BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2021.09.16 / Vol.86

    スモールで遊ぶ #22 VespaGP-2021シーズンRound2

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    隅本辰哉

    • 撮影

    尾形・小野寺・正井&事務局

    • バイク

    Vespa

取材協力:VespaGP事務局
サーキット秋ヶ瀬を舞台に2021シーズン第2戦が開催されました。例年の秋ヶ瀬ラウンドでは耐久形式のナイトレースがお約束でしたが、今年は例年同様のナイトレースとしながらもスプリント形式で争われる"がちレース"。どうやら熱い展開となりそうな予感がしちゃいますよね! 今回も写真多めでお届けしていきますよ~!!

秋ヶ瀬名物ナイトレース! 今回はスプリント形式で開催!!

陽が沈み出す頃に決勝レースがスタート! 闇夜を切り裂きながら、15周先のゴールを目指してバトル開始。真っ先にチェッカーを受けるのは一体誰!?

VespaGP-2021シーズン第2戦(ナイトレース)
日時:2021年6月20日
場所:サーキット秋ヶ瀬
天候:晴れ
路面:ドライ
レース形式:スプリント
主催:VespaGP事務局(https://www.vespagp.com/
決勝レースを前に、注意事項等を確認するために行われるライダーズブリーフィングでの一コマ。この日のフラッグマーシャルを担当するのは、MASTER-Classの吉岡選手。
※写真右端の方でフラッグを手に持ち、黒シャツを着ているのが吉岡選手です

  日頃から「大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!」をご覧いただいている読者の皆さんなら、今更VespaGPについての説明は必要ないでしょう。それでも最近になってベスパの事が気になりだし、検索してわざわざ見に来てくれたなんて人がいるかも知れません。いや、いるに違いないって期待と決めつけで前説的にさらっとVespaGPの事に触れておきますね。
  VespaGP公式のHPでは、「イタリア・PIAGGIO社のブランド「VESPA」のワンメークレースです。年間数戦行い、スプリントレース&耐久レースを行っております。サーキットを転戦する予定もあり、色々なレースが楽しめます。年間シリーズ戦になっていますが、途中参戦やスポット参戦も可能です」としています。
  もう少し噛み砕くと、東京周辺のミニバイクコースなどを転戦する形式で行われる、スモールだけのスプリント&耐久レース。ここで言うスモールとは2stエンジン&ハンドチェンジ機構を小ぶりなボディに搭載するモデルで、主に50Sという2000年代初頭には新車販売が終了したモデルとなります。

  レースとなればガチガチの真剣勝負をイメージしてしまうかも知れませんが、VespaGPに限って言えばそんな事はありません。和気あいあいとした雰囲気なので、参加しやすいところがポイントの一つとなっています。しかもその様な雰囲気をしっかりと保ちつつ、本気で速さを追求したい人達がレースそのものを牽引するため、白熱バトルで参加ライダーばかりかギャラリーもレースの醍醐味を堪能出来てしまうところがもう一つのポイントだと言えます。
  ただ、本気で速い人との差が圧倒的だと中々追いつけない、追いつけたとしても抜く事がままならないというジレンマが、モチベーションを下げてしまうケースを心配する声が聞こえてきそうですよね。でも、そこは心配いりません。普通のレースなら後方で脚光を浴びる事もなく、それが続いて気持ちが折れてしまうようなケースでも、VespaGPならではの仕掛け(特殊ルール)が用意されているからです。
   一つは逆グリッド(予選タイムが速いほど後方からスタート)で、もう一つは速いライダーに与えられるハンデ(時間差スタート、ウェイトハンデ等)です。これにより全てのライダーに「表彰台は夢じゃない。狙っていける!」といったモチベーションが生まれ、レース自体の盛り上がりと一日を通して和気あいあい感が保たれ、そしてVespaGP独特のムードへと繋がっているのです。

ライトケースにテーピングを施しているのでしょうか?
トップライダー・宮地選手もエア管理に余念がありません
コースイン前に気になる箇所を点検しているのでしょうか?
トップライダー・尾西選手はステム回りにトラブルありか?

  さてVespaGP第2戦が行われたのは6月20日(日)のサーキット秋ヶ瀬になります。この日はVespaGP事務局が、夕方からサーキット秋ヶ瀬を借り切ってのレース開催。前々日までの雨予報を覆し、当日はすっきり晴天。参加ライダーにとっては、最高の1日となったんじゃないでしょうか。
  陽が傾きだす頃までには順次タイムテーブルを消化していき、練習走行・予選タイムアタックと無事に終了。その結果、予選トップ3をMaster-Classの面々が順当に奪取。1位は36"386をマークした♯23宮地選手、2位に36"921の♯20尾西選手と続き、37"163で3位となった♯5菊地選手までがMaster-Classです。
  その先はMaster-Classに肉迫するタイムをマークした♯61松本選手/37"368、♯44小林選手/37"448、♯28佐藤選手/37"641と続きます。そして惜しくも予選結果では37秒台に届かなかった♯12中村選手/38"125、♯55三浦選手/38"141、♯32川島選手/38"340、更に♯22柳本選手/39"535、♯33尾崎選手/39"881、♯59菊谷選手/41"459という順が確定しました。
  ......ですが、そこはVespaGPですから予選結果を元にした逆グリッドとなります。つまり予選タイムの速かったライダー程、スタート位置が後方になるワケですね。ただ、1つ前のレース(今回だと第1戦となります)で入賞したライダー達とMaster-Classのライダー達は、グリッド後方から時間差(今回は20秒遅れです)でスタートするというハンデが設定されます。なのでGP-Class最後列には♯55三浦選手、♯12中村選手、♯44小林選手が並び、その後方にMaster-Classの♯5菊地選手、♯20尾西選手、♯23宮地選手らの時間差スタート組が並びます。

