BBB MAGAZINE

  • 大人のたしなみとしてベスパに接してみよう!

    2022.02.28 / Vol.91

    スモールで遊ぶ #25 VespaGP-2021シーズンRound5/Final

CREDIT

    • ライター
    • 執筆

    隅本辰哉

    • 撮影

    Mr.Ogata/小野寺/平山 & 事務局

    • バイク

    Vespa

取材協力:VespaGP事務局
ついに迎えた最終戦。舞台は筑波サーキット・コース1000。勝利の美酒を味わうのは誰なのか? そしてGP-Classのシリーズランキングの行方も気になるところ。シリーズチャンピオンの称号は誰が獲るのか? 今回も豊富な写真と共にお届けします!

最終戦には14台のマシンがエントリー!

14台のマシン
参加マシンはご覧のように整列状態で展示されるのがお約束
レーシングベスパを撮影するも良し、セットアップの参考にするも良し
VespaGP-2021シーズン第5戦/Finalラウンド
日時:2021年11月28日(日)
場所:筑波サーキット・コース1000
天候:晴れ
路面:ドライ
レース形式:スプリント
主催:VespaGP事務局(https://www.vespagp.com/
※「takuma-gp」の1カテゴリーとして併催
青木拓磨さん
注意事項
参加ライダーを集めて行われるブリーフィングでは、注意事項やコース状況等が伝えられる。車イスの男性が「takuma-gp」を主催する青木拓磨さん

  「Grand prix・Circus」を模して開催毎にサーキットを転戦しているVespaGPですが、昨年11月28日(日)には遂に2021シーズンの最終戦となるシリーズ第5戦が開催されました。その舞台となったのは茨城県下妻市にある筑波サーキット・コース1000。
  この日のVespaGPは青木拓磨氏の協力によりtakuma-gpの1カテゴリーとして開催され、好天に恵まれる中、GP-Classに10名、MASTER-Classには4名が参戦。コロナ禍ではあるものの感染者数が目減りし、緊急事態宣言も明けた事で参加者やサポートメンバー等が実に楽しげであるのが印象的でした。

周回数やタイムの集計に欠かす事が出来ないトランスポンダーを、自身のマシンに装着している参戦ライダーの皆さん

  まず参戦ライダー達は8分間の練習走行枠を使い、体とマシンを馴染ませつつコースにも慣れていきます。その後タイムアタック形式での予選が行われ、決勝でのグリッド位置が決まります。予選も8分間と限られているので、この間に自己ベストなタイムが叩き出せるかがライダー個々の命題と言えます。それ故に各々の方法で練習走行&予選に挑み、その結果が予選結果として突きつけられてしまうワケです。

   ここで予選結果を振り返ってみる事にします。唯一44秒代をマークした♯23宮地選手/44"703が予選トップを奪取。これに♯5菊地選手/45"290、♯20尾西選手/45"565と続き、MASTER-Classのライダー達が予選上位を独占。しかし4番手以降からは46秒代を刻むGP-Classライダー達がチャンスを窺っているかの如き様相。
  その4番手に着けてきたのが♯28佐藤選手/46"023。以下、♯61松本選手/46"309、♯32川島選手/46"595、♯12中村選手/46"774と続きます。そして予選8番手には不調だったのかMASTER-Class♯7牧野選手/46"902が入り、続く♯55三浦選手/46"919までが46秒代と、わずか2秒程の間に9台がひしめく激戦ぶりです。さらに♯44小林選手/47"623、♯33尾崎選手/48"463、♯22柳本選手/50"933、♯59菊谷選手/53"345、♯62飯塚選手/59"833と続き、計14名が決勝を戦います。

予選結果を確認して一喜一憂する参戦ライダー達。この結果に例の独自ルールが加味されて決勝グリッドも発表されました

   ここで決勝グリッドについて確認しておきます。既にご存知の方も多いと思いますが、VespaGPのグリッドは所謂"予選結果の速い順"ではありません。参戦ライダー達にはお馴染みの、ハンデ持ちライダーが後方&ハンデ無しライダーが前方というのが定位置です。そのそれぞれの位置で、さらにリバースグリッド(予選結果の遅い順)が適用されるのです。
   「え、速い順ではないの?」という意見もあるかと思いますが、より面白くするために考えて採用されている独自ルールだったりします。速いライダーが後ろから追う展開となるため、スタート直後から前方でも後方でもバトルが勃発し、取り残されるヒマもなく規定周回を終えられると参戦ライダー達には概ね好評です。サポートメンバー等を含めたギャラリーにとっても、"見応えのあるサイドバイサイドな接戦が至る所で見られるので目を離せない"とやはり好評です。それに速いライダーにとっては「ハンデがあろうともブッ千切りで勝つ!」事にも意味があるみたいなんです。

