BBB MAGAZINE
CREDIT
-
- ライター
- 執筆
隅本辰哉
-
- 撮影
土田和寛
-
- バイク
Vespa
寄稿者:Vespa Club TOKYO・土田和寛 代表
第4回目となるAVD2017レポートですが、前回に到着したジャカルタ市街地の話題がまだまだ続いていくようです。それからバイクタクシーとガソリン事情といった、要注目の気になるトピックも用意されているとの事。それでは今回のレポート、早速チェックしていきましょう!
2017年9月13日、バイクストリートを散策
~アジア地域最大のベスパミーティング~
~アジア地域最大のベスパミーティング~
イベント名:ASIA VESPA DAYS 2017
場所:ジョグジャカルタ(Yogyakarta)
・プランバナン寺院群(Prambanan Temple)
開催期間:2017年9月15日~16日
渡航期間:2017年9月11日~17日
前回のレポートでは2日目の朝を迎えるまでの壮絶な戦い、楽しみにしていたという電車移動、そして念願だったジャカルタのバイク街にも触れたとても内容の濃いものを届けてくれた土田さん。特に、なかなか伝わってこないバイク街の詳細なレポートは実に興味深い内容だったのではないでしょうか?。
そして前回の予告で触れているように、今回もまだまだバイク街のレポートが続くようです。更にジャカルタのバイク事情、インドネシアのガソリン事情についても紹介してくれるみたいです。それでは土田さんによるAVD2017レポートの第4弾、いってみましょう!(以下は土田さんから頂いたレポートになります)※記事中の情報や写真は2017年当時のものとなりますのでご注意下さい
◎歴史ありそうなベスパショップをバイクストリートで発見!
バイクストリート(バイク街)はジャカルタ駅から3キロ程離れていて、クボン・ジェルク3(Jl. Kebon Jeruk
III)という通りを中心としたエリアに広がっています。そのバイクストリートで個人的に気になっていたのが、やはりベスパ関連のショップだったりします。
ショップを探す目印となるのは、遠くからでも「あ、あそこにベスパ屋がある!」と分かりやすく示してくれる看板でしょう。薄いグリーンをバックにした「Vespa」看板は現行ベスパを扱うショップであり、古い時代から営業している可能性もありますが、最新モデルを中心に扱うショップだといえます。
ベスパに関して言うと、もう一種類の看板が存在します。それはブルーをバックにした「Piaggio」看板で、古い時代から営業を続けている証しではありますが、最新モデルについての取り扱いはほぼ無いと思われるショップです。
さて、バイクストリートでは「Vespa」看板を掲げるショップを目にする事は出来ませんでしたが、「Piaggio」看板を掲げるショップは数軒見つける事が出来ました。看板の様子から何十年も前......インドネシアでベスパが作られていた頃からやっているような雰囲気があり、ショップと言うよりも商店の方がしっくりくる感じの佇まいです。そのうちの2軒は車両の修理や部品の小売りもしている雰囲気でしたが、興味だけではなかなか入り難い様子。
他の1軒は更に様子が違っていて、修理している雰囲気は無く、新品部品が山積みにされていました。なので恐らくですが、部品の卸や販売のみを行う問屋的な役割のショップなんでしょう。ちなみにこの界隈では車両販売をしているショップを見かける事は無く、本当に部品を中心とした問屋街という印象でした。
このベスパの部品を扱っている専門店はヨーロッパの部品を扱っているとか、ドレスアップやカスタムのためのパーツを扱っているというより、走るのに必要だったり、維持&修理に必要な部品等を中心に扱っている様子。バイクストリートへは「ASIA VESPA DAYS 2017」を目指すべく集結したメンバー達とやって来ているので、私の英語をインドネシア語に通訳してもらう事でどうにかショップでのやり取りも成立。しかも店主さんがとても気さくだったので、ショップ自体がとても良い雰囲気に感じられました。
ところでインドネシアではベスパが趣味として扱われているというよりも、この土地で生産されていたからこそ人々の意識に国民車的な感覚があるんだろうという気がします。それもあってなのでしょう。このショップでは日常の生活に必要な部品が売られている様子。見学させてもらったこのショップは入り口付近のスペースに段ボール等が無造作に山積みされていましたが、カウンターを兼ねたガラスケースは砂埃や手垢で汚れている事も無く、奥の小分けにされた部品を収納しておく棚もよく整理されているという印象でした。
何より最近はどこの土地・ショップ等を訪れても、ドイツ大手のパーツショップの製品やディーラーマークを目にするのですが、このショップをはじめ、訪れるところ訪れるところで_それらを目にする事はありませんでした。ちなみに今回ご一緒したインドネシアのベスパ乗り達の愛車を見ても、ドイツのショップのマークを見る事は無く、むしろ2000年ごろまでこの土地でベスパを生産していた"ダンモーター(Dan
motor)"の箱やパッケージを多く目にしました。このご時世にヨーロッパのお手軽で何でも揃う流行りものを目にしないという事が、ある意味で本当に新鮮な体験でした。
◎ジャカルタ市内で活躍するバイクタクシー
