載面でもゆとりを生みますが、市街地をメインとした行動&ちょっと郊外の観光スポットまで出かける程度といった用途なら125ccでタンデムしても十分楽しめちゃうワケです。
ところで「ビンテージスクーターを借りる事は出来るのか?」というのが気になる人もいるでしょう。実際のところ、レンタルバイク店ではラインナップの大半が現行車種だったりします。恐らく癖が無く、誰でも乗る事が出来る乗り物の方が操作ミスや、それに伴う故障が少ないからだと考えられます。しかし近年では旅行者のニーズなのか、新しいカテゴリーとしてビンテージモデルを売りにするところが少しずつですが増えてきています。
ただし以前よりクラシックベスパをレンタル出来るとしているところもあるにはありますが、いざ行ってみると故障中で貸し出し不可になっていたりする事も。それにクラシックベスパのツアーでもイタリア人の後ろに乗るツアーであったりと、自らクラシックベスパを現地で運転するという機会になかなか恵まれません。
昨年私が利用したフィレンツェのこのレンタル店では、今年からビンテージスクーターというカテゴリーにPX125Eというベスパがラインナップに加わっていました。そこで少々割高でも旅行の楽しみの一つとしてクラシックベスパを利用する事にしました。
最後は「あると便利なもの」です。現地でオートバイに乗るのにあると便利なものと言えばナビ。駅で地図を入手して、行きたい場所を探してペンで印を付けていく......そんな事前作業を伴う楽しみ方もありますが、手元のスマートフォンをベースにしたスタイルがとても便利です。そのためには事前にレンタル店までスマホ用マウントを取り付けて良いか確認した上で、普段使い慣れているものを持参して利用するのが良いです。
専用ナビによる目的地検索の場合、ストリート名から入力して目的地を探すパターンですが、慣れないとその検索だけで時間がかかりなかなか出発出来ません。普段使い慣れたスマホによるマップ検索であれば、そのまま住所や名称を入力するだけで目的地を示してくれます。それに目的地のオープン時間や電話、webサイト等までそのままリンクして調べる事が出来るのでとても便利です。
もう1つ。ナビ使用を含めたスマホ利用に付随して、現地で使えるレンタルwifiも用意しておく事をお勧めします。一日あたりの金額も大変安価でカバーしているエリアも広く、1台で何台もの機器と接続出来るのでグループで共用する事も可能です。これはバイク旅行でなくてもあると便利なものとして、空港で良く利用されているサービスだったりします。
最後に、これらの機器を動かすための電源。日本であれば自分のバイクに電源コネクターを設置しておけばいつでも使えますが、レンタルバイクの場合だとそこまで出来ないのでモバイルバッテリーを活用するのがベストです。
【今回利用したレンタルバイク店情報】
レンタル店名●NEW TUSCANY SCOOTER RENTAL
ウエブアドレス●https://www.vesparental.eu/index.php/en/
住所●Via Il Prato, 50Rosso, 50123 Firenze(駅から徒歩10分)
営業時間●10:00-17:00
参考価格● | |
---|---|
リバティ125(一般的なスクーター) | 60ユーロ/日 |
ベスパLX125(従来のレンタルベスパ) | 60ユーロ/日 |
ベスパPrimavera125(最新車種) | 75ユーロ/日 |
ベスパGTS250IE(大排気量ベスパ) | 80ユーロ/日 |
ベスパPX125E(クラシックタイプベスパ) | 75ユーロ/日 |
今回はここまで!
今回の旅の主な目的地は2つ。井上さんが兼ねてから行きたかった、フィレンツェ中心部から外れたところにあるヴィラ・レ・ブラーケ。ここの建物および敷地は、およそ14世紀からその姿をとどめ残されているそうです。
そしてフィレンツェから西に約60km程行ったところにある、ポンテデーラ(Pontedera)という町。決して大きくはない町ですが、ここにはPiaggioの工場があり、ムゼオピアッジオ(Museo
Piaggio)と呼ばれるベスパを中心に展示する博物館が併設されています。ベスパが好きなら一度は訪れたいこの場所に、今回は井上さんも突入する事に。
これに付随して、もしも行けるならフィレンツェからポンテデーラへ向かう途中の、少し道を外れて立派な古い建物が今なお残るサン・ジミニャーノ(San Gimignano)に立ち寄るのも程よい距離。そしてポンテデーラまで来たのなら、さらに西へ30km行った先には斜塔で有名なピサ(Pisa)があり、そこは是非とも訪れたいと考えていました。
それから現地ベスパクラブとも、この機会に交流しておきたいという気持ちがあります。実は2016年初旬よりVespa club Valderaのメンバーとひょんなことからメッセージのやり取りをしていて、せっかく近くまで訪れるなら互いに都合をつけて一緒に食事をしようという事になりました。 そしてフィレンツェに戻ってくる日の夜は、Vespa Club Firenzeのメンバーと昨年に引き続き夕飯を共にするという計画でした。
◎今回の計画
1日目
ホテルに大きな荷物を預け、一泊分の荷物を持ってフィレンツェ中心部にてレンタル開始→ヴィラ・レ・ブラーケ→ポンテデーラ(Museo付近の宿にチェックイン)→ピサの斜塔→(それでも時間が余っていれば海まで出て夕日を楽しむ)→Vespa club Valderaのメンバーと夕飯→宿に戻る
2日目
宿のチェックアウト→ポンテデーラの工場脇、病院との間に立ち並ぶカフェで朝ごはん→Museoの見学→サン・ジミニャーノ(San Gimignano)を通過→フィレンツェ市内に戻る→ホテルのチェックイン→(時間があればフィレンツェ市内の散策)→Vespa Club Firenzeのメンバーと夕飯→ホテルに戻る
3日目
朝一で借りていたバイクの返却
さて、ここまでが土田さんによるものです。Q&Aから予定コースの説明という流れでしたが、いかがでしたか? 海外でのレンタルも、こうしてみるとそれほど難しい事ではないのかなって思えてきますよね。もしも機会があるなら、自分でもやってみようと思えてきました。
次回はいよいよイタリアの田舎道をタンデムで走るレポートとなりそうです。どうぞご期待ください!
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