BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2021.03.15 / Vol.80

    ワールドワイドにベスパでRUN #25 東京にようこそ

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寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
ベスパを軸に海外を旅してネットワークを世界に広げているイメージがある土田さんですが、外に出て行くばかりではなく、日本を訪れるベスパ乗りとも積極的な交流を持っているんだとか。今回はそんな海外からの来訪者をエスコートした際のお話です!

ツアー等では観る事が出来ない日本を堪能してもらいたい

日本のアニメや漫画は世界中にファンも多く注目もされているので、亀戸駅前のキャラクター銅像は格好の記念撮影スポットなんだとか

冒頭で触れているように、土田さんと言えば海外旅のイメージがありますよね? でも、土田さんにしてみれば自身が海外で受けるサポートと同様に、日本を旅するベスパ乗りの事もサポートしてあげたいと考えているんだそうです。そんな土田さんにコンタクトを取ってきた台湾からの来訪者がTaiさん。
 今回は、そんなTaiさんの希望と土田さんの思いを上手にミックスしたエスコートっぷりをご紹介します!(以下は土田さんによるレポートになります)
※記事中の情報や写真は2015年当時のものとなりますのでご注意下さい

  私はベスパを通じて海外の方と知り合い、現地へ出向きツーリングをしたり、ホームステイ等によって同じ時間を過ごす事でバイク以外にもその国の様子や文化、その人の生活を感じる事が出来、とても濃い時間を送る機会を与えていただいています。
  逆のパターンもあって、ベスパで繋がった海外の方が東京を訪れた際は、ツアーや自分達だけではとても巡り切れないような日本を観てもらおうと思っています。

  さて2015年7月の事、台湾南部の高雄(カオシュン)よりベスパに乗る方が東京に遊びに来ました。その方は前年に訪れた九州旅行でベスパクラブ大分のメンバーに各所を案内してもらった際、「次はファッショナブルな東京を訪れてみたい」と思ったそうです。それで東京に住む私のところにコンタクトがあった次第です。
  この時に訪れたのは英語教師のTai(タイ)さんと言う方で、大変面白いキャラの持ち主でした。Taiさんがベスパに乗るきっかけとなったのは、小さいころに父親がそのデザインの良さで購入したベスパが家にあった事。そのベスパに感化され「いつか自分でも買える時が来たら手に入れたい」と思っていたらしく、後に念願叶って所有出来るようになったそうです。

  ところでTaiさんは温泉が好きで、色々な所を観るのもとても好きなんだとか。それもあって前年の九州旅行に引き続き「温泉に入って景色の綺麗なところを訪れたい、それと下町に行って浴衣を着て写真を撮り歩きたい」といったリクエストがありました。そこでツーリングを絡めつつ、都内でも行動のしやすいスクーターで移動しながらTaiさんのリクエストにお応えしようというプランになりました。
  しかし梅雨が明けた後の日本の7月は猛暑が襲ってきます。それに台湾からの移動疲れと慣れない道路事情を考慮し、地方へ出るツーリングの際はバイクとクルマを半々で利用する計画としました。2日間行程という事もあり、初日は「温泉と景色の良さ」をキーワードに富士山の麓である山中湖を目指します。

  滞在先のホテルから立寄り予定の知人宅まではバイク移動。なんとも無い道程ですが、Taiさんにとっては初めての東京の道路。印象を聞くと「台湾とは違って日本は本当にスクーターが少なく、道路の渋滞も気にならないほど」との事。確かに私が経験した台湾を思い出してみると、クルマとスクーターが道路の隙間という隙間に詰まっている感覚ですり抜けも何もありません。
  また、台湾の歩道にはとにかく駐車されたスクーターが溢れている印象です。それを考えると日本の道路事情は駐車されているバイクもクルマも少なく、街並みが綺麗に見え、どのスクーター&クルマも信号を守り譲り合う姿がとてもマナー良く目に映った事でしょう。

山中湖を目指すこの日は非常に暑くなってしまいましたが、天気がとても良かったせいで、最高のツーリング日和となりました

  途中でクルマに乗り換え、計画通りに山中湖へ。この地域の名物でもあるほうとうをお昼ご飯にいただき、山中湖半を散策。台風の後という事もあり、周辺には厚い雲が多くありました。晴れる事を祈りつつ、富士山レーダードーム館に到着。ここは富士山の山頂に設置されていた気象観測施設のドーム部分がそのまま移設されていて、館内で気温-5℃/風速13mという富士山山頂の気候を体験する事も出来ます。
  そうです、目的はこの装置。台湾は亜熱帯気候なので極度の寒さは滅多になく、雄大でとても美しい富士山の山頂での寒さを体験してもらったのです。思った通りですが、強風の中吹き付ける冷気。装置が動き出して早々、寒さのあまり扉を開けて出て行ってしまいそうな勢いでした。  この施設は富士山を見る事の出来るスポットの一つでもあります。館内を一通り見終わったところで、ちょうど雲の切れ間から富士山の上のほうまで見る事が出来ました。  Taiさんも間近で見たその大きさにはとても感動を覚えたようです。ちなみに海外の方が夏季に日本を訪れ、そのタイミングで富士山を見ると山頂付近に雪が無い事に驚きを覚えるそうです。

