BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
早いものでAVD2017レポートは3回目となりますが、ディープな内容でまだまだ続きますから目を離さないでくださいね。それで今回ですがジャカルタのバイク事情をチェックしたり、現地の鉄道を体験したりと濃い目にお届けです!
2017年9月13日、ジャカルタ市街へ繰り出してみる
※編集部注:土田さんはBajajを現地の発音に忠実な「バジャイ」としていますが、日本国内で一般的なカナ表記は「バジャジ」となります
〜アジア地域最大のベスパミーティング〜
~アジア地域最大のベスパミーティング~
イベント名:ASIA VESPA DAYS 2017
場所:ジョグジャカルタ(Yogyakarta)・プランバナン寺院群(Prambanan Temple)
開催期間:2017年9月15日~16日
渡航期間:2017年9月11日~17日
前回のインドネシアに於けるトイレ事情や水事情は、実に衝撃的でしたよね。特に水事情については信じられないくらいだったのではないでしょうか。日本に暮らしていて、蛇口から出る水が飲めないなんて恐らく皆無でしょう。本当にびっくりでした。
さて今回は現地2日目のレポートとなりますが、土田さんはジャカルタ市街のバイク事情をたっぷりと届けてくれました。そればかりか、話題は現地の電車事情(?)にまで踏み込んでいくみたいです。......という事でAVD2017レポート、早速スタートです!(以下は土田さんから頂いたレポートになります)※記事中の情報や写真は2017年当時のものとなりますのでご注意下さい
◎明け方にスピーカーから大音量で流れるコーランでの目覚め
ジャカルタに滞在中は、マルズキさんの友人宅にホームステイさせてもらう事になりました。インドネシアという慣れない環境、それに何より今後も不安になりそうなインドネシアの水回り事情。そして日本からの長時間移動に伴う疲れも重なり、用意された質素な部屋で横になるなり直ぐに寝付いてしまいました。
エアコンはなく、だけど窓から入ってくる風はとても心地良い......そう思ったのも束の間。この部屋の窓には網戸というものが無く、深夜に蚊の襲来に遭いました。こんなに蚊がいるのになぜ窓に網戸が無いのかと疑問に思いながらも、寝ぼけながら刺された箇所に痒み止めを塗り、防寒のために持参した長袖長ズボンで肌の露出部分を全て覆いました。
明け方になって漸く深い眠りについた頃、ちょうどそのタイミングで窓の外からは大音量でモスク(礼拝所)のスピーカーから流れ出るアザーン(礼拝のための集合の呼びかけ)が。そして始まったコーラン(イスラム教の聖典)で、飛び起きるように起こされました。
渡航前、友人達からモスクのスピーカーから発せられる音で起こされてしまうという事を散々聞かされていました。なので「ホテルはモスクから離れていた方が良い」とも聞いていました。
ところが今回の旅ではご厚意でホームステイさせてもらう事になったので、立地の選択は出来ません。しかも蚊の襲撃からひと段落して、深い眠りに入ったところで起こされるとは思いもしませんでした。これもイスラム教圏のインドネシアならではでしょう(恐らく......)。
◎ジャカルタを駆け抜ける鉄道
明けて2日目。本日はジャカルタの市街地にあるバイク街として名高い「バイクストリート」を案内してもらいます。
「それでは、いざジャカルタ中心部へ!」と言いたいところですが、ホームステイ先からジャカルタ市街地までは少し距離があります。この距離を全てバイクで移動すると日中の強い日差しに体力を奪われ、なおかつ渋滞に捕まれば移動にとても時間がかかってしまいます。
ジャカルタの渋滞は世界屈指とまで言われる程で、酷い時には二輪車でも自動車やその他の二輪車の間を抜ける事が困難な状況になります。そういう土地柄でもあるため最寄り駅までバイクで移動し、そこからジャカルタ中心部まで電車で向かうという事になりました。
ところでインドネシアに来たら、是非とも確かめてみたい事がありました。そうした楽しみの一つが「日本で活躍していた電車やバス等を目撃出来るか?」で、特に気になっていたのが「行先表示等が今もそのまま日本語だったりするのか?」でした。
これは日本での役目を終えた電車やバスが海外で再び活躍している様子を紹介する類の企画をテレビやインターネット等で目にした際、車内に掲示されている行先表示等が日本の地名のままで海外を走っている様子が取り上げられていたんです。なので、その様子を自分の目で実際に見てみたかったというのが大きな理由です。
しかし御役御免となって払い下げられ、その上更に遠くインドネシアへとやって来た電車やバスなんですよね。なので「地方ならまだしもこの時代の首都ジャカルタを走っているのか?」、「走っているにしても駅のホームや線路脇でいつ来るのか分からない列車をひたすら待たないと出会えないのでは?」というような不安(?)を出発前に想像していましたし、そんな場面に出会えるとしたらそれは凄くラッキーな事だろうと思っていました。
それが今回、なんとバイク街へ行くのに電車で移動するとの事。当然「これはチャンス!
