BBB MAGAZINE

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    2021.07.13 / Vol.84

    スモールで遊ぶ #21 VespaGP-2021シーズンRound1

CREDIT

取材協力:VespaGP事務局
既に公式ホームページ等で発表となっていますが、全5戦の日程で組まれた2021シーズン。まだまだコロナは収束の兆しを見せていない中、去る4月18日にはVespaGPが無事に開幕した模様です。今回は2021シーズンの第1戦について、写真多めでお届けしていこうと思います!

ベスパ好きの皆さん、2021年シーズンがいよいよ始動です!

エントリーマシンがレッドカーペット上に勢揃いするのは開催毎に見慣れた光景の一つ。ギャラリーや他レースのエントラントが記念撮影したりするのもVespaGPならではでしょう

VespaGP-2021シーズン第1戦(開幕戦)
日時:2021年4月18日
場所:茂原ツインサーキット・WEST COURSE
天候:晴れ
路面:ドライ
レース形式:スプリント
主催:VespaGP事務局(https://www.vespagp.com/
VespaGP以外のレース参加者とも合同で、広いコース上で感染対策に気を使いながら行われたブリーフィングの様子です

  冒頭で触れたように、VespaGPの2021シーズンは既に開幕しています。今回は茂原ツインサーキット・WEST COURSEで行われた第1戦の模様をお届けします。
  開催当日となった4月18日(日)は前々日まで雨予報でしたが、参加者達の想いが通じたのか強風ながら天候は快晴。シーズンを占う開幕戦としては、まずまずの舞台が整ったと言えそうです。
  まずはその開幕戦の舞台となった茂原ツインサーキット・WEST COURSEについて、簡単ながら紹介しておきましょう。茂原ツインサーキットは千葉県茂原市にあり、大小2つのコースを有するモータースポーツ施設となっています。
  主に四輪走行に対応するEAST COURSEは、1周が1170mのロングコース。対してショートコースとなるWEST COURSEは1周が700mながら、テクニカルなコースレイアウトを採用。VespaGP第1戦は、このテクニカルなショートコースであるWEST COURSEを舞台に開催されました。
  そしてこの日は茂原ツインサーキットの主催で行われる「MOBARA WEST CART CUP」の当日でもあり、VespaGPとの併催というかっこうです。

  さて、まずは練習走行でコースイン。ライダーにとって大事なのは、タイムトライアルで良いタイムを出す事です。そのためにマシンやモチベーション等を、いかに最良の状態へと整えていけるかが重要だったりします。なので、練習走行枠をどの様に使うかはライダー各々で異なります。
  早い段階から攻めの走りに転じる者、流すようなペースでマシンと身体を慣らしていく者等、10分という限られた時間の使い方は本当に様々。そういう意味でこの段階でのタイムは各ライダーの調子を判断する材料とは成り得ないワケですが、それでも一発目の練習走行枠で誰が好調なのかというバロメーターにはなるでしょう。ただし各ライダーが本気モードに変わった瞬間、番狂せが起きる可能性を孕んでいる事も事実ではありますね。
  そんな一発目の練習走行で好タイムを叩き出してきたのはMaster-Classの♯20尾西選手。そのタイムは41"842と、唯一人41秒台をマーク。これに同じくMaster-Classの♯23宮地選手/42"638と続き、3番手タイムはGP-ClassでありながらMaster-Classに割って入ってきた♯55三浦選手/42"680。ちなみに4番手、Master-Classの♯5菊地選手/42"697までが42秒台。

