HISTORY ~時代を彩ったバイクたち~
ヤマハ TZR50R(1993年モデル)の基本情報
フルサイズのフルカウル50ccスポーツモデル「TZR50R(4EU)」
ヤマハを代表するミニバイクと言えば1986年のYSR50(2AL・2UE)だろう。様々なカラーリング等で人気となったが、ハイパワーな水冷エンジンを搭載し、充実した装備を誇ったNSR50(AC10)には及ばず、1990年に登場したフルサイズのTZR50(3TU)へとバトンタッチしていくことになる。この水冷ピストンリードバルブエンジンから、モトクロサーYZ80ベースの水冷クランクケースリードバルブエンジンへと変更してフルモデルチェンジしたのが1993年のTZR50R(4EU)であり、すでに登場していたNS-1(AC12)の一番のライバルとなったのだ。
実用的なメットインを装備しつつも、走りのスペックも高いNS-1をリードするため、前述のクランクケースリードバルブエンジンは7.2ps/10000rpmを発生し、セルで始動を容易にしたのがポイント。1995年には排気ポートの面積拡大、キャブの口径アップ、CDIユニットの変更などで中速域の性能を大幅に向上している。外観はTZR50(3TU)と大きな差はないが、TZR50(3TU)はレーサーTZ50と共同開発されたもの、TZR50R(4EU)はモトクロッサーYZ80ベースと中身が大きく異なっており、1994年に登場した12インチのTZM50R(4KJ)や1998年のRZ50(RA01J)にも受け継がれている。
RZ50(RA01J)が登場するまでの実質4〜5年という短い期間のラインアップだったが、NS-1(AC12)、RG50γ(ガンマ)やウルフ50といった数少ないフルサイズの「ゼロハン」スポーツを牽引してきた功績は大きい。2010年代に入り、改めてフルカウルモデルに注目が集まっており、400cc、250cc、125ccそれぞれのクラスに新型車が投入されている。1990年代後半で生産終了・販売終了となってしまったが、TZR50R(4EU)をはじめとした50ccのフルカウルモデルもまだまだ現役で遊べるものばかりで、4スト化が進んだ今だからこそ、あえて軽快な2ストのスポーツモデルを堪能してみたいところだ。
- このページは株式会社ヤマハ発動機のご協力を頂き製作しています
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