忍野八海にてベスパクラブのメンバーとバナーを添えての記念写真。ちなみに喋り口調の違いで、台湾の方と中国の方は区別出来ます

  2日目は初日の疲れを考慮し、少々遅めのスタートです。滞在先のホテルへ迎えに行き、まず向かったのが亀有駅。日本に住んでいると亀有駅自体なんとも無いのですが、旅行客にとっては観光スポットの一つです。  実は亀有駅周辺には、皆さんお馴染みの漫画のキャラクターが像になって設置されているのです。台湾でも日本の漫画やアニメは大変人気で、鎌倉高校駅前等、モデルとなっている場所が分かっている所は訪れる方が大変多いそうです。
    この日もTaiさんと私で像の前で写真を撮ってもらおうと近くにいる方にお願いしたところ、その方も台湾からの旅行客でやはりこの像を見に来ていたとの事でした。

  そうこうしていると、遅めのスタートだったこせいでそろそろお昼ご飯の時間です。なかなか間近に見る事は少ないと思われる相撲の土俵ですが、その土俵近くでお昼を食べる事が出来るのが両国駅に隣接する居酒屋なのです。
    スケジュールが重なればイベントの行われる場所ですが、普段は一般の方が土俵に上がる事も出来る場所となっています。Taiさんにも土俵に上がってもらって一緒に相撲をとる真似事をしましたが、そこは食事をする場所の真ん中だけに他のお客さんの視線も多く、お互いに少しばかり恥ずかしかったです(笑)。

  食事も終えたところで、次は浅草へと向かいます。午後からは本人が強く希望していた浴衣を着る事に。ただ当初は着物を希望していましたが、時期が時期だけにとても暑くて浴衣に変更となりました。  この界隈の浴衣レンタル店は外国人利用者も多いらしく、今回借りたお店のホームページも外国人向けに英語が主体となっていました。実際お店には英語や中国語が出来る店員さんが待機していて、そのやり取りのスムーズさには大変助かりました。
    お店で荷物を預かってもらい、17時まで3000円。とても気軽に利用できるようになっているんだと、新しい発見がありました。浴衣に着替え終えたら、浅草寺へと通じる仲見世が並ぶ通りを散策です。  Taiさんは浴衣を着ると、スカイツリーをバックに、雷門をバックに、浅草寺をバックに、駐車されているベスパをバックに、浴衣を着た日本の女性人にお願いして一緒に......と、思い思いの記念写真を撮って東京を楽しんでいました。

  夕飯の前に買い物もしました。日本にある普通のスーパーでTaiさんはお米を購入。いくつかある銘柄のうち「どの銘柄が美味しいか?」と尋ねられ、「コレが一番かな? それでコレが二番目かな??」等と話しながら銘柄を決めていました。
    もちろん台湾にもお米はありますが、日本のお米はやはり美味しいとの事。その中でも選りすぐりをチョイスしたわけですから、より美味しいご飯を帰国しても頂くことが出来たと想像します。  お米を炊く上では水も重要。台湾の水は日本のようにそのまま飲む事すら出来ず、小さい子に教えるうたい文句として「怪我をした時は傷口は水で洗ってはいけません」と言うくらい。台湾では水を一回沸かしてから口にするようで、今回購入したお米も一回沸かしたお水かミネラルウォーターで炊くようです。

  夕飯は東京名物もんじゃ焼きです。お好み焼きは食べた事があるようですが、もんじゃ焼きは初めてのようです。店員さんに焼き方を教えてもらいながら、最後は良い感じで漕げたところをコテで剥がして食べるスタイル。この初めての食べ方には興奮を隠せない様子で、「美味しい美味しい」と食べていました。

今回はここまで!

 

  今回の「東京にようこそ」はいかがでしたか? 土田さんなりの思いや考え方が示され、その考えに基づいた行動によりネットワークが広がっている事を実感出来たように思います。
  ちなみに土田さんによると「私自身、海外では現地の方の協力もあり、その土地の交通事情の中でベスパに乗ってツーリングを楽しむ事が出来ています。また、非日常と言える海外旅行でも現地の方の案内によりバイクだけでなく、その土地の空気や文化、人間性等を直に感じる事が出来るので抱くイメージも変わったりしてきます。同じように、ベスパを通して日本を訪れた彼らも同じような気持ちになってくれると思っています。それはお互いに自分の国の良いところも悪いところも、テレビやインターネット、それにツアーだけではなく、もっと近いところで感じる事が出来る機会ならではなんじゃないでしょうか。最後にTaiさんから「Finally, thank you for treating me the 2 days, カズヒロさん、ユキちゃん、アリマさん!」とのメッセージをいただきました」との事。

   どうやら土田さんの「ツアー等では観る事が出来ない日本を堪能してもらいたい」という思いや考えは伝わっていて、しっかりと感謝されている事もわかります。こうした繋がりがネットワークをさらに深く強いものにしている要因なのでしょう。
   さて、次回はどんな旅の話で私達を楽しませてくれるのか? どうぞ新たな旅レポをお楽しみに!

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