  続いては公式練習となるので、ここで各自がタイムトライアルに向けて大きくタイムアップしてくるのは必至。それだけにこの日のレースでライバルとなるのが誰なのか、目標とすべきライダーが誰なのか......そんなところも確認すべくコースイン。
  この走行枠でもトップタイムは♯20尾西選手/40"902。やはり確実にタイムアップしてきました。これに続くタイムをマークしてきたのが、GP-Classの♯28佐藤選手/41"913。更に♯5菊地選手/42"054、♯23宮地選手/42"325、GP-Classの♯12中村選手/42"473、♯55三浦選手/42"495等が42秒台で犇めき合うという状況。なかなか見応えのある予選と決勝が期待出来そうです。
  そうした中、いよいよタイムトライアルがスタート。10分間で多い者は14周、少ない者でも12周のタイムアタックを敢行。その結果、トップタイムをマークしたのは♯20尾西選手/41"079。これに♯23宮地選手/41"304、♯5菊地選手/41"385が追随。トップ3はMaster-Classの面々がしっかりと奪取。さすがです。
  以下、GP-Classの8名が予選結果に並びます。♯55三浦選手/41"872、♯28佐藤選手/42"254、♯12中村選手/42"285、♯61松本選手/43"446、♯44小林選手/43"452、♯1藤井選手/44"172、♯22柳本選手/45"712、♯33尾崎選手/46"369という順およびタイムでタイムトライアルを終えました。

決勝ラウンドが始まります!

次なるステージは決勝ラウンドですが、ちょっと面白い情報を公開しておきましょう。参加マシンはほとんど50ccモデルがベースとなっていますが、レギュレーションによりボアアップが許されています。参加クラスによって上限となる排気量が決められているのですが、ボアアップによって変化するエンジン特性やライダーの好み等によって、必ずしも上限いっぱいの排気量が選ばれているワケではないようです。
  例えば今回の参加マシンで見る限り、GP-Classでは112ccが2台で102ccが6台。Master-Classに目を移すと、75ccが1台で残りの2台は102ccとの事。こうした排気量の違いによる特性の違い等にもいずれ触れてみたいと思います。ちなみに♯5菊地選手が75ccを選択しているのですが、これは来期のレギュレーション変更を視野に入れてのものなんだとか。

後方から見た決勝グリッド。前のGP-Class×8台が先にスタートし、その10秒経過後に最後列のMASTER-Class×3台がスタートします
GP-Classのスタート......正にその瞬間。誰もがトップチェッカーを狙い、まずはアクセル全開で1コーナー目掛けて綺麗にスタートです
スタート後の1コーナーは♯1藤井選手を先頭に、♯22柳本選手、♯12中村選手、♯44小林選手、♯28佐藤選手等が喰らいついて行きます
その後方には♯55三浦選手、♯61松本選手、♯33尾崎選手。チェッカーまで15周という長丁場なので、誰にでもチャンスはあると言えます
この時点ではまだMASTER-Classの3選手がグリッド位置から1ミリも動いていません......が、間も無くスタートフラッグが振られるようです

  それでは15周で競われる、決勝ラウンドをレポートしていきましょう。まずは前側、フロントローから8台のGP-Classがスタート。真っ先に1コーナーへと飛び込んだのは、♯1藤井選手。これに♯22柳本選手、♯12中村選手、♯44小林選手と続きます。そしてその後には♯28佐藤選手、♯55三浦選手、♯61松本選手、♯33尾崎選手という布陣。
  このGP-Classがスタートした10秒後、MASTER-Classの3名も綺麗にスタート。♯20尾西選手、♯23宮地選手、♯5菊地選手の順で、トップチェッカーを目指したGP-Classへの猛追劇が幕開けです。

