HISTORY ~時代を彩ったバイクたち~
カワサキ ZZR1100(1990年モデル)の基本情報
過激なレプリカではない世界最速のツアラー「ZZR1100」
日本国内でオーバーナナハンが解禁となった1990年以前、輸出モデルではリッタークラスのツアラー、今で言うリッターレプリカやスーパースポーツに近いモデルが人気を博していた。1986年のGSX-R1100を皮切りに、1987年にはホンダCBR1000F、ヤマハFZR1000が登場し、カワサキはGPZ900Rに続くGPZ1000RXが1986年に、その後継モデルとなるZX-10が1988年に登場。137psという最高出力と空力特性に優れたボディで世界最速とうたわれていた。メーカー間のハイパワー競争が過熱する中、さらに進化を遂げて登場したのが、世界最速ツアラーの代名詞とも言えるZZ-R1100だ。
ハイスピードツアラーZZ-Rシリーズの歴史がここからスタートしていくわけだが、ZZ-Rを一番イメージさせるのは1990年の初代(ZXT10C)よりも、シリーズ中最も販売期間が長い2代目のDタイプ(ZXT10D)だろう。ZX-10からのモデルチェンジで十分に空力特性を追求したカウル形状に変更されたが、ZXT10Dへのマイナーチェンジでツインラムエアインテークの採用やフレームの変更を受け、超高速域を確実・安定したものと進化させたのだ。過激なレーサーレプリカのコンセプトとは異なり、高速で長距離・長時間を安定して走り切るというツアラーの要素を必要十分に実現した点が人気となった要因に違いない。
1993年に登場したZZ-R1100(ZXT10D)は2003年まで発売され、ZZ-R1200へとバトンタッチする。ZXT10Cから数えれば実に13年もの間ラインアップし続けたことになり、こういったカテゴリーのモデルでは長い方だ。その間にレプリカ路線のZX-9Rや、ZZ-R1100と同系エンジンを搭載したGPZ1100も登場し、他メーカーもフラッグシップツアラーを発売させている。ということは、それらに勝る魅力があったからこそ長年に渡って発売されたわけで、一度は乗っておきたい「名車」のひとつと言えるだろう。
- このページはカワサキモータースジャパンのご協力を頂き製作しています
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