日本で活躍していた車両に出会えるチャンスかもしれない!!」と、ワクワクしながらホームでジャカルタ行きの電車を待ちました。
実は失礼かなと思いつつも、イメージしていたインドネシアは「表示されている時間に電車がやって来る事などないルーズな土地なのか?」でした。ところがやって来た電車は時間通りな上、車体のカラーリングとフロントガラスに鉄柵が追加されている事を除けば日本で走っていたそのままの姿で目の前にやって来ました。
私は電車には詳しくないので、見ただけで具体的にいつ頃どこを走っていたのか等は分かる筈もありません。しかしSNSメッセージを利用し、その場ですぐに日本の電車好きの知り合いに写真を送ったところ、現在も東京を走っている形なんだという事が分かりました。
また「だいぶくたびれた車体に日本語の行先表示がそのまま残っているのかな?」と事前に想像していたのですが、これは見事に裏切られ(?)て写真写りも良いくらい綺麗な車体だったのと、イマドキはLEDで行先が表示されるので方向幕だけがそのまま残され日本語については取り払われてしまったようです。
そして私達の向かう方向の電車がやって来たところで乗車します。車内はどんな空間が広がっているのかワクワクします。するとインドネシア語のアナウンスと共にドアが閉まり発進です。
車内......そこは異世界を感じる空間なのかと思えば、決してそんな事はありません。清潔感があり、人々の会話も少なく静かなもの。加えて車窓から見えるスピード感、線路を走る事で感じる揺れや音、それ等全てが日本で電車に乗る感じと何も変わりません。もっと揺れや騒音等があるのかと思えば、窓は閉まりエアコンも効いていて快適な移動でした。
ただ視界に入る路線図や注意書き、それに非常時の指示等はインドネシアの言語に変えられていたため、期待していた日本の名残についてはあまり感じる事が出来ませんでした。それでも車両の端に設けられた優先席付近の黄色いつり革、その吊革に示された「通信機器利用に対する注意書き」が唯一日本での名残として感じられました。
◎バイク街に到着
日本にもかつて賑やかなバイク街があったように、用品や部品等のお店が一つのエリアに集まったバイク街がジャカルタにもあります。ちょうどジャカルタ駅から3キロ程にある、クボン・ジェルク3(Jl.
Kebon Jeruk III)という通りを中心としたエリアにバイク用品店が広がっています。
まず初めに歩いてみた感想から。大通りに面した通りには自動車のショールームも立ち並んでいますが、この通りは自動車がすれ違える程の道幅の両側に商店が並んでいました。そのような商店の他に、在庫を多く揃えて問屋的な役割をしているところも多いという印象でした。
そして目に止まったのは、幹線道路から入ってすぐのアクセサリー等が売られている用品店。清潔感があって天井も高いお店です。店先には日本でもお馴染みのヤマハ製スクーターがカスタムアップされ展示されていました。
雑誌やイベントであれば見る事の出来るカスタム方法かも知れませんが、普段日本の街中で見られる雰囲気とは違ってとても興味深かったです。それとインドネシアでは横長のナンバープレートが車体前後に取り付けられるため、特にフロント側の取付位置と取付方法がポイントの一つらしいです。何よりカッコ良く付ける方法が工夫のポイントのようでした。
その他、店内のカウンターを兼ねたガラスケースにはアルミ削り出しで作られたレバー回りやフットペダル回り等が多く並べられていて、店の外からでも視線が止まるくらい気になる存在感でした。そして天井が高い店内にはカウンターの上側にもホイールやマフラー等、様々な車種と種類に対応した色とりどりの部品が圧迫感なく吊り下げられているのが印象的でした。
この様なお店は比較的最近の乗り物を得意としているお店だと思われますが、中には昔からやられているお店、またはタイヤやリム等を専門にしているお店も見受けられました。タイヤやリムを専門にしている店先で見た光景はコンプレッサーが店内ではなく、依頼があればすぐに取り掛かれるように人や車両が行き交う通りに置かれていました。
同様にリムの調整器具も通りに置かれています。地面には外されたスポークが散らばり、新しいスポークで仮組されたリムがそこに固定されていました。そんな通り沿いにある他のお店にも目をやると、サンダル姿でスポークを張り直している様子、外からでも分かるくらい大量のシートが店内の天井からぶら下がっている様子が伺えます。更に新品時のフィルムに包まれたタイヤが山積みにされている光景も目にする等、アジアの裏通り・バイクストリートらしい風景を見る事が出来ました。
お店によっては埃を被って見難くなったガラスケースに沢山の部品が並べられていたり、天井付近の空間まで無駄なく部品がぶら下げられたりしているので、何か目的を持って探しに行く人であれば宝探しの様な時間になるだろうと感じました。
いっぽう街で見るバイクはそのままの状態を維持しているか、使い込まれた様子が見受けられるのに対して、このエリアを走っているバイクは少し違っている様に感じます。それはバイク好きや関係者が集まるためか、そのカスタムアップされたセンスに目を惹かれるところが多くあったのです。
スクーターならカウル部分にラッピング的なステッカーによる模様が入れられていたり、カラーリングが変更されたパーツ毎に塗り分けられていたりといったもの等です。中にはメッキパーツで各所アクセントを付けていたりするバイクもありました。身なりや服装、それにヘルメットも街中で見かける様子とは違っています。安全を意識し、バイクに乗るのに適したヘルメットを被っている人もいるのが印象的です。
今回はここまで!
さて、AVD2017レポートの第3弾は滞在2日目の目覚めから電車移動でバイク街に到着しての感想というものでした。いかがでしたか?
厳密には2日目の朝を迎えるまでの戦い(?)もあったという事で、なかなかパンチの効いた旅のエピソードが初日以来続いてますよね。一体、この先どうなっていくのでしょう?
次回はベスパの事にも触れながら、まだまだバイク街のレポートが続くようです。ぜひまたハードな展開を期待したいところですよね~(笑)。皆さんもどうぞお楽しみに!
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