スタート直後から激しい追走劇でギャラリーを沸かせる♯20尾西選手。頭からコーナーへ向かっていくような迫力のライディングが特徴です
MASTER-Classのライダーは百戦錬磨のエキスパート揃い。豪快さで魅せる♯23宮地選手、お手本のようなシュアライドの♯5菊地選手と続きます
♯61松本選手とその前を走る♯55三浦選手(写真には写っていません)が、後方ポジションから徐々に抜け出し、上位目指して動き出した模様です
追い上げてきた後続グループを交え、2位争いがヒートアップ。♯55三浦選手が、♯22柳本選手と♯12中村選手の間に割って入ろうとしています
その後方で隙を逃すまいと、虎視眈々と前方の様子を伺っているのは、やはり後続からジャンプアップして来た♯61松本選手と♯44小林選手
どこで♯55三浦選手が♯22柳本選手に仕掛けるのか、そのタイミングを逃すまいと、付かず離れずのポジションをキープする♯12中村選手
ついに♯55三浦選手が♯22柳本選手を交わして単独2位に。更にトップを死守する♯1藤井選手をロックオンしてスパートをかけていきます
♯55三浦選手が抜け出した事で、♯22柳本選手から♯28佐藤選手まで全く気を抜けない距離感を保ち、3位争いからは目を離せない状況
いっぽう♯1藤井選手を猛追していた♯55三浦選手が、その背中を視界に捉え、じわじわと差を詰めながら良いポジションに付けてきました
そして♯1藤井選手をロックオンした♯55三浦選手が、ここぞとばかりに渾身のスパートでオーバーテイク。ついに単独首位をもぎ取りました
ちょうどその頃、3位集団を抜け出して2番手となった♯1藤井選手を追いかけ始める♯28佐藤選手。そしてこれについて行く♯44小林選手
レース中盤、ついに♯28佐藤選手が♯44小林選手をたずさえたまま♯1藤井選手をロックオン。そのまま仕掛けてオーバーテイクした......
♯28佐藤選手が♯1藤井選手をパスし、続けざまに♯44小林選手も♯1藤井選手をパス。すると突然♯28佐藤選手がスリップダウンして転倒!
最後尾から追い上げて来た♯23宮地選手と♯20尾西選手がこのタイミングで♯12中村選手をロックオン。すぐ後方には♯5菊地選手も

  いっぽう、先行するGP-Classは序盤から2番手争いが激化。後続の集団を抜け出した♯55三浦選手、♯61松本選手、♯44小林選手等も迫って来ました。
  するとこの2番手争いから♯55三浦選手が抜け出し、1位をロックオンすべく追い上げて行きます。......が、そうなると俄然3番手争いも激しさを増していくというもの。♯12中村選手と♯44小林選手がバトルを繰り広げる最中、ついに♯55三浦選手が♯1藤井選手をオーバーテイク。当然ながら、♯55三浦選手は逃げの体勢へと移行。こうなると誰が♯55三浦選手を追い落とすのかに注目が集まります。
  そんな中、序盤では様子を見ていた♯28佐藤選手が中盤に差し掛かかったところでスパートを開始。そして勢いに乗ったまま♯1藤井選手をパスして2番手に浮上。
  かと思いきや、その後方で様子を伺っていた♯44小林選手も♯1藤井選手をプッシュ。するとどうした事か、リヤタイヤのスリップダウンにて♯28佐藤選手がまさかの転倒!
  すぐさまコースに復帰したものの、順位を大きく落としてしまうという痛恨のアクシデント。ただ、これを他のライダーは見逃しません。2位争いはここから更に熾烈なものとなっていきます。

♯23宮地選手はそのまま♯22柳本選手の隙を伺い、♯12中村選手には代わって♯20尾西選手が襲いかかります。正に息つく暇もありません
MASTER-そうした中、♯1藤井選手の背後でチャンスを伺っていた♯44小林選手がここで動きます。♯1藤井選手の一瞬の隙をついてインに入り込み......
コーナーへのアプローチを開始していた♯1藤井選手にしてみると、突然♯44小林選手によって進路を阻まれたような格好となって堪らず転倒
♯1藤井選手の後方だったMASTER-Classの♯23宮地選手ですが、いきなり目の前を塞ぐかっこうとなった♯1藤井選手のマシンと接触です
排気量ハンデを抱えつつ挑む♯5菊地選手は、この千載一遇のチャンスで一気にジャンプアップ。♯12中村選手がこれに食い下がります

  ここで後方にも目を向けると、MASTER-Classのエキスパートライダー×3名が♯12中村選手をロックオン!
  なんとスタート時に課せられた10秒の遅れを巻き返し、ぐいぐいと、更なる上位すら狙えるポジションまでジャンプアップしてきています。この段階で2位をキープするのは♯1藤井選手。その後方から♯44小林選手が頻りにアプローチを続け、いよいよ3コーナーでインを取りに行きます。その事に気付かず倒し込み始めた♯1藤井選手でしたが、インを塞がれているのに慌てたのか転倒です。
  しかも運が悪い事にMASTER-Classの♯23宮地選手がこれに絡んで接触転倒(?)してしまい、同じくMASTER-Classの♯5菊地選手が変わって浮上。ところが♯5菊地選手も、突然バランスを崩してコースアウトからの転倒!  どうやら膝のスライダーがゼブラゾーンの割れ目に引っ掛かってしまい、荷重を掛けていた右足が外れてしまった模様。