ライダー達が予選結果と決勝グリッドを確認した後、決勝迄の一時をリラックスムードで楽しむライダー&サポートメンバー

   さて、そんなワケで決勝グリッドについて見ていきましょう。1列目左から♯62飯塚選手、♯59菊谷選手、♯22柳本選手、♯33尾崎選手が並びます。続いて2列目も左から♯44小林選手、♯32川島選手、♯61松本選手......と、ここまでが通常スタート組です。
   以降はビハインドスタート(時差スタート)となり、3列目が通常スタート組から5秒遅れ、されに5秒遅れて4列目のスタートとなります。その3列目には左から♯28佐藤選手、♯55三浦選手、♯12中村選手。そして4列目左から♯7牧野選手、♯20尾西選手、♯5菊地選手、♯23宮地選手というのが第5戦での決勝グリッドです。

いよいよ決勝! コースインの瞬間を静かに、そして楽しむ準備は万全に今か今かと待つ参戦ライダーの皆さん

  いよいよ決勝がスタート! 最初に前側2列のライダーがスタートし、その5秒後に3列目がスタートします。3列目のライダー達は第3戦の入賞組で、実は10kgの重しを積むというウェイトハンデも課されています。
   スタート直後、トップに躍り出たのはコース1000を得意とする♯32川島選手。これを逃すまいと、5秒遅れでスタートを切った第3戦入賞組が追い上げを開始。ちなみにGP-Classのシリーズランキングを争う♯28佐藤選手と♯12中村選手は、通常スタート組として先行する♯61松本選手にはなんとしても追いつきたいところ。

スターティンググリッドに着いた1列目と2列目の通常スタート組(左)、からのゴール目指して走り出す通常スタート組(右)
通常スタート組から5秒遅れでスタートする第3戦入賞組(左)と、そこからさらに5秒遅れでスタートするMASTER-Class(右)

  そして通常スタート組のスタートから10秒が経過し、4列目に陣取っていたMASTER-Classの4名もスタート。なんと減量して最終戦に挑んだという♯5菊地選手が牽引役となり、トップチェッカーを目指して先行するGP-Classへの猛追を開始。この段階では♯32川島選手、♯61松本選手、♯22柳本選手、♯44小林選手といったトップオーダーでレースは展開しています。
   ところが早くも通常スタート組をジワジワと追い抜き出す第3戦入賞組。そうこうしているとMASTER-Classが通常スタート組に追い付き、そのタイミングで♯23宮地選手が♯5菊地選手を交わしていきます。さらに第3戦入賞組の♯55三浦選手も抜き去り、♯23宮地選手の勢いは止まりません。

MASTER-Classのスタートで一歩抜きん出た♯7牧野選手(左)、そこから離されまいとする♯20尾西選手と♯23宮地選手(右)
いっぽうカメラの陰でスタートダッシュをキメていたのが♯5菊地選手(左)で、1コーナーでは♯7牧野選手を抑える事に成功(右)
見事クラストップを奪取した♯5菊地選手(左)ですが、その背後にはMASTER-Classの猛者達が虎視眈々と隙を伺う状況です(右)
通常スタート組に何としても追いつきたい♯28佐藤選手(左)と♯12中村選手(右)。共に第3戦入賞組でランキング上位を目指します
ランキング上位を目指す♯61松本選手は通常スタート組で現在2番手(左)。それに♯22柳本選手&♯44小林選手が続きます(右)
ここでMASTER-Classの順位が変動。♯7牧野選手を交わした♯23宮地選手(左)が、♯5菊地選手をロックオンした模様(右)
激しいクラストップ争いを繰り広げながら先行するライダーを抜きにかかる♯5菊地選手(左)とそれを交わした♯23宮地選手(右)
♯5菊地選手は食らいつきながら♯33尾崎選手に迫り(左)、その前方では♯23宮地選手も♯55三浦選手をパスする快進撃(右)

  レースが中盤に差し掛かったところで第3戦入賞組の♯12中村選手が、通常スタート組の♯22柳本選手をパス。すると第3戦入賞組の♯28佐藤選手も3番手を走行中の♯44小林選手をパス。

すぐさま♯5菊地選手も♯55三浦選手をインからパス(左)。その頃♯12中村選手が♯22柳本選手を交わして5番手に!(右)
すると♯5菊地選手が♯23宮地選手のインを突いて再びクラストップ(左)。今度は♯28佐藤選手が♯44小林選手を交わして3番手!(右)

   しかし背後にはMASTER-Classのトップ争いを繰り広げる♯23宮地選手と♯5菊地選手が迫っていて、気づけば♯5菊地選手が♯23宮地選手の前に。そのまま先程3位を奪ったばかりの♯28佐藤選手を抜き去ったと思いきや、このタイミングで♯23宮地選手がまた♯5菊地選手を抑えるという目紛しい展開。

