HISTORY ~時代を彩ったバイクたち~
ヤマハ ディバージョン400(1991年発売モデル)の基本情報
空冷4気筒エンジンを搭載した異色のツアラーが「ディバージョン400」
新設計の空冷エンジンを搭載したディバージョン400。1990年代初めと言えば、レーサーレプリカからネイキッドへと人気が移行する頃。そんな中、そのどちらでもないツアラーという新たな路線を狙って登場した。同様のスタイルのモデルとしては、ホンダのドランザルプ400V、ゼルビス、カワサキのEX-4、KLEが挙げられるが、どれもツインエンジンで、軽快さやスリムさを強調している空冷4気筒は異色の存在と言える。
輸出仕様のディバージョン600と同時に開発され、ヤマハのジェネシス思想(※)が投入された新設計エンジンは35度前傾し、BDST26ダウンドラフトキャブを採用。ストレート吸気を実現している。また、超ロングストロークがもたらすフラットなトルク、ワイドレシオの6速ミッションにより、常用域での特性と燃費性を重視。ツアラーに必要なゆったり感覚を実現している。
ワンクラス上の車格でタンデムでの長距離ツーリングにも疲れない車体は、38mmスチールチューブ製ダブルクレードルフレーム。ハーフリジット式でエンジンをマウントし、必要な剛性と低振動を両立している。足回りは、フロントが38mmのフォークに320mmシングルディスク+異径2ポットキャリパー。リアは鉄製楕円スイングアームに、リンクレス・モノクロスサス、245mmシングルディスク+シングルポットキャリパーという組み合わせ。ツアラーとしては必要十分な装備で、ワインディングを攻める走りにも対応できるものだ。
また、高速&長時間ライディングでの披露を軽減するべく、風の流れを考慮したフレームマウントのカウル、グラブバー、オプションのセンタースタンドなどの各種装備は、まさに日常からツーリングまでの使い勝手を重視した、ライダーに優しいスタイルと言える。しかし、このスタイル、エンジンともに短命に終わってしまい、空冷4気筒エンジンは再度新開発されXJRシリーズへと受け継がれている。
※ジェネシス思想・・・シリンダーを前傾させることで、低重心化と吸排気の直線化を図る開発コンセプトのこと。FZ750(1985年)に始まる。
- このページは株式会社ヤマハ発動機のご協力を頂き製作しています
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