HISTORY ~時代を彩ったバイクたち~
ホンダ TLM50(1983年モデル)の基本情報
ツーリング苦手。市街地やや苦手。トライアル大得意。この割切感がステキな「TLM50」
1983年、トライアル入門モデルとして登場したのが「TLM50」。エントリーモデルでありながら「50ccクラスでも本格的なトライアル走行が可能」と銘打つだけあって、その作りはトライアルに方向性を強く振ったものとなっている。
ツーリングは個々の楽しみかたがあり、快適に走るだけが楽しみではない。しかし、TLM50は低速用ギアだと元気よくエンジンが回るのだが、スピードは出ない。高速用ギアだと、そこそこのスピードは出るが、エンジンのパワーが足らずに上まで回るのに時間がかかり、なおかつキレイに上まで回りきらない感じ。感覚的には、2速でスタートしてもほかのバイクの1速スタートと変わらない印象。それぐらい、1速が低く設定されている。平たく言えば、遅いバイクだ。ツーリングにすすめるバイクかどうかを聞かれたら「ノー」と答えるだろう。
また、トライアルはシートに座ってバイクを操作する競技ではない。そのためか、シートもクッション性は高くなく、人によっては30分でお尻が痛く感じてしまうのではないかというほど。ちなみに、シート高は750mm。ボディがスリムでサスペンションも硬くないので、足着き性は非常に良い。
市街地走行にしても、加速性能やスピードの関係から幹線道路だと流れに乗るのが大変。しかも、ハンドルは広めなので(全幅825mm)、ちょっとしたすり抜けにもかなり気をつかう。
しかし、これがトライアル走行になると一変する。広いハンドルは低速時の操作がしやすく、切れ角は中心から左右に62度。ボディはスリムで軽量(車両重量78kg)。低く設定された1速は、場所を選ばず粘り強さを発揮。最低地上高は305mmを確保。エントリーモデルとは思えないほどの、走破性を持つ。
オールマイティに使える1台とは言いにくいが、トライアル遊びをするにはこれ以上ない最適の1台だ。
- このページは本田技研工業株式会社のご協力を頂き製作しています
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