♯5菊地選手と♯23宮地選手が揃って♯12中村選手をパスした直後(左)、♯20尾西選手もそれに続いて順位を上げます(右)
3番手まで順位を上げていた♯28佐藤選手(左)を両サイドから容赦なく攻める♯23宮地選手と♯5菊地選手(右)
♯23宮地選手にパスされながらも必死に踏ん張る♯28佐藤選手(左)。その頃♯20尾西選手が♯44小林選手をパス!
♯23宮地選手に離されたくない♯5菊地選手(左)が仕掛け、どうにか♯28佐藤選手をパスするも♯23宮地選手には届かずにチェッカー!(右)

  その一方で、安定した速さを見せた♯32川島選手が最後まで逃げ切ってトップチェッカー。2番手でチェッカーを受けたのは、10秒遅れをモノともしなかったMASTER-Classの♯23宮地選手。次いで同様にMASTER-Classの♯5菊地選手。4番手チェッカーながら、GP-Classで2位となったのは♯61松本選手。

  以下は♯20尾西選手、♯28佐藤選手、♯7牧野選手、♯12中村選手、♯55三浦選手、♯44小林選手、♯33尾崎選手、♯59菊谷選手、♯22柳本選手、♯62飯塚選手という結果に。

♯5菊地選手と♯23宮地選手が互いを讃え合う中(左)、終始トップを守って1位となったグリーンのマシンの♯32川島選手(右)も合流
互いに健闘を讃え握手を交わす参戦ライダー達(左)。最終戦で1位の♯32川島選手とクラス2位♯61松本選手が肩を組んでいます(右)

RESULT/GP-Class決勝結果

RE1

左から順に)
6位:小林選手、4位:中村選手、2位:松本選手、1位:川島選手、3位:佐藤選手、5位:三浦選手、RQ:福山理子さん

順位 ゼッケン 選手名 チーム名 ベストタイム
1 32 川島伯典 Jap Good Speed 45"753
2 61 松本諭 茅ヶ崎 ボングー 46"053
3 28 佐藤剛 QUARTER DRAGON 45"488
4 12 中村賢司 お酒のNAKAMURA 46"_618
5 55 三浦拓郎 茅ヶ崎 ボングー 47"078
6 44 小林匠 短パンガレージ 47"479
7 33 尾崎雅夫 Vespa Club Kanagawa RT 48"792
8 59 菊谷信人 SOGNO VESPA CLUB 53"437
9 22 柳本卓也 BUSINESS-ART 49"_666
10 62 飯塚隆行 茅ヶ崎 ボングー 59"232

MASTER-Class決勝結果

RE2

左から順に)
2位:菊地選手、1位:宮地選手、3位:尾西選手、RQ:福山理子さん

順位 ゼッケン 選手名 チーム名 ベストタイム
1 23 宮地貴之 BUSINESS-ART 44"508
2 5 菊地信康 COMPLETELOOK 44"537
3 20 尾西洋一 茅ヶ崎 ボングー 45"221
4 7 牧野文人 Vespa Club Kanagawa RT 45"_945

今回はここまで!

RE3
GP-Class・ランキング表彰のために用意された正賞。走行シーンの写真が組み込まれ、ロゴや順位がエッチング加工された縦。記念になるのはもちろんですが、これって絶対に嬉しいですよね!

  年を越しての掲載となってしまいましたが、2021シーズンのVespaGP最終戦レポートはいかがでしたか?
   "趣味の延長として楽しむ"というところを基本としながら、参戦されている皆さんとそれをサポートしている皆さんとがレースそのものを真剣に遊んでいるといった印象が強いVespaGPです。2022シーズンの日程も既に決まっているそうなので、興味のある方はVespaGPのホームページ(http://www.vespagp.com/)等をチェックしてみて下さい。

  そして表彰式の最後には、2021シーズンのランキング表彰も行われました。ただシーズン中に発表された通り今シーズンのMASTER-Class・ランキング表彰はなくなってしまったので、GP-Classのみを対象としてトップ3となったライダー達に正賞が授与されました。
  ランキング3位には46ポイント獲得の中村選手、同ポイントながら2位となったのは佐藤選手。そして47ポイントでランキング1位を獲得し、見事シリーズチャンピオンに輝いたのは松本選手でした。なんと松本選手は唯の一度も優勝を飾る事がないままでしたが、それでもシリーズチャンピオンまで上り詰めたという事実は多くの参戦ライダーにある種の希望や期待を持たせてくれたんじゃないかと想像します。 さて、2022シーズンもVespaGPを追いかけていきたいと思いますので、どうぞご期待くださいね!

binta_01
今回3位の佐藤選手はウェイトハン デ10kg×スタンダードなギヤ比という仕様での結果だったそうです。2022シーズンも同仕様で挑むという事なので、その頑張りを称えるべく理子姉さんからビンタが注入(?)されてました!

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