しかし♯5菊地選手は突如バランスを崩してコースアウトし、そのまま転倒。当然、後続ライダーはここぞとばかりにアクセルを開けます
レースは終盤へと差し掛かり、余程の事でもない限り上位の順位変動はなさそうです。トップ奪取後は安定した走りを見せる♯55三浦選手
最後尾からの快進撃で、オーバーオール2位まで順位を上げてきた♯20尾西選手。もちろん最後まで追撃の手を緩める事はないでしょう
背後につける♯20尾西選手のプレッシャーに耐えながらアグレッシブに攻め、トップ独走を続けた♯55三浦選手がチェッカーを目指します!
最終コーナーを綺麗に立ち上がって......見事にトップでチェッカーを受ける♯55三浦選手! ついに念願だった表彰台をもぎ取りました!!

   レース中盤で発生した怒涛の転倒劇も収束し、そろそろ終盤へと差し掛かっていきます。GP-Class2位をキープするのは♯44小林選手。これを追う♯12中村選手ですが、その後方から♯23宮地選手がプッシュという構図。
  そんな折り、GP-Classでトップ独走状態だった♯55三浦選手が安定した走りで見事トップチェッカー!  オーバーオールでの勝利を手にしました!!
  チームメイトでもあり、MASTER-Classの1位をキープしつつ♯55三浦選手を追い続けた♯20尾西選手でしたが、今一歩届かずオーバーオール2番手でゴール。そのまま順次、全てのライダーがチェッカーを受けてVespaGP第1戦は無事に終了しました。

GP-Classトップの♯55三浦選手とMASTER-Classトップの♯20尾西選手がウイニングランで並び、お互いの健闘を称え合います
オーバーオールでトップとなり、GP-Classのウイナーとなった♯55三浦選手。手渡されたチェッカーフラッグを片手にウイニングラン

RESULT

GP-Class決勝結果

左から順に)
2位:佐藤(剛)選手、1位:川島選手、3位:三浦選手、4位:松本選手、5位:小林選手、6位:佐藤(充)選手

順位 選手名 チーム名 ベストタイム
1 No.55 三浦拓郎 茅ヶ崎ボングー 41"848
2 No.44 小林匠 短パンガレージ 42"849
3 No.12 中村賢司 お酒のNAKAMURA 42"491
4 No.61 松本諭 茅ヶ崎ボングー 42"787
5 No.28 佐藤剛 QUARTER DRAGON 42"579
6 No.22 柳本卓也 BUSINESS-ART 45"323
7 No.33 尾崎雅夫 Vespa Club Kanagawa RT 46"319
8 No.1 藤井公人 malossi Familia 44"660

MASTER-Class決勝結果

左から順に)
3位:菊地選手、1位:尾西選手、2位:宮地選手。なお今シーズンのMASTER-Classですが、参加ライダーが少ない事からシリーズ戦ではなくなったそうです

順位 選手名 チーム名 ベストタイム
1 No.20 尾西洋一 茅ヶ崎ボングー 40"817
2 No.23 宮地貴之 BUSINESS-ART 41"155
3 No.5 菊地信康 COMPLETELOOK 41"980

今回はここまで!

念願だった優勝をもぎ取り、思わずガッツポーズをキメる♯55三浦選手 第2戦以降の活躍も楽しみですね!

  今シーズンもコロナの脅威は収まってはいませんが、それでも事務局や参加者達の熱意によって開催を続けるVespaGP。全5戦で開催されていくとの事ですが、このまま感染者を出す事なく継続していってもらいたいものです。そしてコロナが収束したら、ぜひその際は開催地へ足を運んでいただき、直にベスパレースの迫力と面白さを味わってみて下さい!
  さて、実は6月20日(日)に第2戦が終了しているようです。なので、なるべく早い時期にそちらのレポートもお届けしたいと考えています。どうぞ、お楽しみに!!

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