ジャカルタ中心部に出たところで、インドネシアのバイク事情をもう少しご紹介しておこうと思います。インドネシアは渋滞世界一とも言われるほど渋滞が激しい国。中心部には鉄道も通っていますが、そこから各方面へ細かく刻まれた時間で発着する鉄道やバスが少ない事からバイクや自動車を利用する人がとても多いのです。
なかでもより安価で、より柔軟に移動できる交通手段として重宝されているのはバイクです。インドネシアには以前よりオジェック(OGEK)と呼ばれるバイクタクシーのサービスがあり、客待ちしているところをよく見かけるのが駅前や市場の前等になります。出入り口から出て来た人達に、「乗るか? 乗るか?」と手を挙げながら声をかけている様子をよく見かけました。
インドネシアでもスマートフォンの普及率は高いので、アプリケーションを利用してバイクタクシーを呼べるというサービスもあります。いつどこであってもバイクタクシーを呼ぶ事が出来、乗車料金の交渉や必要以上の支払いが生じる事もないので、現地の人達の間では重宝されているようです。
そうしたサービスの中でも特に目にするのが、ゴジェック(GOJEK)という会社。車両はライダー個人のバイクなので車種はまちまちですが、ライダーはゴジェックのイメージカラーであるグリーンのジャケットを着用しています。
それと現在はインドネシアでもヘルメットの着用が義務化されているため、乗客もヘルメットを被る必要があります。当然ながら乗客が常に自分のヘルメットを持ち歩いているハズもないので、ライダーが用意したヘルメットを被る事に。しかし想像出来るように、そのヘルメットがどれだけの期間使われ続け、延べどれだけの人が被ったのかが全く分かりません。他人の被ったヘルメットを自分も被るというのは気持ち悪いので、乗客はライダーより食品工場で用いられるような頭に被る白いキャップを受け取り、GOJEKのロゴが入ったグリーンのヘルメットを被ります。
またGOJEKのライダーは支給品ではない私物のヘルメットを被っているため、結果的にライダー間の統一性があまり感じられません。ただ乗客を乗せた状態で前から見るとライダーがグリーンのジャケットを着ている事でゴジェックと分かり、後ろからは乗客がグリーンのヘルメットを被っているのでゴジェックだと分かります。バイクが統一のグリーンではない代わりに、この様なカタチで企業カラーをどの方向からでも識別出来る様にしているのが印象的でした。
◎インドネシアのガソリン給油事情
今回の最後に一つ触れておきたいのが、ワルンスタイルのガソリンスタンドについてです。ワルンについては前々回の記事中、マルズキさんのガレージを紹介する際に説明済みですが、ワルン(WARUNG)とはインドネシア語で小さな売店や食堂等という意味があって、東南アジアらしさの垣間見える簡易的な売店という様にイメージしてもらうのが良いと思います。
さて、バイクを走らせるのに必要な基本中の基本......それは燃料となるガソリンです。エンジンを動力とするバイクであれば、どこの国に行ってもガソリンがなければ走らせる事が難しくなります。それにガソリンは物価指標の一つでもあるため、その地域での金額も気になります。後は給油方法がセルフなのかフルサービスなのか、そんなところがガソリンに関して気になるポイントなのではないでしょうか。
ところがインドネシアで衝撃を受けたのは給油方法ももちろんなんですが、なんとガソリン販売の業態に関してだったのです。何に驚いたのかと言うと、まずはワルンスタイルだった事。奥にトタン屋根の住居があり、通り沿いの木陰に作られたガソリンスタンド......と言うより、ガソリン販売所とでも言うべきとても簡素なもの。
このワルンスタイルのガソリンスタンドは、表の幹線通りでは見る機会が少ないかも知れません。でも、裏通りでは結構見る事が出来る業態です。今回はたまたま裏通りでガス欠になってしまい、石油会社の看板も無いこちらのガソリンスタンドで早速給油をお願いしました。
するとガソリンが貯蔵タンクにではなく、1リッター程と思われるコーラの瓶に詰められていて、それがいくつも並べられ保管されているという状況だった事にも驚かされました。そして給油は部屋着姿のようなおばちゃんがコーラの瓶を棚から取り出してきて、手に持ったゴミ取り用の網付き漏斗を使ってコーラの瓶に保存されていたガソリンをタンクに流し込むというもの。言ってみれば普通にガソリンを入れるだけなのですが、給油している最中の光景は本当にカルチャーショックを受けました。
裏通りを中心に1瓶単位で売られているのは、やはりバイクが多い事と、バイクには少量で売る方が適しているからなのでしょう。これがちょっとした通りになると手動ポンプ式計量器を設置したガソリンスタンドもあるので、バイクはもちろんクルマの給油にも適当なのだろうと思えました。更に幹線通りでは日本で目にする様な高い屋根の大型ガソリンスタンドもあり、より多くのバイクやクルマ、背の高いトラックやバスだって受け入れる事が出来ます。まあ、ある意味で通りの大きさと走行する車両の種別に合わせ、ガソリンスタンド自体が規模と業態で棲み分けされたのだろうと想像します。そうした背景もあってなのでしょうが、幹線通りから外れたエリア等ではまだまだ簡易的なワルンスタイルが健在といった様子でした。
そして気になるインドネシアのガソリン価格ですが、概ね日本の半額以下。コーラの瓶で売られているようなところでは、計量器を設置するガソリンスタンドよりもやや高めに価格設定されている事が多いようです。
今回はここまで!
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