最前列でスタートの瞬間を待つGP-Classの4選手達
2列目グリッドにはGP-Classから2選手が並びます

  いよいよ決勝レースが始まります。周回数は15周。スプリント形式のナイトレース。まずは最前列グリッドに着いた♯59菊谷選手、♯33尾崎選手、♯22柳本選手、♯32川島選手、それと2列目の♯28佐藤選手、♯61松本選手がスタート。その20秒後には、先行するライダー達を追撃すべく時間差スタート組もスタートを切りました。
  逆グリッドの面白いところはスタート直後から接戦が起きやすい点に尽きます。その上、時間差スタート組が最終的に上位陣に追い付き、優勝戦線に絡んでいけるのかも見どころとなります。

まずは前側の2列に並ぶGP-Classの6選手がスタート!
時差スタートとなる後側2列はジッとスタートを待ちます
早々に独走状態を築いた♯32川島選手が序盤をリード
時差スタート組がついにスタートしてトップ猛追を開始
4列目スタートのMASTER-Classがグングン前に出ます

  さあ、序盤のトップを走るのは♯32川島選手。独走に持ち込むべくハードな攻めでレースを牽引。中盤には♯28佐藤選手と♯61松本選手が追い付き、トップ争いを盛り上げます。
  この争いを制したのは♯28佐藤選手。しかし直ぐ後ろには♯61松本選手が隙を窺うようにピタッと付けています。
  いっぽう最後尾からスタートしたMASTER-Classは、♯23宮地選手がクラストップの快走で先行するGP-Classを抜き去って行きます。そして終盤には2位に付けていた♯61松本選手をオーバーテイク。ただ、この勢いはチェッカーに断ち切られ、♯28佐藤選手は♯23宮地選手の猛追から逃げ切る事に成功。そのままの順位で♯23宮地選手と♯61松本選手もチェッカーを受け、15周のナイトレースは無事に幕を閉じました。

♯23宮地選手に抜かれても食い下がる♯44小林選手。その後方には♯20尾西選手
時差スタート組を引っ張る3台に食らい付いていきたい♯55三浦選手と♯12中村選手
レース中盤でトップの♯32川島選手にロックオンする♯28佐藤選手と♯61松本選手
激化したトップ争いを制したのは♯28佐藤選手
その♯28佐藤選手を射程距離に置く♯61松本選手
快走を続ける♯28佐藤選手が最後尾集団をラップし始めます
2番手で♯28佐藤選手を追う♯61松本選手の車載カメラが捉えたのは♯33尾崎選手
背後に迫る♯61松本選手を捉えた♯55三浦選手の車載カメラ
追い付いて来た♯23宮地選手がとうとう♯61松本選手の前に!
いっぽう♯28佐藤選手は徐々に差を広げる事に成功してトップ独走です
♯28佐藤選手はそのまま逃げ切りトップチェッカー! おめでとうございます!!
♯23宮地選手と♯61松本選手のサイドバイサイドのゴール差はなんと0.022秒!
全ライダーが順次チェッカーを受け第2戦は無事終了。皆さん、お疲れ様でした!

RESULT

GP-Class決勝結果

左から順に)
GP-Class2位:松本選手、MASTER-Class1位:宮地選手、GP-Class1位:佐藤選手、GP-Class3位:川島選手、ブービー賞:尾崎選手(GP-Class)
※今回はGP-Classが3位までを入賞、MASTER-Classは1位のみを入賞とするため、合同表彰となっています

順位 選手名 チーム名 ベストタイム
1 No.28 佐藤剛 QUARTER DRAGON 37"202
2 No.61 松本諭 茅ヶ崎 ボングー 36"969
3 No.32 川島伯典 Jap Good Speed 38"009
4 No.12 中村賢司 お酒のNAKAMURA 37"678
5 No.44 小林匠 短パンガレージ 37"745
6 No.22 柳本卓也 BUSINESS-ART 40"244
7 No.55 三浦拓郎 茅ヶ崎 ボングー 38"261
8 No.33 尾崎雅夫 Vespa Club Kanagawa RT 39"573
9 No.59 菊谷信人 SOGNO VESPA CLUB 41"534

MASTER-Class決勝結果

順位 選手名 チーム名 ベストタイム
1 No.23 宮地貴之 BUSINESS-ART 36"017
2 No.20 尾西洋一 茅ヶ崎 ボングー 37"046
3 No.5 菊地信康 COMPLETELOOK 36"661

今回はここまで!

目にする機会も中々ないと思われますが、VespaGPに於ける正賞がこちらです。見た目もお洒落で、オリジナル感あるデザインがステキですよね

VespaGP第2戦のレポート、いかがでしたか? シーズン毎にサーキット秋ヶ瀬を舞台とするナイトレースの設定はあるようですが、例年だと耐久レースがパターンとなっていたような気がします。それが今回はスプリント形式、且つサーキット秋ヶ瀬ラウンドでは久しぶりのスプリントレースという事で、参加者もギャラリーも大いに楽しんでいたのが印象的でした。
  さて、8月22日(日)に第2戦も開催を終えているとの事。ぜひまた早い段階でレポートもお届けしたいと考えています。乞うご期待です!

今回はレース終了後に「Vespa乗り較べ会」という時間枠が設けられたようです。この時間帯は他のライダーのベスパでコースを走れるとあって、セッティングの違い等を確かめる良い機会になったのではないでしょうか

なんとイタリアでもVespaGPは注目されている!?

Vespa Roma(https://vesparoma.es/)のホームページで、VespaGPが紹介されています。しかもこれまでに何度も! サイト内検索でいくつかヒットします。ただし「VespaGP」だけでなく、「Vespa GP」(←スペースあり)検索も試してみてください。

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